Microsoft Publisherは、Microsoft 365版が2026年10月1日に使えなくなり、買い切り版(Office 2021・Office LTSC 2021)も10月13日にサポート終了となります。「チラシや会報を何で作り直せばいいのか」「手元の.pubファイルをどう開けばいいのか」に困っている人のために、Publisherの代わりになる無料・格安ソフト7本を比較しました。

Publisherで.pubファイルを開けなくなった人向けに、今からでもできる.pubの開き方・変換方法もまとめています。

この記事の結論

  • 本格DTPを無料で → Affinity(2025年10月に無料化。旧Affinity Publisherの機能を含む)
  • 完全無料のOSSで粘る → Scribus(プロ向けDTPをオープンソースで)
  • テンプレ駆動で手早く → Canva(チラシ・SNS投稿・名刺を簡単に)
  • Microsoft 365を契約中なら → Word(Microsoftが案内する公式の移行先)
  • 開けなくなった.pubを救出 → LibreOffice Draw(無料で一部の.pubを開いてPDFにできる)

Publisherはなぜ終了した?365版・買い切り版で変わったこと

Microsoftは、Publisherでできていたことは、WordやPowerPointなどほかのMicrosoft 365のアプリで代わりができるとして、提供を終えることにしました。365版と買い切り版で、期限と影響が違います。

1. Microsoft 365版は10月1日から使えない

Microsoftのサポートページは、Microsoft 365の契約者は2026年10月1日以降Publisherを利用できないと案内しています。管理者向けのお知らせでも、Publisherで.pubファイルを開くことも編集することもできなくなるとされています。期限後に365版で.pubを変換する公式の方法は、案内されていません。

2. 買い切り版はサポート終了後も使える

Office 2021・Office LTSC 2021に含まれる買い切り版Publisherは、2026年10月13日にサポートが終了となります。Microsoftは、買い切り版はサポート終了後もインストールして使えると案内しています。ただしセキュリティ更新が止まるため、長く使い続けるのには向きません。Office 2019・Office 2016はすでに2025年10月にサポートが終わっています。また、Office LTSC 2024にはPublisherが含まれていません。

3. 公式の後継(移行先)はWord・PowerPoint

Microsoftが移行先として案内しているのはWordとPowerPointで、デザインのテンプレートはMicrosoft Createから使う形です。ただし「Publisherと同じ使い勝手」ではないため、凝った印刷物には別のDTPソフトが必要になります。

4. Affinityが2025年10月に無料化

Publisherの終了を前にした2025年10月、Canva傘下のAffinityが、Photo・Designer・Publisherを1本にまとめた無料アプリ「Affinity」になりました。有料だったDTPソフトが無料で使えるようになり、「Publisherから乗り換えるならAffinity」が現実的な選択肢になっています。

Publisherで開けなくなった.pubファイルの開き方

Microsoft 365版で期限を過ぎてしまった人でも、次の方法で.pubファイルの中身を取り出せる場合があります。

  1. 買い切り版Publisherが入っているパソコンで開く:家族や職場のパソコンにOffice 2021などの買い切り版が入っていれば、そこで開いて「ファイル」→「名前を付けて保存」からPDFやWord形式で保存できます(Word形式は文字が中心で、画像やレイアウトは引き継がれません)
  2. LibreOffice Drawで開く:無料のLibreOfficeは、Publisher 98〜2010形式の.pubを開けると公式ガイドに書かれています。開いたらPDFに書き出します。複雑なレイアウトは崩れることがあります。無料のDTPソフトScribusにも、.pubの読み込み機能があります
  3. オンラインの変換サービスを使う:ファイルを外部のサーバーに送るので、個人情報や社外秘を含む.pubには使わないでください
    • CloudConvert:.pubをPDFや画像に変換できます(公式によると、ファイルは処理後すぐに削除されます)
    • Zamzar:.pubからPDFに変換できます。無料では3MBまでです

比較表:Publisher代替7本まとめ

ソフト名料金対応OSPublisher(.pub)対応本格DTP機能日本語UI学習コストおすすめ度
Affinity完全無料Win/Mac×(PDF経由)◎◎中★★★★★
Scribus完全無料(OSS)Win/Mac/Linux△(一部・崩れあり)◎◎中〜高★★★★☆
Canva無料〜(Pro有料)ブラウザ/iOS/Android×○◎低★★★★☆
LibreOffice Draw完全無料(OSS)Win/Mac/Linux△(一部)△◎低★★★☆☆
Microsoft WordMicrosoft 365契約必要Win/Mac/Web/iOS/Android×(PDF経由)△◎低(既知)★★☆☆☆
Marq (旧Lucidpress)無料〜(Pro有料)ブラウザ×○○低★★★☆☆
Swift Publisher買切3,000円(Mac App Store)Mac×○○低★★★☆☆

※ ◎=完全対応 / ○=対応 / △=部分対応または有料 / ×=非対応

※ .pubを直接編集できる無料の代替はほぼない。移行はPDFに書き出し→新しいソフトで作り直すのが基本

※ 2026年10月時点、各公式情報より。最新は各ソフトの公式サイトでご確認ください。

読み取り方のヒント

  • Affinityは無料化で一気に候補入り。Publisherに近い本格DTPを無料で使える数少ない選択肢(Canvaアカウントが必要)
  • Scribusはオープンソース派向け。PDF/X等プロ向け出力規格に強い
  • Canvaは「チラシや告知物を手早く1枚作る」用途に最適。本格的な書籍レイアウトには不向き
  • LibreOffice Drawは限定的ながら.pubファイルの一部機能を読み込める数少ない無料ソフト

総合評価:5軸ランキング

機能性・使いやすさ・コスパ・拡張性・安定性の5軸で評価しました。基準は「2026年10月のPublisher終了後、これまでの印刷物制作をそのまま続けられるか」です。

表の並びは下の「各ソフトを詳しく見る」と同じ順です。総合◎はAffinityの1本で、DTPの中身をいちばん妥協なく引き継げます。

ソフト 機能性 使いやすさ コスパ 拡張性 安定性 総合
1. Affinity ◎ ○ ◎ ◎ ○ ◎
2. Scribus ◎ △ ◎ ○ ◎ ○
3. Canva ○ ◎ ○ ○ ◎ ○
4. LibreOffice Draw △ ○ ◎ ○ ◎ ○
5. Microsoft Word △ ◎ △ ○ ◎ △
6. Marq (旧Lucidpress) ○ △ ○ ◎ ○ ○
7. Swift Publisher △ ◎ ◎ △ ○ ○

評価の根拠

  • Affinity(総合◎):InDesign級の本格DTP機能を備え機能性◎、2025年10月の無料化で、有料だった旧Affinity Publisherの機能が0円になりコスパ◎(AI機能だけはCanvaの有料プランが必要)。写真編集・イラスト機能と1本にまとまり、Win/Mac対応で拡張性◎です。UIがPublisherより多機能で学習コストが中程度のため使いやすさ○、動作にそれなりのPCスペックを要求する点で安定性○。.pubは直接開けませんが、印刷物の中身を作り続けるという一点では最も妥協が少ない1本です
  • Scribus(総合○):PDF/X-1a・PDF/X-3などプロの入稿規格とCMYKワークフローに対応し、印刷所へ出す前提なら機能性◎。完全無料GPLでコスパ◎、2003年から続く開発で安定性◎です。総合が○にとどまるのは、UIが実用重視でモダンさに欠け、学習コストが中〜高という使いやすさ△が、Publisherからの移行では現実的な壁になるため。日本語情報もAffinityほど多くなく拡張性○です
  • Canva(総合○):テンプレートが豊富でゼロからレイアウトを考えずにチラシ・名刺・ニュースレターを作れる使いやすさ◎。ブラウザ完結でスマホからも編集でき、共同編集も滑らかで拡張性○、運営体制も安定しており安定性◎。ただしページ物・長文組版といった本格DTPには向かず機能性○、プレミアム素材や背景透過は有料のCanvaプロが必要でコスパ○です。簡単な告知物が中心なら本命になります
  • LibreOffice Draw(総合○):無料で.pubファイルを一部読み込める数少ないソフト——この一点だけで過去資産の救出手段として価値があり、データ互換性の面で拡張性○、Officeに近い操作画面で使いやすさ○、完全無料でコスパ◎、全OS対応で安定性◎です。ただし複雑なレイアウトは崩れ、本格DTP機能はAffinity/Scribusに明確に劣るため機能性△。新しく作る場所ではなく、古い.pubを開く場所と位置づけるのが実態に合います
  • Microsoft Word(総合△):Microsoftが公式に案内する移行先で、職場・取引先との互換性は随一。使い慣れているぶん使いやすさ◎、差し込み印刷やテンプレートが揃い拡張性○、提供元の安定性◎です。総合が△なのは、Publisher相当の自由なレイアウトが不得手で本格DTPではない機能性△と、Microsoft 365の契約(年21,300円〜)が前提になるコスパ△が重なるため。他の6本が無料または3,000円で済むなかで、費用対効果が最も見劣りします。すでに365を契約していて、レイアウトより中身の更新が中心の人にとっては合理的な選択です
  • Marq(旧Lucidpress)(総合○):ブランドテンプレのロック・承認フロー・CSV連携(有料プラン)という組織運用の機能が7本で最も充実しており拡張性◎。チラシ・名刺・パンフレットなどPublisherの用途はカバーでき機能性○です。ただし日本語の情報が少なく、法人向けの機能が多いため使いやすさ△、無料プランは機能制限があり個人には法人向け機能が過剰でコスパ○。社内で共通テンプレを配る組織向けです
  • Swift Publisher(総合○):UIがPublisherに比較的近くテンプレートも豊富で使いやすさ◎、Mac App Storeで3,000円の買い切りでサブスク不要のためコスパ◎。一方で本格的な印刷入稿はScribus/Affinityに劣り機能性△、Mac専用(Windows不可)で日本語情報も少なく拡張性△です。Macで作業する個人事業主が、操作感を変えずに済ませたいときの選択肢になります

各ソフトを詳しく見る

1. Affinity|2025年無料化で本命化

旧Serif社(現Canva傘下)が開発するデザインソフト。2025年10月30日に、Photo・Designer・Publisherの3本を1本にまとめた無料アプリ「Affinity」として公開されました。旧Affinity Publisherのページレイアウト機能を使え、InDesignに対抗する本格機能を持ちます。使うにはCanvaアカウントでのログインが必要で、生成AI機能はCanvaの有料プランが必要です。

Affinity 公式サイトを見る

メリット

  • 完全無料(2025年10月の無料化以降)
  • InDesign級の本格DTP機能
  • 写真編集・イラスト機能も1本に入っている
  • Win/Mac対応

デメリット

  • Publisher(.pub)ファイルは直接開けない
  • Canvaアカウントが必要
  • UIはPublisherより多機能で学習コスト中程度
  • 動作PCにそれなりのスペックが必要
Publisherからの移行しやすさ ★★★★☆

Publisherで作ったデータを一度PDFに書き出し、Affinityで開いて編集するのが基本の流れです。テキストや画像は再配置が必要ですが、Publisher級以上の品質で作り直せるため長期的には満足度が高い選択肢です。

こんな人におすすめ

  • Publisherで本格的な印刷物を作っていた人
  • InDesignは高すぎると感じていた人
  • これから本気でDTPを学びたい人

2. Scribus|OSS派の本格DTP

2003年から続くオープンソースのDTPソフトで、最新の安定版は1.6.6(2026年4月)です。GPLライセンスの完全無料で、PDF/X-1a・PDF/X-3などプロの印刷入稿に使える規格にもしっかり対応します。老舗OSSらしく、日本語組版にも実用レベルで対応しています。

Scribus 公式サイトを見る

メリット

  • 完全無料・GPLライセンス
  • PDF/X等プロ印刷規格に対応
  • Win/Mac/Linuxでほぼ同じUI
  • CMYKカラーワークフローに対応
  • 商用利用も無料で可能

デメリット

  • .pubの読み込みは不完全(レイアウトが崩れやすい)
  • UIは実用重視でモダンさに欠ける
  • 日本語情報はAffinityほど多くない
Publisherからの移行しやすさ ★★★☆☆

印刷所への入稿品質を保ちたい業務向け。無料で入稿PDFまで作れるのはScribusの独自の強みです。

こんな人におすすめ

  • OSSで完結させたい人
  • 印刷所への入稿を想定している人
  • Linux環境で作業する人

3. Canva|テンプレ駆動で手早く作る

テンプレート駆動型のオンラインデザインツール。チラシ・ポスター・ニュースレター・名刺などPublisherの主要用途はほぼカバーでき、無料プランでも実用的に使えます。ブラウザベースで導入不要、スマホアプリも併用できます。

Canva 公式サイトを見る

メリット

  • テンプレートが豊富で、ゼロから悩まない
  • ブラウザ完結、インストール不要
  • 無料プランでもチラシ・名刺は十分作れる
  • スマホ・タブレットでも編集可能
  • 共同編集が滑らか

デメリット

  • 本格DTP(ページ物・長文組版)には向かない
  • Publisher(.pub)は開けない
  • プレミアム素材・背景透過は有料のCanvaプロ
Publisherからの移行しやすさ ★★★★☆

「チラシ1枚を手早く作りたい」程度の用途ならCanvaが最短。ゼロから作り直す前提でもテンプレがあるぶん負担は軽めです。

こんな人におすすめ

  • 簡単なチラシ・告知・SNS投稿を作る人
  • デザインの知識があまりない人
  • 複数のテンプレから選びたい人

4. LibreOffice Draw|無料で.pubを一部読める

オープンソースの統合オフィススイート「LibreOffice」に含まれるドロー・ページレイアウトツール。完全無料で、Publisher 98〜2010形式の.pubファイルを開ける数少ない代替です。Publisherが使えなくなったあとでも、.pubを開いてPDFに書き出せます。ただし完全互換ではなく、凝ったレイアウトは崩れる可能性があります。

LibreOffice Draw 公式サイトを見る

メリット

  • 完全無料・商用利用可
  • .pubファイルを一部読み込める
  • Win/Mac/Linux対応
  • 図形描画・フローチャートも作れる

デメリット

  • .pubの複雑なレイアウトは崩れる
  • 本格DTP機能はAffinity/Scribusに劣る
  • テンプレートは少なめ
Publisherからの移行しやすさ ★★★☆☆

「手元の.pubファイルの中身を取り出したい」用途に最適。取り出した後、本格編集はAffinity/Scribus、簡易編集はCanvaに引き継ぐ流れが現実的です。

こんな人におすすめ

  • 過去の.pubファイルを救出したい人
  • LibreOfficeを既に使っている人
  • オフライン環境で作業する人

5. Microsoft Word|MS公式の推奨代替

MicrosoftがPublisher終了後の代替として公式に案内しているのがWordとPowerPointです。封筒・ラベルはWord、名刺や予定表はWordかPowerPoint、ポスターはPowerPointで作るよう案内されています。ただしWordで.pubファイルを開くことはできないので、手元の.pubは前述の方法でPDFなどにしておく必要があります。

Microsoft Word 公式サイトを見る

メリット

  • Microsoft 365契約者なら追加費用なし
  • MS公式が推奨する移行先
  • テキスト差し替え・印刷の基本機能は揃う
  • 職場・取引先との互換性が高い

デメリット

  • Publisher相当の自由なレイアウトは不得手
  • Microsoft 365契約が必要(年21,300円〜)
  • 本格DTPではない
Publisherからの移行しやすさ ★★★☆☆

既にMicrosoft 365を契約している人の延長線として現実的です。ただしチラシの凝ったレイアウトはWordでは再現しきれないので、重い用途はAffinity/Scribusと併用が安全です。

こんな人におすすめ

  • Microsoft 365を継続契約している人
  • 凝ったレイアウトより「中身の更新」が中心の人
  • 取引先もWordで統一したい人

6. Marq (旧Lucidpress)|クラウドDTPで共同編集

旧Lucidpressから2022年にリブランドされたクラウドDTPサービス。ブランドテンプレートを複数人で共同編集できる法人寄りの設計で、チラシ・ニュースレター・名刺・パンフレットなどPublisherの用途をカバーします。無料プランもありますが、容量25MB・プロジェクト3件までです。

Marq 公式サイトを見る

メリット

  • ブラウザ完結で導入不要
  • 共同編集・承認フローが組める
  • ブランドテンプレのロック機能(有料プラン)
  • CSV連携で差し込み印刷風の自動化(有料プラン)

デメリット

  • 日本語の情報が少ない
  • 無料プランは機能に制限あり
  • 個人用途には法人向け機能が過剰
Publisherからの移行しやすさ ★★★☆☆

社内で複数人が交代でチラシを作る法人・団体向けに向きます。個人の1枚物ならCanvaのほうが軽快です。

こんな人におすすめ

  • 社内で共通テンプレを運用したい組織
  • ブランドガイドを守らせたい管理者
  • CSV連携で自動化したい人

7. Swift Publisher|Mac向けの買い切り格安DTP

BeLight Softwareが開発するMac専用のDTPソフト。Mac App Storeで3,000円の買い切り(Swift Publisher 5)で、日本語にも対応しています。テンプレート・ガイド・ページ割り付けなど、Publisherに近い操作感です。

Swift Publisher 公式サイトを見る

メリット

  • 買い切り3,000円と安価
  • UIがPublisherに比較的近い
  • テンプレート豊富
  • サブスク不要

デメリット

  • Mac専用(Windows不可)
  • 日本語情報が少なめ
  • 本格的な印刷入稿はScribus/Affinityに劣る
Publisherからの移行しやすさ ★★★★☆

Macユーザーで「安価な買い切りが欲しい」人にピッタリ。サブスクを避けたい個人事業主にも合います。

こんな人におすすめ

  • Macで作業する個人・個人事業主
  • 買い切りで完結させたい人
  • Publisherに近い操作感を残したい人

用途別おすすめまとめ

目的 おすすめ 理由
本格DTPを無料で Affinity 無料化+InDesign級
OSS派・印刷所入稿 Scribus PDF/X対応・完全無料
手早くチラシ1枚 Canva テンプレ豊富・学習コスト最小
開けない.pubを救出 LibreOffice Draw 98〜2010形式の.pubを開ける
MS 365で継続 Word MS公式の推奨代替
社内共同編集 Marq ブランド管理・承認フロー
Mac買い切り Swift Publisher 3,000円・Publisher風UI
Windowsで買い切り パーソナル編集長 縦組み・入稿対応・19,690円

番外編:縦組みの会報・印刷所入稿まで必要なら パーソナル編集長

ここまでの7本は、無料・Office契約に含まれるもの・3,000円の買い切りと、費用をほとんどかけずに選べるものですが、無料勢には共通して弱い領域があります。ひとつは日本語の縦組み、もうひとつは印刷所への入稿データ作成です。町内会報・学校新聞・広報紙のように縦組みが前提の印刷物を、外部の印刷所に出して仕上げてきた人は、無料ソフトに移った時点でここが壁になります。

その用途に絞って国産で作られているのが、ソースネクストのパーソナル編集長Ver.17です。19,690円(税込・ダウンロード版)の買い切りで、サブスクではありません。30年以上続くソフトで、縦組みに対応し、500点以上のサンプル・テンプレートを収録。出力はPDF/X-1a・PDF/X-4・PDF/A-2bに対応しているため、そのまま印刷所へ入稿できます。最大10m×10mの長尺印刷にも対応し、ポスターや横断幕まで扱えます。ChatGPTを使った「AI文章アシスト」で、記事の校正・要約・見出し作成も補助してくれます。

ただし7本(無料〜3,000円)と比べれば19,690円は大きな差です。対応OSはWindows 11のみでMacでは使えません。また.pubファイルを直接読み込めるという記載は公式にありませんので、移行そのものは前述のPDF/Word書き出し経由になります。「縦組みの会報を毎号出す」「印刷所に入稿する」という条件が当てはまらないなら、上の7本で足ります。

パーソナル編集長Ver.17 公式サイトを見る

こんな人におすすめ

  • 町内会報・学校新聞・広報紙など縦組みの印刷物を継続的に作る人
  • 印刷所への入稿データ(PDF/X)を自分で用意する必要がある人
  • 自治会・PTAなど複数の担当者で引き継ぐため、国産で日本語サポートがある方が安心な人
  • サブスクではなく買い切りで揃えたい人

チラシ・名刺は自作しないでプロに頼む手も

Publisherの代替ソフトはどれも学習コストがかかり、凝った印刷物を狙うほど作成の時間もかかります。「チラシや名刺の仕上がりにはこだわりたい」「移行作業の合間に急ぎで1点だけ用意したい」といった場合は、プロに手頃な価格で依頼するのも現実的な選択肢です。

名刺だけなら、無料のソフトでも日本の名刺サイズ(91×55mm)で作れます。家で刷るか印刷所に頼むかで選び方が変わるので、名刺作成の無料ソフト5選で比べています。

スキルマーケットのココナラなら、チラシ・名刺・パンフレット・ニュースレターのデザインを数千円台から発注でき、印刷所への入稿データ作成まで対応できる出品者もいます。ソフトの乗り換えと並行して、締め切りが近い1点だけ外注、という使い分けもできます。

ココナラでデザインを依頼する

Publisherからの移行で気をつけること

1. .pubファイルは「見るならPDF・直すならWord」で書き出す

買い切り版のPublisherがまだ動く人は、今のうちにファイルを変換しておくのが最優先です。Microsoft公式も表示用にはPDF、編集を続けるならWord形式への変換を案内しています。PDFなら10年後でも開けてAffinityやScribusへの再編集素材にもなり、Word形式なら文字を後から編集できます(画像やレイアウトは引き継がれないため、見た目の控えとしてPDFも残してください)。両方書き出しておくのが安全です。

社内に.pubファイルが大量にある場合は、Microsoftが案内しているPowerShellスクリプトによる一括変換が使えます。ただしこのスクリプトはPublisher本体を呼び出すため、買い切り版のPublisherが入っているパソコンでしか動きません。365版で期限を過ぎた人は、前述の「Publisherで開けなくなった.pubファイルの開き方」を参照してください。

2. 差し込み印刷は仕組みが変わる

Publisherの差し込み印刷(名簿データ→宛名ラベル等)は、代替ソフトによって仕組みが違います。AffinityはData Merge、MarqはCSVインポート、Canvaは一括作成機能——それぞれ操作感が異なるため、移行前に試行が必要です。

3. フォントは同梱されていない

Publisherで使っていた日本語フォントが、移行先で同じ名前・形で入っているとは限りません。代替フォント(Noto Sans JP・源ノ角ゴシック等の汎用)への置き換えを前提に、本文フォント設計の見直しも兼ねるのが現実的です。

4. 業務の共有先にも代替ソフトを伝える

Publisherファイルを社内・取引先と共有していた場合、相手先も同時に移行プランを立てる必要があります。最終出力はPDFで統一、編集可能ファイルはAffinity/Scribusなど共通ツールに揃えておくと、後からの混乱を防げます。

よくある質問

Q1. Publisher終了後、既存の.pubファイルは開けなくなりますか?

Microsoft 365版では、2026年10月1日以降Publisherで.pubを開けなくなりました。買い切り版がインストール済みのパソコンでは、サポート終了後も開けます(セキュリティ更新は止まります)。365版の人は、LibreOffice Drawで開くか、買い切り版が入っているパソコンで開いてPDFに書き出してください。

Q2. Affinityは本当に無料ですか?

はい。2025年10月30日に、Photo・Designer・Publisherを1本にまとめた無料アプリ「Affinity」として公開されました。使うにはCanvaアカウントが必要で、生成AI機能だけはCanvaの有料プランが必要です。仕事で使う場合は、利用開始前に公式の利用規約を確認してください。

Q3. 無料ツールで印刷所への入稿はできますか?

AffinityとScribusはPDF/X規格の出力に対応しており、印刷所への入稿品質を確保できます。Canva・Marqは入稿用PDFとしてはやや制限があり、同人誌や本格的な商業印刷では物足りない場合があります。

Q4. Publisher相当の差し込み印刷(宛名印刷)はできますか?

Affinity(Data Merge機能)、Marq(CSVインポート)、Scribus(Script機能)、Word(差し込み印刷機能)で代替可能です。Canvaの一括作成機能も簡易的な差し込みには使えますが、数百件規模の宛名運用ならWordかAffinityが安定します。

Q5. 職場ではどれを標準にするのが無難ですか?

Microsoft 365をすでに契約している職場ならWord中心、凝ったレイアウトが必要ならAffinityを追加という組み合わせが現実的です。Microsoft 365を契約していないなら、無料のAffinityを標準にし、OSSで揃えたい場合はScribusが選択肢になります。

Q6. Publisherの買い切り版は今から買えますか?

Microsoftは、法人向けのOffice LTSC 2024にはPublisherが含まれないと案内しており、家庭向けのOffice 2024にもPublisherは入っていません。新しくPublisherを手に入れるのは難しい状況です。すでにOffice 2021などをインストール済みのパソコンでは、10月13日のサポート終了後も使えます(セキュリティ更新は止まります)。買い切りの代わりを探すなら、MacはSwift Publisher(3,000円)、Windowsで縦組みや印刷所への入稿まで必要ならパーソナル編集長(19,690円)、費用をかけないならAffinity(無料)です。

Q7. Publisher代替を選ぶ前に何を準備すべきですか?

①既存の.pubファイルをPDF(必要ならWord形式も)に書き出す(365版で開けない場合は前述の方法で)、②よく使っていたテンプレート(チラシ・名刺・ニュースレター等)をリスト化、③使用フォントの棚卸し、④差し込み印刷のCSVデータ形式の整理——この4点を済ませてから代替ソフトを試すと、乗り換えがスムーズです。

まとめ:まずは.pubを救出し、Affinityを試そう

Microsoft 365版のPublisherは2026年10月1日に使えなくなり、買い切り版も10月13日にサポート終了となります。まずは手元の.pubファイルをPDFにして中身を残し、そのうえで最初に試すべきはAffinityです。2025年10月の無料化で、Publisherより本格的なDTPが無料で使えます。

「OSS派で完全無料」ならScribus、「チラシ1枚を手早く」ならCanva、「開けなくなった.pubを救出」ならLibreOffice Drawを——この順番で検討すれば失敗は少ないです。

まずは1本、気になったソフトをダウンロードしてみてください。

※ 本記事の情報は、2026年10月3日時点の各公式サイト(Microsoft・Affinity・Canva・Scribus・LibreOffice・CloudConvert・Zamzar・Marq・BeLight Software・ソースネクスト)とMac App Storeの情報に基づきます。最新の情報は各公式サイトでご確認ください。