「Microsoft Publisherがいよいよ終わる」「社内のPubファイルを何で開けばいいのか」——そんな人のために、Microsoft Publisherの代わりになる無料・格安ソフト7本を比較しました。
MicrosoftはMicrosoft 365版Publisherの提供を2026年10月に終了することを正式にアナウンスしており、以降は365からPublisherが削除され、買い切り版の新規販売も停止されます(既にインストール済みの買い切り版は当面起動可能)。長年Publisherでチラシ・ニュースレター・パンフレット・差し込み印刷を作ってきたユーザーは、早めの移行先決定が必要です。
この記事の結論
- 本格DTPを無料で → Affinity Publisher(2025年10月に無料化、商用利用可)
- 完全無料のOSSで粘る → Scribus(プロ向けDTPをオープンソースで)
- テンプレ駆動で手早く → Canva(チラシ・SNS投稿・名刺を簡単に)
- Word/LibreOfficeで済ませる → Word or LibreOffice Draw(既存Officeで完結)
Publisherはなぜ終わる?代替を急ぐ3つの理由
1. Microsoft 365版Publisherが2026年10月で終了
Microsoftは、Microsoft 365版Publisherの提供を2026年10月に終了すると公式アナウンスしています。同時期に買い切り版の新規販売も停止される見込みです。インストール済みの買い切り版は当面起動可能ですが、将来的にセキュリティ更新が止まるため長期利用には向きません。
2. 公式代替はWord・PowerPoint・Designer
Microsoft自身は移行先としてWord(レイアウト機能の拡充)、PowerPoint(1枚ものデザイン)、Microsoft Designer(AIデザイン)を案内しています。ただし「Publisherと同じ使い勝手」ではないため、既存のPubファイル運用や凝った印刷物には別途DTP専用ツールが必要です。
3. Affinity Publisherが2025年10月に完全無料化
Publisher終了の直前である2025年10月、Canva傘下のAffinityスイート(Publisher・Photo・Designer)が完全無料化されました。従来有料だったDTPソフトが無料になったことで、「Publisher卒業→Affinity Publisher移住」が現実的な選択肢になっています。
比較表:Publisher代替7本まとめ
| ソフト名 | 料金 | 対応OS | Publisher(.pub)対応 | 本格DTP機能 | 日本語UI | 学習コスト | おすすめ度 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| Affinity Publisher | 完全無料 | Win/Mac/iPad | ×(PDF経由) | ◎ | ◎ | 中 | ★★★★★ |
| Scribus | 完全無料(OSS) | Win/Mac/Linux | ×(PDF経由) | ◎ | ◎ | 中〜高 | ★★★★☆ |
| Canva | 完全無料〜(Pro有料) | ブラウザ/iOS/Android | × | ○ | ◎ | 低 | ★★★★☆ |
| LibreOffice Draw | 完全無料(OSS) | Win/Mac/Linux | △(一部) | ○ | ◎ | 低 | ★★★☆☆ |
| Microsoft Word | Microsoft 365契約必要 | Win/Mac/Web/iOS/Android | △(同じOfficeスイート) | △ | ◎ | 低(既知) | ★★★☆☆ |
| Marq (旧Lucidpress) | 完全無料〜(Pro有料) | ブラウザ | × | ○ | ○ | 低 | ★★★☆☆ |
| Swift Publisher | 買切$19.99(Mac App Store) | Mac | × | ○ | △(一部英語) | 低 | ★★★☆☆ |
※ ◎=完全対応 / ○=対応 / △=部分対応または有料 / ×=非対応
※ .pub直接対応できる無料代替は現状ほぼ存在しない。移行時は**PubファイルをPDF書き出し→新ツールで再編集**するのが基本
※ 2026年4月時点、各公式情報より。最新は各ソフトの公式サイトでご確認ください。
読み取り方のヒント
- Affinity Publisherは無料化で一気に候補入り。Publisherに近い本格DTPを無料で使える数少ない選択肢
- Scribusはオープンソース派向け。PDF/X等プロ向け出力規格に強い
- Canvaは「チラシや告知物を手早く1枚作る」用途に最適。本格的な書籍レイアウトには不向き
- LibreOffice Drawは限定的ながら
.pubファイルの一部機能を読み込める数少ない無料ソフト
各ソフトを詳しく見る
1. Affinity Publisher|2025年無料化で本命化
旧Serif社(現Canva傘下)が開発する本格DTPソフト。2025年10月にAffinityスイート(Photo・Designer・Publisher)全体が完全無料化され、従来有料だった買い切りが無料で使えるようになりました。InDesignに対抗する本格機能を持ち、個人・商用利用とも無料。
メリット
- 完全無料(2025年10月の無料化以降)
- InDesign級の本格DTP機能
- Photo・Designerとスタジオ連携
- Win/Mac/iPad対応
- 商用利用も無料で可能
デメリット
- Publisher(.pub)ファイルは直接開けない
- UIはPublisherより多機能で学習コスト中程度
- 動作PCにそれなりのスペックが必要
Publisherで作ったデータを一度PDFに書き出し、Affinity Publisherで開いて編集するのが基本ワークフローです。テキストや画像は再配置が必要ですが、Publisher級以上の品質で作り直せるため長期的には満足度が高い選択肢です。
👤 こんな人におすすめ
- Publisherで本格的な印刷物を作っていた人
- InDesignは高すぎると感じていた人
- これから本気でDTPを学びたい人
2. Scribus|OSS派の本格DTP
2003年から続くオープンソースのDTPソフト。GPLライセンスの完全無料で、PDF/X-1a・PDF/X-3などプロの印刷入稿に使える規格にもしっかり対応します。老舗OSSらしく、日本語組版にも実用レベルで対応しています。
メリット
- 完全無料・GPLライセンス
- PDF/X等プロ印刷規格に対応
- Win/Mac/Linuxでほぼ同じUI
- CMYKカラーワークフローに対応
- 商用利用も無料で可能
デメリット
- Publisher(.pub)は直接開けない
- UIは実用重視でモダンさに欠ける
- 日本語情報はAffinityほど多くない
印刷所への入稿品質を保ちたい業務向け。無料で入稿PDFまで作れるのはScribusの独自の強みです。
👤 こんな人におすすめ
- OSSで完結させたい人
- 印刷所への入稿を想定している人
- Linux環境で作業する人
3. Canva|テンプレ駆動で手早く作る
テンプレート駆動型のオンラインデザインツール。チラシ・ポスター・ニュースレター・名刺などPublisherの主要用途はほぼカバーでき、無料プランでも実用的に使えます。ブラウザベースで導入不要、スマホアプリも併用できます。
メリット
- テンプレートが豊富で、ゼロから悩まない
- ブラウザ完結、インストール不要
- 無料プランでもチラシ・名刺は十分作れる
- スマホ・タブレットでも編集可能
- 共同編集が滑らか
デメリット
- 本格DTP(ページ物・長文組版)には向かない
- Publisher(.pub)は開けない
- プレミアム素材・背景透過はPro(月1,500円前後)
「チラシ1枚を手早く作りたい」程度の用途ならCanvaが最短。ゼロから作り直す前提でもテンプレがあるぶん負担は軽めです。
👤 こんな人におすすめ
- 簡単なチラシ・告知・SNS投稿を作る人
- デザインの知識があまりない人
- 複数のテンプレから選びたい人
4. LibreOffice Draw|無料で.pubを一部読める
オープンソースの統合オフィススイート「LibreOffice」に含まれるドロー・ページレイアウトツール。完全無料で、Publisher(.pub)ファイルの一部を読み込める数少ない代替です。ただし完全互換ではなく、凝ったレイアウトは崩れる可能性があります。
メリット
- 完全無料・商用利用可
- .pubファイルを一部読み込める
- Win/Mac/Linux対応
- 図形描画・フローチャートも作れる
デメリット
- .pubの複雑なレイアウトは崩れる
- 本格DTP機能はAffinity/Scribusに劣る
- テンプレートは少なめ
「手元のPubファイルの中身を取り出したい」用途に最適。取り出した後、本格編集はAffinity/Scribus、簡易編集はCanvaに引き継ぐ流れが現実的です。
👤 こんな人におすすめ
- 過去のPubファイルを救出したい人
- LibreOfficeを既に使っている人
- オフライン環境で作業する人
5. Microsoft Word|MS公式の推奨代替
MicrosoftがPublisher終了後の代替として公式に案内しているのがWord・PowerPoint・Microsoft Designerの3点です。Wordはレイアウト機能が年々強化されており、既存のPubファイルをWordで開ける場合もあります(ファイルによります)。
メリット
- Microsoft 365契約者なら追加費用なし
- MS公式が推奨する移行先
- テキスト差し替え・印刷の基本機能は揃う
- 職場・取引先との互換性が高い
デメリット
- Publisher相当の自由なレイアウトは不得手
- Microsoft 365契約が必要(年21,300円〜)
- 本格DTPではない
既にMicrosoft 365を契約している人の延長線として現実的です。ただしチラシの凝ったレイアウトはWordでは再現しきれないので、重い用途はAffinity/Scribusと併用が安全です。
👤 こんな人におすすめ
- Microsoft 365を継続契約している人
- 凝ったレイアウトより「中身の更新」が中心の人
- 取引先もWordで統一したい人
6. Marq (旧Lucidpress)|クラウドDTPで共同編集
旧Lucidpressから2022年にリブランドされたクラウドDTPサービス。ブランドテンプレートを複数人で共同編集できる法人寄りの設計で、チラシ・ニュースレター・名刺・パンフレットなどPublisherの用途をカバーします。無料プランでも基本機能が使えます。
メリット
- ブラウザ完結で導入不要
- 共同編集・承認フローが組める
- ブランドテンプレのロック機能
- CSV連携で差し込み印刷風の自動化
デメリット
- 日本語UIが一部英語混じり
- 無料プランは機能に制限あり
- 個人用途には法人向け機能が過剰
社内で複数人が交代でチラシを作る法人・団体向けに向きます。個人の1枚物ならCanvaのほうが軽快です。
👤 こんな人におすすめ
- 社内で共通テンプレを運用したい組織
- ブランドガイドを守らせたい管理者
- CSV連携で自動化したい人
7. Swift Publisher|Mac向けの買い切り格安DTP
BeLight Softwareが開発するMac専用のDTPソフト。Mac App Storeで$19.99前後の買い切りで販売されており、テンプレート・ガイド・ページ割り付けなどPublisherに近い操作感です。買い切り・Mac限定という組み合わせでニッチに定着しています。
メリット
- 買い切り$19.99前後と安価
- UIがPublisherに比較的近い
- テンプレート豊富
- サブスク不要
デメリット
- Mac専用(Windows不可)
- 日本語情報が少なめ
- 本格的な印刷入稿はScribus/Affinityに劣る
Macユーザーで「安価な買い切りが欲しい」人にピッタリ。サブスクを避けたい個人事業主にも合います。
👤 こんな人におすすめ
- Macで作業する個人・個人事業主
- 買い切りで完結させたい人
- Publisherに近い操作感を残したい人
用途別おすすめまとめ
| 目的 | おすすめ | 理由 |
|---|---|---|
| 本格DTPを無料で | Affinity Publisher | 無料化+商用利用可+InDesign級 |
| OSS派・印刷所入稿 | Scribus | PDF/X対応・完全無料 |
| 手早くチラシ1枚 | Canva | テンプレ豊富・学習コスト最小 |
| 既存Pubファイルを救出 | LibreOffice Draw | 一部ファイルを読み込める無料ツール |
| MS 365で継続 | Word | MS公式の推奨代替 |
| 社内共同編集 | Marq | ブランド管理・承認フロー |
| Mac買い切り | Swift Publisher | $19.99・Publisher風UI |
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Publisherからの移行で気をつけること
1. .pubファイルは先にPDFへ書き出す
Publisherが手元で動くうちに、全てのPubファイルをPDFで書き出してバックアップしておくのが最優先です。PDFなら10年後でも開けますし、AffinityやScribusへの再編集素材としても使えます。
2. 差し込み印刷は仕組みが変わる
Publisherの差し込み印刷(名簿データ→宛名ラベル等)は、代替ソフトによって仕組みが違います。Affinity PublisherはData Merge、MarqはCSVインポート、Canvaは一括作成機能——それぞれ操作感が異なるため、移行前に試行が必要です。
3. フォントは同梱されていない
Publisherで使っていた日本語フォントが、移行先で同じ名前・形で入っているとは限りません。代替フォント(Noto Sans JP・源ノ角ゴシック等の汎用)への置き換えを前提に、本文フォント設計の見直しも兼ねるのが現実的です。
4. 業務の共有先にも代替ソフトを伝える
Publisherファイルを社内・取引先と共有していた場合、相手先も同時に移行プランを立てる必要があります。最終出力はPDFで統一、編集可能ファイルはAffinity/Scribusなど共通ツールに揃えておくと、後からの混乱を防げます。
よくある質問
Q1. Publisher終了後、既存のPubファイルは開けなくなりますか?
買い切り版Publisherがインストール済みの端末では当面開けます(ただしセキュリティ更新は停止)。LibreOffice Drawでも一部の.pubファイルは読み込めますが、複雑なレイアウトは崩れる可能性があります。Publisherが動くうちに全ファイルをPDFに書き出すのが安全です。
Q2. Affinity Publisherは本当に完全無料ですか?
はい、2025年10月にCanva傘下のAffinityとして無料化が発表されました。個人・商用とも無料で、機能制限もありません。ただしサービスの料金方針は将来変更される可能性があるため、利用開始前に公式の最新ライセンス条項を確認してください。
Q3. 無料ツールで印刷所への入稿はできますか?
Affinity PublisherとScribusはPDF/X規格の出力に対応しており、印刷所への入稿品質を確保できます。Canva・Marqは入稿用PDFとしてはやや制限があり、同人誌や本格的な商業印刷では物足りない場合があります。
Q4. Publisher相当の差し込み印刷(宛名印刷)はできますか?
Affinity Publisher(Data Merge機能)、Marq(CSVインポート)、Scribus(Script機能)、Word(差し込み印刷機能)で代替可能です。Canvaの一括作成機能も簡易的な差し込みには使えますが、数百件規模の宛名運用ならWordかAffinityが安定します。
Q5. 職場ではどれを標準にするのが無難ですか?
Microsoft 365をすでに契約している職場ならWord中心、凝ったレイアウトが必要ならAffinity Publisherを追加という組み合わせが現実的です。無料枠で揃えたいならScribusかLibreOffice Drawが選択肢になります。
Q6. Publisher代替を選ぶ前に何を準備すべきですか?
①既存Pubファイルを全てPDFに書き出す、②よく使っていたテンプレート(チラシ・名刺・ニュースレター等)をリスト化、③使用フォントの棚卸し、④差し込み印刷のCSVデータ形式の整理——この4点を済ませてから代替ソフトを試すと、乗り換えがスムーズです。
まとめ:まずはAffinity Publisherを試そう
Microsoft Publisherの終了に備えて、最初に試すべきはAffinity Publisherです。2025年10月の無料化で個人・商用とも無料になり、Publisherより本格的なDTPが同等以下のコストで手に入る数少ないタイミングにあります。
「OSS派で完全無料」ならScribus、「チラシ1枚を手早く」ならCanva、「既存Pubファイルを救出」ならLibreOffice Drawを——この順番で検討すれば失敗は少ないです。
2026年10月のPublisher終了までに残されているのは約半年。手元のPubファイルをPDFでバックアップし、代替ソフトを1つ決めて慣れておくのが安全です。ぎりぎりになって慌てるより、Affinityの無料化という追い風を使って、今のうちに移行を終わらせるのが得策です。
まずは1本、気になったソフトをダウンロードしてみてください。