年賀状ソフトの売り場に並んでいる箱を手に取ると、対応OSの欄にはたいてい「Windows」とだけ書かれています。Macを使っている人が毎年ここでつまずきます。デザイン面は写真を入れるだけで作れるのに、住所録を読み込んで宛名面を100枚刷るという最後の工程になった瞬間、選択肢が急に細くなるのです。
ただ、Macで年賀状が作れないわけではありません。Macだけで宛名面まで完結する方法は実際に存在します。問題は、それが年賀状ソフトの棚ではなく、プリンターメーカーの無料アプリやMac標準アプリの機能として散らばっていて、まとめて比較されていないことです。
本記事では、Macユーザーが宛名面まで出しきるための方法を5つ取り上げ、機能性・使いやすさ・コスパ・拡張性・安定性の5軸で評価しました。対応OSや機能は各社の公式ページで確認し、どこまで無料で足りて、どこから買う価値が出るのかの線を引いています。
Macで年賀状を出す早わかり
- まず自分のプリンターのメーカーを確認する。ここでMacの選択肢はほぼ決まります
- エプソン製なら:純正の無料アプリ Epson Photo+ で、Macのまま宛名面まで完結します
- キヤノン製なら:Mac本体で粘らず iPhoneアプリ(PIXUSはがきクリエイター) に逃がすのが最短です
- それ以外のメーカーで、1円も使いたくないなら:Mac標準の Pages の差し込み印刷。ひな形は自作になります
- 毎年出す/住所録を資産にしたいなら:Mac専用設計の 宛名職人 Ver.33(ダウンロード版8,690円)
- プリンターを持っていないなら:ネット印刷に注文すれば、宛名印刷は無料のオプションで付きます
Macで詰まるのは「宛名面」だけ
まず、どこが本当のボトルネックなのかをはっきりさせておきます。ここを取り違えると、必要のないソフトを買うことになります。
デザイン面はOSを選ばない
年賀状の裏面(通信面)は、いまやブラウザで完結します。CanvaのようなデザインツールはMacでもそのまま動くため、干支のテンプレートを選んで写真と挨拶文を入れれば、それだけで印刷用のデータになります。プリンターメーカーの無料アプリにもテンプレートが収録されています。
つまり、Macだからデザインが作れないという場面はほとんどありません。年賀状ソフト全体の比較は「年賀状ソフトおすすめ6選|2027年用を無料と有料で比較」にまとめています。
詰まるのは、縦書きの宛名面と住所録
一方で、宛名面には日本の年賀状特有の処理が集中しています。郵便番号を7つの枠に1文字ずつ落とし込む、縦書きにしたときに住所の番地を漢数字へ直す、人名の異体字(髙・﨑など)を正しく出す——このあたりは汎用のワープロやデザインツールが標準では持っていない機能です。
しかも住所録は毎年積み上がります。100件を手打ちし直す作業が毎年発生するかどうかで、体感の負担がまったく変わります。Macで年賀状を検討するときは、この宛名面と住所録だけを見て選べば十分です。
定番4ブランドのうち、Mac版があるのは1本だけ
日本の年賀状ソフトは、筆まめ・筆ぐるめ・筆王・宛名職人の4ブランドがいずれもソースネクストから販売されています。この4製品の公式比較表を見ると、対応OSの行はこうなっています(2026年9月時点)。
| ブランド | 対応OS | 収録素材 | フォント |
|---|---|---|---|
| 筆まめ Ver.37 | Windows | 450,000点 | 135書体 |
| 筆ぐるめ 34 | Windows | 25,000点 | 144書体 |
| 筆王 Ver.31 | Windows | 300,000点 | 133書体 |
| 宛名職人 Ver.33 | macOS | 150,000点 | 137書体 |
※ ソースネクストの公式「4製品の機能比較表」にもとづきます(2026年9月6日確認)
Macに対応しているのは宛名職人だけです。「年賀状ソフトを買おう」と思ってMacユーザーが選べる市販ソフトは、事実上この1本に絞られます。無料の定番として名前の挙がるはがき作家 Free も、Windows専用です。
Windows環境を用意する方法は割に合わない
「MacにWindowsを入れて筆まめを使えばいい」と考える人もいますが、これは2026年時点では現実的ではありません。
Appleの「Boot Campアシスタント」は、公式ガイドに「Intelプロセッサを搭載したMacに簡単にWindowsをインストールできます」と書かれている通り、Intel Mac向けの機能です。現行のApple Silicon搭載Macでは使えません。
残るのは Parallels Desktop などの仮想化ソフトですが、仮想化ソフトの費用とWindowsのライセンス費用を足すと、年賀状ソフト1本の価格を軽く超えます。年に一度の宛名印刷のために構築する環境としては、費用も手間も見合いません。仮想化ソフトの費用と手間はMacでWindowsを使う方法で比較しています。
早見比較表:Macユーザーが宛名まで出せる5つの方法
| 方法 | 費用 | 宛名面 | 住所録 | 前提条件 | Macで完結 | おすすめ度 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 宛名職人 Ver.33 | 8,690円(買い切り) | ◎ | ◎ | macOS 13以降 | ◎ | ★★★★★ |
| Epson Photo+ | 無料 | ◎ | ◎ | エプソン製プリンター | ◎ | ★★★★☆ |
| Pages の差し込み印刷 | 無料(macOS 12以降) | △ | ○ | ひな形の自作 | ◎ | ★★★☆☆ |
| プリンターメーカーのスマホアプリ | 無料 | ◎ | ○ | iPhone/iPadと対応プリンター | × | ★★★☆☆ |
| Web年賀状キット(ブラザー) | 無料 | ○ | ○ | 年度版が公開されている期間のみ | ◎ | ★★☆☆☆ |
※ 2026年9月時点の各公式情報にもとづきます。最新の仕様・料金は各公式サイトでご確認ください
※ おすすめ度は「2027年用の年賀状の宛名を、いま着手して出し終えられるか」を基準にした総合評価です
「無料」の中身が方法ごとに違う
5つを並べると、無料の意味が3種類に分かれます。Pages は買い足しの要らない完全無料、Epson Photo+ とスマホアプリは「対応するプリンターを持っている」ことが前提の無料、Web年賀状キットは「その年のサービスが開いている期間だけ」の無料です。
自分がどの前提を満たしているかで、実質的な選択肢は2つか3つに絞られます。プリンターのメーカーを確認するところから始めるのが、いちばん早いです。
総合評価:5軸で比較
順位は ①いまこの時期に使えるか → ②Macだけで宛名面まで完結するか → ③前提条件の少なさ の順に見て決めました。年に一度しか使わない作業なので、「思い立った日に着手できて、別の機械や別のOSを持ち出さずに終われるか」を優先しています。
| 方法 | 機能性 | 使いやすさ | コスパ | 拡張性 | 安定性 | 総合 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1. 宛名職人 Ver.33 | ◎ | ◎ | ○ | ◎ | ◎ | ◎ |
| 2. Epson Photo+ | ○ | ◎ | ◎ | ○ | ◎ | ◎ |
| 3. Pages の差し込み印刷 | △ | △ | ◎ | ◎ | ◎ | ○ |
| 4. プリンターメーカーのスマホアプリ | ○ | ◎ | ◎ | △ | ○ | ○ |
| 5. Web年賀状キット | ○ | ◎ | ◎ | ○ | △ | ○ |
※ 総合評価は上の5軸を総合して決めています。なお、このあとの各方法の詳細に付けた「移行しやすさ」の星は、いま持っている住所録をその方法に持ち込めるかを見たもので、逆向きの「持ち出しやすさ」は拡張性の側で評価しています。
順位の根拠
- 1位 宛名職人 Ver.33(総合◎):Mac専用として設計された唯一の市販年賀状ソフトです。宛名の自動レイアウト、組数字・漢数字への対応、1,820字の人名外字まで揃っており、宛名面で詰まる要素がひととおり潰してあるため機能性◎。Macの「連絡先」アプリと2クリックでシンクロし、郵便番号からの住所自動入力や市町村合併の一括更新まで用意されているので使いやすさ◎です。iCloud経由で複数のMacから同じ住所録を使え、他社ソフトの住所録も読み込めるため拡張性◎、1993年から継続して更新されmacOS 26 Tahoeまで対応しているため安定性◎としました。コスパを○にとどめたのはダウンロード版8,690円という価格で、無料の選択肢がある以上そこは差し引いています
- 2位 Epson Photo+(総合◎):Macに対応する無料アプリのまま宛名面まで出しきれるという、この記事の文脈では貴重な立ち位置です。エプソン公式のダウンロード情報では対応OSがmacOS 26 Tahoe から OS X Mavericks(10.9)までと広く、1位の宛名職人が要求するmacOS 13以降に届かない古いMacでも動く点で安定性◎としました。宛名面の作成・印刷と住所録の管理をアプリ内で完結でき、給紙とマージンを知っているメーカー自身が作っているため位置合わせでつまずきにくく使いやすさ◎。エプソン機を持っている人にとっては追加費用がゼロなのでコスパ◎です。住所録の書き出し機能も備えるので拡張性○、ただし写真印刷アプリの一機能という位置づけで人名の外字対応などは年賀状ソフトに及ばず機能性○にとどめました。順位が2位なのはエプソン製プリンターを持っていない人には最初から選べないためで、条件を満たしていれば実質1位と入れ替わります
- 3位 Pages の差し込み印刷(総合○):Mac標準のワープロアプリに、連絡先アプリやNumbersスプレッドシートから宛先を流し込む差し込み印刷が用意されています。年賀状のためにソフトを買い足さずに済むのでコスパ◎、日ごろ使っている「連絡先」がそのままデータ源になり、表で管理したければNumbersにも切り替えられるため拡張性◎、Apple純正の標準機能として維持されるので安定性◎です。評価が割れるのは宛名面の作り込みで、はがきサイズの用紙設定と縦書きの配置は自分で用意する必要があり、郵便番号を7つの枠に1文字ずつ送る処理も、番地を漢数字に直す処理も自動では行われません。ここから機能性△・使いやすさ△としました。それでも総合を○に置いたのは、住所録を別に作らなくてもMacの「連絡先」がそのまま使えること、そして差し込みフィールドの追加からプレビュー、全件分のページ生成までがAppleの用意した専用UIで完結することの2点が効くからです。ひな形さえ一度組めば、翌年からは差し込みを実行するだけで済みます
- 4位 プリンターメーカーのスマホアプリ(総合○):エプソンの「スマホでカラリオ年賀」、キヤノンの「PIXUSはがきクリエイター」はいずれも無料で、宛名面の作成・住所録の管理・CSVの取り込みまで対応しているため機能性○・コスパ◎です。スマートフォンの電話帳から住所録を作れるので使いやすさ◎。順位が4位なのは、Mac本体では作業が完結せずiPhoneやiPadが必要で、作った住所録が端末側に閉じるため拡張性△だからです。毎年秋に年度版が入れ替わる運用のため安定性は○としました
- 5位 Web年賀状キット(総合○):ブラザーが提供する無料のWebサービスで、ブラウザだけで宛名面と裏面の両方を作れます。専用ソフトのインストールが要らず、使い始めるまでの手数が最も少ないため使いやすさ◎、費用がかからないためコスパ◎です。宛名面の作成に加え、約400種類のテンプレートと喪中はがき・寒中見舞いにも対応するため機能性○。手持ちの住所録を流し込める一方でデータはサービス側に置かれるため拡張性○としました。順位が5位なのは通年では使えないためで、公式ページには本記事の確認時点(2026年9月6日)で「Web年賀状キット2026版のサービスは終了いたしました」と掲示されており、2027年用の公開予定は告知されていません。この「使える期間が限られる」点で安定性△としています
5つの方法を詳しく見る
1. 宛名職人 Ver.33|Mac専用設計で、宛名面の面倒をすべて引き受ける
ソースネクストから販売されているMac用の年賀状ソフトで、1993年の発売以来バージョンアップを重ねている定番です。公式が「Macのための年賀状ソフト」と位置づけている通り、Windows版の移植ではなくMac向けに作られている点が他と決定的に違います。
住所録づくりは「クイックスタート」で最短4ステップ、他社ソフトで作った住所録も最短4クリックで読み込みが完了します。漢字で名前を入れるとふりがなが自動で振られ、郵便番号を入れれば住所の大部分が自動入力されます。通常の文字入力では変換できない人名の難しい漢字も1,820字が用意されているため、「この字が出ない」で止まりません。
Macユーザーにとって効くのが「連絡先」アプリとのシンクロです。ボタンひとつで住所録を一元管理でき、宛名職人側のデータはiPhoneからも確認できます。さらにiCloud対応なので、複数のMacでデザインと住所録を共有することも可能。市町村合併による地名変更をボタンひとつで一括更新できる機能もあり、長く使うほど手入力の削減が効いてきます。
印刷面では、宛名を1クリックで自動レイアウトし、縦書き・横書き、住所が長い場合、連名が多い場合のバリエーションが用意されています。組数字・漢数字にも対応、連名の敬称は最大5人までで、家族で複数の差出人を使い分けることも可能です。「一枚プリント」で試し刷りしてから本番に進める設計になっており、印刷すると送受履歴に自動で反映されるので、出し忘れや重複も防げます。
はがき以外にも、封筒は角形2〜8号・洋形0〜7号・長形2〜4号および30〜40号、市販の名刺用紙にも対応します。プリンターを使いたくないときのために、製品内から申し込める「ネットプリント」(1枚から注文でき、最短2日後に到着)と、セブン-イレブンのマルチコピー機での印刷(デザイン面のみ対応)も用意されています。
価格はダウンロード版8,690円、旧版を持っている場合のアップグレード版が7,590円です。同一ライセンスで5台まで使えるので、家族のMacにも入れられます。本サイト限定で毎年自動的に最新版へ更新される継続プラン(3,280円)の案内もありますが、料金の単位と更新条件は購入画面で必ず確認してください。動作環境はmacOS 26 Tahoe/Sequoia(15.0)/Sonoma(14.0)/Ventura(13.0)、サポートは年中無休で2028年3月末までとなっています。
なお、Windows版の「宛名職人 2027 Premium」(2,970円)とMac版の「Ver.33」(8,690円)は価格帯が別物です。「宛名職人は2,970円」という情報を見てMac版を買おうとすると金額が変わって驚くので、Macで使うなら最初から8,690円の想定で準備してください。Windows版どうしの比較は「筆王と宛名職人はどっちがいい?違いを比較」で扱っています。
宛名職人 Ver.33(Mac版)の詳細を見るメリット
- Mac専用として設計された唯一の市販年賀状ソフトで、Macだけで完結する
- Macの「連絡先」アプリと2クリックでシンクロし、iPhoneからも住所録を確認できる
- 人名外字1,820字に対応し、異体字で止まらない
- iCloud経由で複数のMacから同じ住所録とデザインを使える
- 他社ソフトの住所録を最短4クリックで読み込める
- ネットプリントとセブン-イレブン印刷に対応し、プリンターが無くても出せる
デメリット
- ダウンロード版8,690円で、無料の選択肢と比べると費用がかかる
- Windows版の2027 Premium(2,970円)とは価格帯が別物で混同しやすい
- 収録素材15万点はWindows版の筆まめ45万点・筆王30万点より少ない
- コンビニプリントはデザイン面のみの対応で、宛名面は自宅かネットプリントになる
こんな人におすすめ
- 毎年30枚以上を出していて、住所録を資産として育てたいMacユーザー
- 人名の異体字や連名の敬称で毎年つまずいている人
- Windows機を持っておらず、Macだけで完結させたい人
2. Epson Photo+|エプソン製プリンターがあるなら、これで足りる
エプソンが自社のインクジェットプリンター向けに提供している無料のパソコン用アプリです。名前のとおり写真印刷が主目的ですが、エプソン販売のニュースリリースは「宛名印刷と住所録管理機能にも対応しているため、宛名面も簡単に作れます」と明記しています。年賀状やポストカードのデザインコンテンツも収録されており、宛名面と裏面の両方をこれ1本でまかなえます。
Mac用として見たときにいちばん効くのは、対応OSの守備範囲の広さです。エプソン公式のダウンロード情報では、Mac版(Ver 4.0.4.0/2025年10月31日公開)の対応OSが macOS Tahoe(26)/Sequoia(15.x)/Sonoma(14.x)/Ventura(13.x)/Monterey(12.x)/Big Sur(11.x)/Catalina(10.15)/Mojave(10.14)/High Sierra(10.13)/Sierra(10.12)/El Capitan(10.11)/Yosemite(10.10)/OS X Mavericks(10.9) と並びます。市販の宛名職人が macOS 13 以降を要求するのに対し、こちらは10年以上前のOSまで面倒を見ているわけです。買い替えを先延ばししているMacが宛名印刷のためだけに切り捨てられずに済むのは、この記事の5つの方法の中でここだけです。
もうひとつ、はがき印刷では位置合わせの手間が地味に効きます。プリンターを作ったメーカー自身が自社機の給紙とマージンを前提に設計しているので、はがきの端が切れる、宛名が上下にずれるといった微調整で時間を溶かしにくくなります。住所録は取り込みだけでなく書き出しにも対応しているため、翌年に別の方法へ乗り換えたくなっても手詰まりにはなりません(書き出しの形式は公式に明記がないので、実際に保存して確かめておくと安心です)。
弱点ははっきりしていて、エプソン製プリンターに付属するソフトという位置づけであることです。対応機種はエプソンのダウンロードページに型番リストとして掲載されています。手元のプリンターがキヤノン製やブラザー製なら、この方法は最初から選択肢に入りません。
メリット
- 完全無料で、Macのまま宛名面まで作れる数少ないパソコン用アプリ
- OS X Mavericks(10.9)からmacOS 26 Tahoeまで対応し、古いMacでも動く
- プリンターを作ったメーカー自身の設計なので、はがきの位置合わせで手間取りにくい
- 住所録は取り込みだけでなく書き出しにも対応する
- 年賀状のデザインコンテンツも収録され、裏面も作れる
デメリット
- エプソン製プリンターを持っていることが前提になる(対応機種は型番リストで要確認)
- 人名の異体字への対応など、宛名面の作り込みは専用ソフトに及ばない
- 写真印刷アプリの一機能なので、年賀状専用の導線ではない
- 住所録の書き出し形式が公式に明記されていない
こんな人におすすめ
- エプソン製プリンターを使っているMacユーザー
- 年賀状のために新しくソフトを買いたくない人
- 数年前のMacをまだ使っていて、最新OS前提のソフトが入らない人
3. Pages の差し込み印刷 |プリンターのメーカーを問わない完全無料の道
Mac標準のワープロアプリであるPagesには、差し込み印刷の機能が用意されています。Appleの公式ガイドには「連絡先アプリやNumbersスプレッドシートなどのソースから情報が入力されるカスタムフィールドを作成できます」と明記されており、宛先の氏名・住所・郵便番号を差し込みフィールドとして配置できます。
操作は、サイドバーの「書類」→「書類」タブ→「差し込み印刷」から「差し込みフィールドを追加」を選ぶ流れです。差し込みフィールドには宛先と差出人の2種類があり、差出人側に自分の住所を入れておけば宛名面の左下も同時に埋まります。「その他のフィールド」を開けば連絡先アプリのすべての項目を呼び出せ、住所は「1行の住所」の指定を切り替えることもできます。
流し込みは、連絡先グループかNumbersスプレッドシートを指定して行います。実行前にレコードを1件ずつプレビューでき、「差し込む」を押すと全員分のページが並んだ1つの新しい書類が生成されます。100人分なら100ページの書類ができあがるので、あとはそのまま印刷するだけです。連絡先アプリのカードを差し込みフィールドの上にドラッグして1件だけ入れる、という使い方もできます。
この方法の価値は、プリンターのメーカーもソフトの購入も問わないことです。Pagesは Mac App Store から入手でき、年賀状のために新しくソフトを買い足す必要がありません。データ側も、日ごろ使っている「連絡先」がそのまま住所録になります。
弱点は、はがき宛名面のひな形が用意されていないことです。書類のページサイズをはがき(100×148mm)に設定し、縦書きのテキストボックスを置き、郵便番号の7つの枠に合わせて数字を配置する作業を自分で組む必要があります。郵便番号を1文字ずつ枠に送る処理も、住所の番地を漢数字に直す処理も自動では行われません。1年目にひな形を作りきってしまえば翌年からは流用できますが、最初の一度は手間がかかります。
メリット
- プリンターのメーカーを問わず、年賀状のためにソフトを買い足さずに済む
- Macの「連絡先」をそのまま住所録として使える
- Numbersスプレッドシートも差し込み元にできる
- 実行すると全員分のページが並んだ1つの書類ができ、そのまま印刷できる
- Apple純正の標準機能なので、長期にわたって使い続けられる
デメリット
- はがき宛名面のひな形が無く、サイズ設定と縦書きレイアウトを自作する必要がある
- 郵便番号を7つの枠に送る処理が自動化されていない
- 住所の番地を漢数字に変換する機能が無い
- 人名の異体字は連絡先側で入力できる範囲に限られる
こんな人におすすめ
- エプソン製以外のプリンターを使っていて、費用をかけたくない人
- 枚数が20枚程度で、ひな形を一度作れば十分と割り切れる人
- すでにMacの「連絡先」に住所を入れてある人
4. プリンターメーカーのスマホアプリ |Macで粘らずiPhoneに逃がす
エプソンの「スマホでカラリオ年賀」、キヤノンの「PIXUSはがきクリエイター」は、いずれも無料のスマートフォン向けアプリです。宛名面と通信面の両方を作れて、印刷は自宅のプリンターへ直接飛ばします。
エプソンの「スマホでカラリオ年賀」は宛名印刷と住所録管理の機能を搭載し、他社アプリの住所録をCSV形式で取り込めるほか、スマートフォンの電話帳からも住所録を作れます。対応OSはAndroid 9.0以降/iOS 16.0以降/iPadOS 16.0以降です。年度版の入れ替えがあり、2026年版は2025年10月31日に公開されました。
キヤノンの「PIXUSはがきクリエイター」はiOS 17.0以上/Android OS 9.0以上に対応し、住所録は最大1,000件まで作成可能、宛名面の一括印刷は最大100件という具体的な仕様が公式に示されています。PCソフトの住所録データ(CSV)の読み込み、郵便番号検索での入力、最大6人までの連名、機種変更時のデータ移行にも対応します。
Macユーザーにとって、この方法は「敗北」ではなく合理的な逃げ道です。Macで無理にソフトを探すより、手元のiPhoneでメーカー純正アプリを使ったほうが、対応するプリンターを持っている限り確実に早く終わります。
弱点は2つあります。ひとつはMac本体で作業が完結しないこと。もうひとつは、作った住所録がスマートフォン側に閉じやすいことです。どちらのアプリも取り込みはCSVに対応していますが、書き出しの可否や形式は公式に明記がありません。Macで管理している住所録と二重管理にならないよう、どちらを正とするかを先に決めておくと後が楽になります。
使うアプリはプリンターのメーカーで決まります。エプソン製なら「スマホでカラリオ年賀」、キヤノン製なら「PIXUSはがきクリエイター」です。プリンターを使わず注文で済ませるアプリも含めた比較は、年賀状アプリおすすめ5選にまとめました。
メリット
- 無料で、宛名面と通信面の両方を作れる
- スマートフォンの電話帳から住所録を作れる
- 他社アプリの住所録をCSVで取り込める(書き出しは公式に明記なし)
- プリンターメーカー純正なので印刷設定でつまずきにくい
- キヤノン版は連名6人まで、住所録1,000件までと仕様が明確
デメリット
- Mac本体では完結せず、iPhoneかiPadが必要になる
- 住所録が端末側に閉じ、Mac側と二重管理になりやすい
- 対応するメーカーのプリンターを持っていることが前提
- 年度版の入れ替えがあり、毎年アプリ側の更新を待つ必要がある
こんな人におすすめ
- キヤノン製またはエプソン製のプリンターとiPhoneを持っている人
- 枚数が少なく、とにかく早く終わらせたい人
- Macにソフトを増やしたくない人
5. Web年賀状キット|ブラウザだけで完結するが、開いている時期が限られる
ブラザーが提供している無料のWebサービスです。公式の説明によれば、専用の年賀状ソフトをインストールせずに、Webブラウザだけで年賀状のデザイン選択から編集・印刷までできます。「年賀状ソフトを毎年買うのはもったいない」という層に向けたサービスという位置づけです。
宛名面についても、専用ソフト不要で年賀状の宛名を簡単に作成できると明記されており、毎年使っている住所録を流し込んで使うことも可能とされています。テンプレートは約400種類、喪中はがきと寒中見舞いの作成にも対応します。ブラウザで動くのでOSを選ばず、Macでもそのまま使えます。
ただし、この方法には通年で使えないという明確な制約があります。ブラザーの公式ページには、本記事の確認時点(2026年9月6日)で次のお知らせが掲示されていました。
Web年賀状キット2026版のサービスは終了いたしました。
つまり2026年用のサービスはすでに閉じており、本記事の確認時点では2027年用も公開されていません。ブラザーは2027年用を出すともいつ開くとも告知していないため、ここは推測せずに事実だけを書いておきます。
参考までに、この種の年賀サービスは秋に年度版が切り替わるのが通例で、エプソンの「スマホでカラリオ年賀」は2025年版・2026年版とも10月31日に公開されています。Web年賀状キットについては、開いていたら使う、開いていなければ他の4つから選ぶという当て方をしておくのが安全です。
メリット
- 完全無料で、インストールなしにブラウザだけで使える
- 専用の年賀状ソフトをインストールせずに使い始められる
- 宛名面と裏面の両方を作れて、住所録の流し込みにも対応する
- 喪中はがき・寒中見舞いにも対応している
- OSを選ばないのでMacでもそのまま動く
デメリット
- 年度版のサービスが閉じている期間は使えない(2026年9月時点で2027年用は未公開)
- データがサービス側に置かれるため、年度をまたいだ資産化がしにくい
- オフラインでは作業できない
- 人名の異体字など、細かい宛名処理は専用ソフトに及ばない
こんな人におすすめ
- 10月以降に準備を始めるMacユーザー
- ソフトのインストールを避けたい人
- 喪中はがきや寒中見舞いも同じ場所で作りたい人
プリンターを持っていないなら、宛名印刷は外注できる
ここまでの5つは、いずれも自宅にプリンターがあることが前提です。Macは持っているがプリンターは持っていない、という場合は、印刷そのものを外に出す手があります。
しまうまプリントやラクスルといったネット印刷は、年賀状の印刷を注文すると宛名印刷を無料のオプションとして提供しています。しまうまプリントの公式ページには「宛名の登録料金・印刷料金は無料です」と明記されており、筆ぐるめ・筆まめ・はがきデザインキットの住所録をまとめて取り込めるほか、専用ファイルを使えば大量の宛先を一度に登録できます。登録した宛先は翌年以降も使えて、Excel形式でダウンロードすることもできます。
※ ラクスルは本記事の確認時点(2026年9月6日)で「2027年度の年賀状販売は終了しました」と告知しており、次年度ページは準備中です。宛名印刷・投函代行が無料という表記自体は公式に掲載されています。
ブラウザで完結するのでMacかWindowsかは関係ありません。ただし宛名印刷が無料になるのはその店で年賀状そのものを注文した場合なので、「手持ちのはがきに宛名だけ刷ってもらう」用途には使えない点に注意してください。この方式の詳細は「年賀状の宛名印刷を無料で済ませる方法5選」で扱っています。
同じしまうまプリントが2025年4月から運営している年賀状スクエア(旧ネットスクウェアNET年賀状印刷)も、宛名印刷と送料を無料にしています。こちらは宛名の登録をスマートフォンからでも行えるので、住所をiPhoneの連絡先を見ながら打ち込みたい人には手順が短く済みます。以前Windowsで筆まめ・筆ぐるめ・みんなの筆王を使っていた場合は、その住所録データも取り込めると公式に案内されています。価格は85円のはがき代込みの表示です。
年賀状スクエアのデザインと価格を見る宛名職人を使う場合は、製品内から申し込める「ネットプリント」でも同じことができます。1枚から注文でき、自宅への配送と投函代行のどちらも選べます。
用途別おすすめまとめ
| こんな人 | おすすめ | 理由 |
|---|---|---|
| 毎年30枚以上を出すMacユーザー | 宛名職人 Ver.33 | Mac専用設計で宛名面の処理が全部入り。住所録が毎年の資産になる |
| エプソン製プリンターを持っている | Epson Photo+ | 無料で宛名まで完結し、印刷位置もずれにくい |
| キヤノン製プリンターを持っている | PIXUSはがきクリエイター | キヤノン純正のMac用宛名アプリが無いので、iPhoneアプリが最短 |
| 1円も使いたくない/枚数が少ない | Pages の差し込み印刷 | 追加費用ゼロ。ひな形を1年目に作れば翌年から流用できる |
| 10月以降に準備を始める | Web年賀状キット | ブラウザだけで宛名面まで作れる。開いていれば有力 |
| プリンターを持っていない | ネット印刷の宛名印刷 | 注文すれば宛名印刷は無料。Macかどうかは関係ない |
| 人名の異体字で毎年止まる | 宛名職人 Ver.33 | 人名外字1,820字に対応。無料の方法ではここが天井になる |
無料で足りるかどうかの分かれ目は、枚数ではなく「宛名面でどこまで凝る必要があるか」です。友人向けに20枚を出すだけなら無料の方法で十分ですし、取引先を含めて連名・敬称・異体字を正確に扱う必要があるなら、専用ソフトの価格分の働きは確実にあります。
宛名職人 Ver.33(Mac版)の詳細を見るMacで年賀状を作るときに気をつけること
1. まず自分のプリンターのメーカーを確認する
Macでの選択肢は、プリンターのメーカーでほぼ決まります。エプソン製ならEpson Photo+で無料のまま完結し、キヤノン製ならiPhoneアプリが最短、それ以外ならPagesか宛名職人という順に絞られます。ソフトを探す前にプリンターの型番を確認したほうが、遠回りせずに済みます。
2. 購入前に「対応OS」の欄を確かめる
年賀状ソフトのパッケージや通販ページは、Windows版とMac版で見た目がよく似ています。宛名職人はWindows版の「2027 Premium」(2,970円)とMac版の「Ver.33」(8,690円)が別製品で、価格も3倍近く違います。Macで使うなら、対応OSの欄にmacOSと書かれているかを購入画面で確かめておくと確実です。
3. 普通紙でテスト印刷してから年賀はがきに刷る
宛名面は位置がわずかにずれるだけで郵便番号が枠から外れます。特にPagesで自作したひな形は、はがきサイズの余白設定とプリンター側の余白が食い違いやすいので、普通紙をはがきサイズに切って試し刷りをしてから本番に進んでください。宛名職人には「一枚プリント」、Epson Photo+にはプレビューが用意されています。
4. 住所録は手元にも書き出しておく
どの方法を選んでも、住所録は自分の手元にも書き出しておくのが安全です。スマホアプリやWebサービスは端末やサービス側にデータが閉じやすく、翌年に方法を変えたくなったときに引っ越せなくなります。Epson Photo+ は住所録の書き出しに対応し、しまうまプリントは登録済みの宛先をExcel形式でダウンロードできます。書き出し機能が見当たらない場合は、Macの「連絡先」に入れておくのが実質的な保険になります。連絡先はiCloudで同期され、Pagesの差し込み印刷にも宛名職人にもそのまま渡せるからです。
よくある質問
Q. Macで使える年賀状ソフトは本当に宛名職人だけですか?
市販の年賀状ソフトとしては、実質的にそうなります。日本の定番4ブランド(筆まめ・筆ぐるめ・筆王・宛名職人)の公式比較表では、対応OSがmacOSになっているのは宛名職人だけです。ただし本記事のとおり、Epson Photo+やPagesの差し込み印刷など、市販ソフト以外の道はありますので「Macでは年賀状が作れない」ということはありません。
Q. Macで宛名印刷を無料で済ませることはできますか?
できます。エプソン製プリンターを持っているならEpson Photo+が最も現実的で、宛名面の作成・印刷と住所録の管理をアプリ内で完結できます。プリンターのメーカーを問わない方法ならPagesの差し込み印刷があり、こちらは連絡先アプリやNumbersから宛先を流し込めます。ただしはがき宛名面のひな形は自分で組む必要があるため、最初の一度だけ手間がかかります。
Q. Mac版のWordでも宛名印刷はできますか?
差し込み印刷そのものは使えますが、Windows版のようには進みません。Windows版Wordにある「はがき宛名面印刷ウィザード」は、Mac版で使えるという案内をMicrosoftの公式ドキュメントに見つけられませんでした(Microsoftのコミュニティ回答でも「Mac版にはない」とされています)。実際にはがきサイズの文書にテキストボックスを置いて差し込みフィールドを自分で配置する形になり、手間はPagesとほぼ同じです。しかもOfficeのライセンスが必要になるので、Macで無料の方法を探しているならPagesのほうが素直でしょう。
Q. Apple SiliconのMacにWindowsを入れて筆まめを使えませんか?
Boot Campは使えません。Appleの公式ガイドがIntel Mac向けの機能と位置づけているためで、詳しくは本文「Windows環境を用意する方法は割に合わない」で触れています。Parallels Desktopなどの仮想化ソフトを使う道は残りますが、仮想化ソフトとWindowsのライセンスを買い足すと、年賀状ソフト1本を買うより高くつきます。年に一度の宛名印刷のためには割に合いません。
Q. 宛名職人のMac版とWindows版で住所録は共有できますか?
宛名職人は他ソフトで作成した住所録の読み込みに対応しており、公式は最短4クリックで完了するとしています。ただしMac版のVer.33とWindows版の2027 Premiumは別製品として管理されているため、移行の前にCSVで書き出しておくのが安全です。加えてMac版はiCloud対応なので、複数のMacの間であればデザインと住所録をそのまま共有できます。
Q. 2027年用の年賀はがきはいつから買えますか?
日本郵便の発表にもとづく2027年用のスケジュール(販売開始日、元日到着の差出日の目安、販売終了日など)は「年賀状の宛名印刷を無料で済ませる方法5選」に一覧でまとめています。元日に届けるための差出日の目安が前年から繰り下がっているので、準備を始める前に確認しておくことをおすすめします。
Q. Macでも喪中はがきは作れますか?
作れます。宛名職人は年賀状のほか暑中見舞いなどの挨拶状に対応し、住所録側で喪中の相手を考慮したグループ分けもできます。Pagesの差し込み印刷も、ひな形さえ作れば宛名面はそのまま流用できます。無料のテンプレートで文面から用意する手順は「喪中はがきを無料で作る方法5選」にまとめました(ブラザーのWeb年賀状キットは喪中はがきに対応していましたが、現在はサービスが終了しています)。
まとめ:プリンターのメーカーを見れば、選択肢は絞れる
Macで年賀状を作るときにつまずくのは、デザイン面ではなく宛名面と住所録だけです。そして日本の定番4ブランドのうちmacOSに対応しているのは宛名職人 Ver.33の1本だけという事実が、Macユーザーの選択肢を狭く見せています。
実際には、宛名面まで出しきる道は5つあり、そのうち4つはMacだけで完結します(残る1つ、プリンターメーカーのスマホアプリだけはiPhoneやiPadを使います)。整理すると次の順番で考えるのが最短です。
- プリンターのメーカーを確認する(エプソン製ならEpson Photo+で無料のまま完結、キヤノン製ならiPhoneアプリが最短)
- 費用をかけたくないなら Pages の差し込み印刷(連絡先かNumbersを住所録にして、ひな形を1年目だけ作る)
- 毎年出す/異体字や連名を正確に扱うなら宛名職人 Ver.33(8,690円・5台まで・連絡先アプリとシンクロ)
- 10月以降で、インストールを避けたいならブラザーのWeb年賀状キット(年度版が開いている期間だけ使えます)
- プリンターが無いならネット印刷(注文すれば宛名印刷は無料)
無料か有料かで先に決めないでください。20枚を友人に出すだけなら無料の方法で十分ですし、住所録を毎年積み上げていく前提なら、宛名面の面倒を全部引き受けてくれる1本を持っておく価値は価格分あります。判断材料は枚数ではなく、宛名面でどこまで正確さを求めるかです。
※ 本記事の価格・仕様は2026年9月時点の各公式情報にもとづきます。最新の情報は各公式サイトでご確認ください。



