文章を声で読み上げてほしい理由は、大きく2つに分かれます。書いた文章を耳で聞いて見直したい、長い資料を聞き流したいという「聞く」ための読み上げと、動画のナレーションや案内の音声を作りたいという「作る」ための読み上げです。
聞くだけなら、WindowsやMacに最初から入っている機能で足ります。音声ファイルを作るなら、テキスト読み上げの専用ソフトやサイトを使います。標準の機能で足りる場面を先に整理し、そのあと音声ファイルを作れる無料のソフト・サイト3本を、各公式サイトの情報(2026年9月25日時点)で比べました。作った音声を動画などで使うときの条件(クレジット表記や商用利用)もまとめています。
先に結論
- 聞くだけなら標準の機能:WebページやPDFはEdgeの「音声で読み上げる」、Wordは「校閲」タブの「読み上げる」、MacはOption+Escで選んだ文章を読み上げる
- ナレーションを無料で作るなら、VOICEVOX。商用でも無料で、アクセントを1語ずつ直せる。使うときは「VOICEVOX:ずんだもん」のようなクレジット表記が必要
- インストールせずに試すなら、ブラウザで使える音読さん。無料は月1,000文字(無料登録で5,000文字)まで
- WordやPDFを音声ファイルにして聞き流すなら、Windows用のBalabolka。無料なのは非商用の利用
- クレジット表記なしで仕事に使いたいなら、有料のVOICEPEAK(商用可能 6ナレーターセット)も候補
まず試したい:WindowsとMacの標準の読み上げ機能
Windows:Edge・Word・ナレーターで聞く
WindowsのブラウザEdgeは、開いているWebページを読み上げられます。ページの上で右クリックして「音声で読み上げる」を選ぶか、Ctrl+Shift+Uキーで始まり、同じキーで止まります。EdgeでPDFを開いたときも読み上げられます。Windowsには、日本語の音声として男性のIchiro、女性のAyumi・Harukaが用意されています。
Wordの文書は、Word(Office 2019・2021・Microsoft 365)の「校閲」タブの「読み上げる」で聞けます。画面の内容を全部読み上げてほしいときはWindowsの「ナレーター」もありますが、目の不自由な人がパソコンを操作するための機能で、キー操作が多めです。
Mac:選んだ文章をOption+Escで読み上げる
Macは、「システム設定」→「アクセシビリティ」→「リーダーと読み上げ」で「選択項目を読み上げる」をオンにすると、文章を選んでOption+Escキーを押すだけで読み上げます。多くのアプリでは、「編集」→「スピーチ」→「読み上げを開始」からも始められます。
標準の読み上げ機能は聞くためのもので、音声ファイルを作る用途には向きません。ナレーションなどの音声ファイルを作りたいとき、たくさんの文書をまとめて音声にしたいときは、次に紹介するソフトやサイトを使います。
音声読み上げソフトを選ぶ3つのポイント
1. 聞くだけか、音声ファイルを作るか
文章を聞いて確かめるだけなら、声の自然さや、読み方を細かく直せるかはそれほど重要ではありません。動画のナレーションなどに使う音声ファイルを作るなら、声の自然さと、読み間違いを直せるかが大事になります。
2. 作った音声を使うときの条件
無料の読み上げソフトやサイトには、作った音声を使うときに「クレジット表記(使ったソフトの名前を載せること)」を求めるものや、商用で使うには有料のライセンスが要るものがあります。収益化した動画や仕事で使うなら、先に利用条件を確かめます。
3. Macでも使えるか
3本のうちBalabolkaはWindows専用です。Macなら、VOICEVOXか、ブラウザで使う音読さんを選びます。
音声読み上げソフト3本の早見表
※ 2026年9月25日時点。上から総合評価の順です。
※ 音読さんは、無料登録すると月5,000文字まで使えます。Balabolkaは、収益化するなど商用で使う場合や、企業など営利団体のパソコンで使う場合に80ユーロのライセンスが必要です。
総合評価:音声の作りやすさと、無料でどこまで使えるかで比べる
| ソフト | 機能性 | 使いやすさ | コスパ | 拡張性 | 安定性 | 総合 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1. VOICEVOX | ○ | ○ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ |
| 2. 音読さん | △ | ◎ | ○ | ◎ | ◎ | ○ |
| 3. Balabolka | ○ | ○ | ○ | △ | ◎ | △ |
◎を2点・○を1点・△を0点として足すと、VOICEVOXが8点、音読さんが7点、Balabolkaが5点です。
1位 VOICEVOX:商用でも無料で、Windows・Mac・Linuxで動き、2026年4月に新しい版が出ています。アクセントを1語ずつ直して音声ファイルに保存できますが、WordやPDFを読み込む機能の案内はなく、機能性は○です。
2位 音読さん:ブラウザで開いてすぐ使えるので、Macでも同じように使えます。無料の文字数に上限があり(コスパ○)、アクセントを1語ずつ直す機能はありません(機能性△)。
3位 Balabolka:3本の中で唯一、WordやPDFを読み込んで音声ファイルにでき、更新も続いています。ただ、Windowsでしか使えず(拡張性△)、無料なのは非商用の利用に限られます(コスパ○)。
採点の方法
読み上げソフトの差は「どんな音声を作れるか」と「無料でどこまで使えるか」に出るので、5軸の中身を次のように決めました。
- 機能性(音声の作り方の幅):「音声ファイルに保存できる」「アクセントやイントネーションを1語ずつ画面で直せる」「WordやPDFなどの文書ファイルを読み込める」の3つのうち、公式の説明で確かめられたものが3つなら◎、2つなら○、1つなら△
- 使いやすさ:インストールや登録をしなくてもブラウザで使えれば◎。パソコンに入れて日本語の画面で使えれば○。日本語の画面が未確認なら△
- コスパ:無料で、文字数の制限がなく、商用でも使えれば◎。無料の文字数に上限があるか、商用に別の料金が要れば○
- 拡張性(使える環境):Windows・Mac・Linuxの3つか、ブラウザで使えれば◎。OSが2つなら○。Windowsだけなら△
- 安定性:直近12か月以内(2025年10月以降)に新しい版や機能の追加を公式で確かめられれば◎、確かめられなければ○
合計点が8点以上なら総合◎、6〜7点なら○、5点以下なら△です。
無料の音声読み上げソフト3本の特徴
1. VOICEVOX|ずんだもんなどの声で、商用でも無料
VOICEVOXは、無料で使えるテキスト読み上げ・歌声合成のソフトです。公式サイトには「商用・非商用問わず無料」とあり、Windows・Mac・Linuxで使えます。最新版は2026年4月に出た0.25.2です。「ずんだもん」「四国めたん」などのキャラクターの声から選び、文章を入れると読み上げ、「ファイル」→「音声書き出し」でWAVファイルとして保存できます。
公式の使い方によると、文章を入れると画面に読みとアクセントが表示され、言葉ごとにアクセントを直せます。それでも合わないときは、1文字ずつ音の高さ(イントネーション)も変えられます。よく使う言葉の読み方は辞書に登録できます。テキストファイルは読み込めますが、WordやPDFを読み込む機能の案内は見当たりません。
使うときの決まりは、キャラクターごとの利用規約で決まっています。ソフトの利用規約には「VOICEVOXを利用したことがわかるクレジット表記が必要」とあり、たとえばずんだもんの規約では「VOICEVOX:ずんだもん」のように表記するよう例が示されています。動画なら、説明欄や動画の中のクレジットなど、見る人が気になったときに分かる場所に書きます。
- 機能性○:WAVで保存でき、アクセントを直せる。WordやPDFを読み込む機能の案内は見当たらない
- 使いやすさ○:パソコンに入れて、日本語の画面で使う
- コスパ◎:商用でも無料で、文字数の制限がない
- 拡張性◎:Windows・Mac・Linuxで使える
- 安定性◎:2026年4月に新しい版が出ている
メリット
- 商用でも無料で使える
- アクセントや音の高さを細かく直せる
- キャラクターの声を選べる
デメリット
- 使うときはクレジット表記が必要
- 声ごとに利用規約が違う
こんな人におすすめ
- YouTubeなどの動画のナレーションを無料で作りたい
- 読み間違いを直して聞きやすくしたい
2. 音読さん|ブラウザに貼り付けてすぐ読み上げ
音読さんは、ブラウザで使う音声読み上げサービスです。文章を入力して声を選ぶと読み上げ、MP3ファイルでダウンロードできます。画像の中の文字を読み上げる機能もあります。インストールは要らず、登録しなくても月1,000文字まで、無料登録すると月5,000文字まで使えます。有料のベーシックプランは月1,078円(税込)で、月20万文字まで使えます。
アクセントを1語ずつ直す画面はありません。公式の説明では、読み方はひらがな・カタカナへの書き換えや句読点で調整し、無料登録すると読み方を辞書に登録できます。間の長さはSSMLという記号で指定します。より自然な声を目指した新しいAI音声(Beta)も公開されていて、読み上げのスタイルを文章で指定できます。
商用でも使えますが、公式の説明では、無料で使った音声を公開するときは、商用・非商用を問わずクレジット表記が必須です。有料会員はクレジット表記が要りません(解約した後は表記が必要になります)。電話の案内など、クレジットを表記できない使い方は、音声を使う間ずっと有料プランが必要で、請負の仕事ではビジネスプランが必要とされています。
- 機能性△:MP3で保存できる。アクセントを1語ずつ直す機能と、WordやPDFの読み込みの案内は見当たらない
- 使いやすさ◎:インストールも登録も要らず、ブラウザで使える
- コスパ○:無料は月1,000文字(無料登録で5,000文字)まで
- 拡張性◎:ブラウザで開けば、WindowsでもMacでも同じ画面で使える
- 安定性◎:新しいAI音声(Beta)を公開中で、品質向上に伴い「高品質」モードを2026年10月17日に終了すると案内している
メリット
- ブラウザに貼り付けるだけで読み上げられる
- 画像の中の文字も読み上げられる
デメリット
- 無料は月1,000文字(登録で5,000文字)
- 無料で使うときはクレジット表記が必要
こんな人におすすめ
- 短い文章を、ソフトなしですぐ音声にしたい
- WindowsでもMacでも、ブラウザで同じように使いたい
3. Balabolka|WordやPDFを読み込んで音声ファイルにする
Balabolkaは、パソコンに入っている音声を使って文章を読み上げるWindows用のソフトです。Windows 7・8・10・11で使え、最新版は2026年9月19日に出た2.15.0.920です。インストールしないで使えるポータブル版もあります。画面は日本語に切り替えられます(配布されている日本語の言語ファイルは、新しい機能の一部が英語のままです)。
公式サイトによると、Word(DOC・DOCX)・PDF・EPUB・HTML・RTFなど多くの文書ファイルを読み込めます。読み上げた音声は、WAV・MP3・MP4・OGG・WMAのファイルに保存できます。読み上げの速さや高さを変えられ、読み間違える言葉は置き換えのリストで直します。日本語は、Windowsの日本語の音声で読み上げます(公式FAQでは、Windowsの新しい音声を使えるようにする追加ツールも案内しています)。
無料で使えるのは、非商用の利用だけです。公式のライセンスページによると、たとえば有料の配信サービスで配る音声ファイルを作る場合や、企業など営利団体のパソコンで使う場合は、80ユーロのライセンスが必要です。また、Balabolka自体は声を持っていないため、声(音声エンジン)を商用で使うときの許諾は、利用者が自分で確かめる必要があります。
- 機能性○:文書ファイルを読み込み、音声ファイルに保存できる。アクセントを1語ずつ直す機能はない
- 使いやすさ○:パソコンに入れるか、ポータブル版を使う。画面は日本語に切り替えられる
- コスパ○:無料なのは非商用の利用だけ。商用・会社での利用は80ユーロ
- 拡張性△:Windowsでしか使えない
- 安定性◎:2026年9月に新しい版が出ている
メリット
- WordやPDFをそのまま読み上げられる
- MP3などに保存して、通勤中などに聞ける
デメリット
- 商用や会社での利用は有料(80ユーロ)
- Windowsでしか使えない
こんな人におすすめ
- 長い資料や電子書籍を聞き流したい
- たくさんの文書をまとめてMP3にしたい(個人の利用)
番外編:クレジット表記なしで仕事に使うなら、VOICEPEAK(有料)
VOICEVOXや音読さんの無料プランで作った音声は、使うときにクレジット表記が必要です。社内の研修動画や商品紹介の動画などで名前を載せたくない場合、月額で済ませるなら音読さんの有料プラン(月1,078円〜)、買い切りで持ちたいならVOICEPEAKが選択肢になります。
AHSの「VOICEPEAK 商用可能 6ナレーターセット」は、男女6人のナレーターと女の子の声、あわせて7種類の声で読み上げるソフトです。製品ページでは、個人のほか教育機関や法人の商用・業務用途でも使えると案内していて、使用許諾ではクレジットの表記は任意(表記することもできる)とされています。喜怒哀楽などの感情を付けて読み上げられ、読み方を辞書に登録しておくこともできます。ベクターのダウンロード版は23,800円(税込)です。
購入前に確認したいこと
- 1ライセンスで使えるのは1台だけ(AHSの製品ページに記載)
- VOICEPEAKを持っていない人の代わりに音声を作って渡すこと(受託制作)や、作った音声を素材として配ることは、使用許諾で禁止されている
- 動作環境はWindows 11(64ビット)、macOS 10.13以降、Ubuntu 20.04以降(AHSの製品ページ)
- 体験版があるので、声の好みを買う前に確かめられる
- キャラクターの名前が付いたVOICEPEAKの製品を商用で使うには、別の商用ライセンスが必要(この「商用可能 6ナレーターセット」とは別の製品)
クレジット表記をせずに、自社の動画や資料の音声を作りたい人に向いています。
VOICEPEAK 6ナレーターセットを見る目的別:どれで読み上げるか
| 目的 | おすすめ | 理由 |
|---|---|---|
| WebページやPDFを聞く | Edge(標準) | 右クリックで読み上げ |
| Macで文章を聞く | Option+Esc(標準) | 設定をオンにするだけ |
| 動画のナレーション | VOICEVOX | 商用も無料 |
| 短い文章を今すぐ音声に | 音読さん | ブラウザで使える |
| 文書を音声ファイルに | Balabolka | Word・PDFを読める |
| 名前を出さず仕事に使う | VOICEPEAK(番外編) | 23,800円 |
関連: プロのナレーターが読んだ本を聴くなら オーディオブックおすすめ4選
よくある質問
Q1. 無料の読み上げ音声をYouTubeで使ってもいいですか?
VOICEVOXと音読さんは、収益化した動画を含めて使えますが、クレジット表記が必要です(音読さんは無料で使う場合)。VOICEVOXは「VOICEVOX:ずんだもん」のようにキャラクター名まで書き、音読さんは無料で使う場合に名前を載せます。Balabolkaは、収益化した動画など商用で使うなら80ユーロのライセンスが必要です(公式は例として、有料の配信サービスで音声を配る場合を挙げています)。どれも、使う声やプランの利用規約を先に確かめてください。
Q2. 読み間違いを直すにはどうすればいいですか?
VOICEVOXは、言葉ごとにアクセントを画面で直せます。音読さんは、読み間違える言葉をひらがなやカタカナに書き換えるか、無料登録して辞書に読み方を登録します。Balabolkaは、置き換えのリストに正しい読み方を登録します。
Q3. PDFを読み上げるには?
聞くだけなら、PDFをEdgeで開いて読み上げるのが手軽です。PDFの閲覧ソフトは無料のPDFリーダーの比較でまとめています。PDFをMP3などの音声ファイルにして持ち歩きたいなら、WindowsのBalabolkaで読み込んで保存します(非商用の場合)。
Q4. 音声を文字にしたい(逆の作業)ときは?
話した声を文章にする「文字起こし」は、別の種類のソフトを使います。無料で使える文字起こしツールの比較でまとめています。
まとめ:聞くなら標準機能、作るならVOICEVOX
文章を聞くだけなら、Edge・Word・MacのOption+Escで足ります。動画のナレーションなどを無料で作るなら VOICEVOX、ソフトを入れずに短い文章を音声にするなら 音読さん、WordやPDFを音声にして聞き流すなら(非商用) Balabolka を選んでください。クレジット表記なしで仕事に使うなら、有料の VOICEPEAK も候補になります。
※ 本記事の情報は、2026年9月25日時点の各公式サイト(VOICEVOX・東北ずん子プロジェクト・音読さん・Cross+A・AHS・ベクター・Microsoft・Apple)に基づきます。最新の情報は各公式サイトでご確認ください。



