楽譜をパソコンできれいに作りたいなら、まず無料のソフトで足ります。定番のMuseScore Studioは、公式サイトで「完全に無料で制限なし」とされるソフトです。スマホやタブレットで作りたいなら、FlatやSibelius Firstのように無料で使えるアプリもあります。

違いが出るのは、無料版で書ける編成の大きさ、スマホやタブレットでも作れるか、ほかのソフトと楽譜データをやり取りできるかです。

この記事では、無料で使える楽譜作成ソフト・アプリ4本を、各公式サイトの情報(2026年9月20日時点)をもとに、機能性・使いやすさ・コスパ・拡張性・安定性の5軸で比べました。長く定番だったFinaleから乗り換える人にも使えるよう、Finaleの現状もFAQでまとめています。

先に結論

  • パソコンで作るなら、無料のMuseScore Studio。編成の上限がなく、アカウント登録も要らない
  • スマホ・タブレットでも作るなら、Flat(ブラウザ・パソコン・スマホで使える)か、Sibelius First(8段の五線まで)
  • 少人数の編成を大手メーカーのソフトで書くなら、Dorico SE(8人編成まで。iPad用の無料アプリもある)
  • 音源からコード譜を作る・紙の楽譜を読み取るなら、番外編の有料ソフト(どちらもWindows用)

楽譜作成ソフト・アプリ4本の早見表

ソフト無料の上限パソコンスマホ・タブデータ書き出し
MuseScore制限なしWin/Mac/Linux×○
Flat楽器30Web/Win/Mac○PC版○
Dorico SE8人編成Win/MaciPadのみ○
Sibelius First8段Win/Mac○確認できず

※ 2026年9月20日時点の各公式サイトの情報です。4本とも日本語で使えます。

※ 「スマホ・タブ」は、スマホやタブレットのアプリで楽譜を作れるかどうかです。MuseScoreのスマホアプリは閲覧・再生用で、作成はできません。Dorico SEのタブレット版は、別アプリの「Dorico for iPad」です。

※ 「データ書き出し」は、パソコン版で、ほかの楽譜ソフトとやり取りできる共通形式(MusicXML)を無料のまま書き出せるかどうかです。Flatはパソコン版の料金表で無料での書き出しが案内されています(ブラウザ・スマホ版では有料の機能)。

※ Flatのブラウザ版・スマホ版の無料プランは、保存できる楽譜が15件までです。パソコン版は公式FAQでは保存数無制限とされていますが、料金表には15件までとあり、表記が分かれています。

総合評価:無料で書ける範囲と、手軽さ・やり取りのしやすさで比べる

ソフト機能性使いやすさコスパ拡張性安定性合計
MuseScore◎◎◎○◎9
Flat○◎○◎◎8
Dorico SE○○○◎◎7
Sibelius First○○○○◎6

※ 上から順に1位〜4位です。総合はMuseScore Studio(9点)とFlat(8点)が◎、Dorico SE(7点)とSibelius First(6点)が○です。

1位 MuseScore Studio(総合◎・9点):無料で編成の上限がなく、アカウント登録も要りません。楽譜データの書き出しにも対応します。唯一の○は拡張性で、スマホやタブレットでは作れません。

2位 Flat(総合◎・8点):ブラウザ、パソコン、スマホのどれでも使えます。パソコン版はアカウント登録なしで使え、料金表では無料でMusicXMLを書き出せると案内されています。ただしブラウザ・スマホ版の無料プランは楽譜15件までで、MusicXMLの書き出しは有料です。

3位 Dorico SE(総合○・7点):Steinbergの無料版で、8人編成まで書けます。楽譜データの書き出しとiPad用の無料アプリの両方に対応し、拡張性は◎です。使うにはSteinbergのアカウントが必要なため、使いやすさは○です。

4位 Sibelius First(総合○・6点):Avidの無料版で、8段の五線まで書けます。Windows・Mac・iPhone・iPad・Androidで使えますが、無料版で楽譜データを書き出せるかは公式の比較表で確認できませんでした。

採点の方法

5軸は次のように読み替え、4本すべてに同じ基準で当てはめました。

  • 機能性(無料で書ける編成):無料版にパート(楽器・五線)数の上限がなければ◎、上限があれば○
  • 使いやすさ:パソコン版を日本語で使え、アカウント登録なしで楽譜を作れれば◎、登録が必要なら○(スマホ・タブレット版は拡張性で評価)
  • コスパ:公式に「無料で制限なし」とされていれば◎、無料版とは別に機能の多い有料版があり、無料版に上限があれば○
  • 拡張性:「パソコン版で楽譜データの共通形式(MusicXML)を無料で書き出せると公式に案内されている」「スマホかタブレットでも楽譜を作れる」の2つのうち、両方を満たせば◎、1つなら○、どちらもなければ△
  • 安定性:直近6か月以内(2026年3月20日以降)に新しい版の公開を確認できれば◎、確認できなければ○

総合は、◎を2点・○を1点・△を0点として合計し、8点以上を◎、6〜7点を○、5点以下を△としました。順位は合計点の高い順で、同点のときは「機能性」→「コスパ」→「使いやすさ」の順に比べています。まず「無料でどこまで書けるか」を優先するためです。

楽譜作成ソフト・アプリ4本の特徴

1. MuseScore Studio|無料で制限なし、パソコンで作るならまずこれ

MuseScore Studioは、オープンソースで開発されている無料の楽譜作成ソフトです。公式サイトは「完全に無料で制限なし」と説明しており、ダウンロードにアカウントもサブスクリプションも要りません。最新版は2026年9月8日公開の4.7.5です。

対応OSは、Windows 10以降、macOS 11以降、Linuxです。日本語のメニューで使えます。五線譜のほかギターのタブ譜(弦とフレットの位置で書く譜面)も作れ、MIDIキーボード(電子ピアノなど)からの入力にも対応します。

ほかのソフトとのやり取りも得意です。MusicXML(楽譜ソフト同士でデータをやり取りする共通形式)やMIDI(音の高さや長さを記録した演奏データ)を読み込めて、PDF・PNG・MIDI・MusicXML・MP3/WAVなどの形式で書き出せます。「Muse Hub」というアプリを通じて、再生用の高品質な音源(Muse Sounds)も追加できます(音源を入れる場合は15GBの空き容量が必要)。

一方、スマホの「MuseScore」アプリは楽譜の閲覧・再生用で、App StoreのFAQでも楽譜の作成はできないと説明されています。

  • 機能性◎:無料版にパート数の上限がない
  • 使いやすさ◎:日本語のメニューで、アカウント登録なしで使える
  • コスパ◎:公式に「完全に無料で制限なし」とされている
  • 拡張性○:MusicXMLで書き出せるが、楽譜を作れるのはパソコンだけ
  • 安定性◎:2026年9月8日に4.7.5が公開されている

MuseScore Studio 公式サイトを見る

メリット

  • 無料で、編成の大きさに制限がない
  • PDF・MusicXML・MIDI・音声まで書き出せる
  • Linuxでも使える

デメリット

  • スマホやタブレットでは楽譜を作れない
  • 高品質な音源を入れると15GBの容量が要る

こんな人におすすめ

  • 吹奏楽やオーケストラなど大きな編成を書く
  • ピアノ教室の教材をPDFで配りたい
  • お金も登録もかけずに始めたい

2. Flat|ブラウザ・パソコン・スマホのどれでも作れる

Flatは、ブラウザで使える楽譜作成サービスです。iPhone・iPad・Androidのアプリと、Windows・Mac向けのデスクトップ版もあり、パソコンでもスマホでも楽譜を作れます。日本語に対応しています。

無料のFlat Basic(ブラウザ・スマホ)では、保存できる楽譜が15件まで、1つの楽譜で使える楽器は30までです。書き出しと印刷はできますがFlatのロゴが入り、MusicXMLやMIDIでの書き出しは有料のFlat Powerの機能です。Flat Powerは楽譜数が無制限で、公式サイトでは月9.99ドル、年49.99ドルで、買い切りのプランもあります。

ブラウザ版では、複数人で同じ楽譜を同時に編集することもできます。

Windows・Mac向けのデスクトップ版は無料で、公式のFAQでは、アカウント登録なしで使え、楽譜はパソコンに保存されると説明されています。同じページの料金表では、無料でPDFとMusicXMLを書き出せると案内されています(料金表には無料版は15件までという記載もあり、保存数については公式の中で表記が分かれています)。

  • 機能性○:無料版は1つの楽譜で使える楽器が30まで
  • 使いやすさ◎:日本語で使え、パソコン版はアカウント登録なしで使える
  • コスパ○:ブラウザ・スマホの無料版は楽譜15件までで、書き出しにロゴが入る
  • 拡張性◎:スマホでも作れ、パソコン版は無料でMusicXMLを書き出せる
  • 安定性◎:2026年9月11日にAndroid版が更新されている

Flat 公式サイトを見る

メリット

  • ブラウザでもスマホでも同じ楽譜を編集できる
  • バンドのメンバーと同時に編集できる
  • パソコン版は登録なしで使える

デメリット

  • ブラウザ・スマホの無料版は楽譜15件まで
  • 無料版の書き出しにはロゴが入る

こんな人におすすめ

  • スマホやタブレットで楽譜を書きたい
  • バンドのメンバーと楽譜を共有したい
  • 作る楽譜の数が少ない

3. Dorico SE|Steinbergの無料版、8人編成まで

Dorico SEは、音楽制作ソフトのCubaseで知られるSteinbergが無料で配布している楽譜作成ソフトです。最新のDorico 6世代では、最大8プレーヤー(演奏する人)・8パートまでの楽譜を書けます。有料版のElementsとProは、プレーヤー数が無制限です。

対応OSは、Windows 10(Version 1809以降)・11と、macOS Monterey以降です。日本語のメニューに対応し、MusicXMLとMIDIの読み込み・書き出し、PDFなどへの書き出しもできます。ギターのタブ譜は限定的な対応です。使うにはSteinbergのアカウントでのライセンス認証が必要で、最新版は2026年6月3日に更新されています。

iPad向けには別の無料アプリ「Dorico」があり、App Storeの説明では無料で4人編成、無料のSteinberg IDを登録すると8人編成まで書けます。

  • 機能性○:無料版は8人編成まで
  • 使いやすさ○:日本語で使えるが、Steinbergのアカウントが必要
  • コスパ○:無料版に上限があり、有料版のElements・Proがある
  • 拡張性◎:MusicXMLで書き出せ、iPad用の無料アプリもある
  • 安定性◎:2026年6月3日に新しい版が公開されている

Dorico SE 公式サイトを見る

メリット

  • 有料版と同じソフトで、あとから上位版に移れる
  • MusicXML・MIDIで書き出せる

デメリット

  • 8人を超える編成は書けない
  • Steinbergのアカウント登録と認証が必要

こんな人におすすめ

  • ピアノ曲や少人数のアンサンブルを書く
  • 将来は有料版で本格的に書くつもり

4. Sibelius First|Avidの無料版、Androidでも使える

Sibelius Firstは、映像・音楽制作ソフトのAvidが無料で提供している楽譜作成ソフトです。Avidの比較表によると、書けるのは8段の五線までです(2025年7月の更新で4段から拡大)。ピアノは1人で2段を使うので、たとえば混声4部合唱とピアノ伴奏なら6段で収まります。有料版は、Artistが24段まで、Ultimateが無制限です。

Windows・Macに加えて、iPhone・iPad・Androidのアプリがあります。日本語で使えますが、使うにはAvidのアカウントが必要です。公式の比較表では、FirstでMusicXMLとMIDIのファイルを開けること、基本的なギターのタブ譜に対応することが書かれていますが、MusicXMLでの書き出しについては記載がありませんでした。

  • 機能性○:無料版は8段の五線まで
  • 使いやすさ○:日本語で使えるが、Avidのアカウントが必要
  • コスパ○:無料版に上限があり、有料版のArtist・Ultimateがある
  • 拡張性○:スマホでも作れるが、MusicXMLの書き出しは公式に確認できない
  • 安定性◎:2026年8月に新しい版が公開されている

Sibelius First 公式サイトを見る

メリット

  • Windows・Mac・iPhone・iPad・Androidで使える
  • 有料版へ移っても同じ操作で続けられる

デメリット

  • 8段を超える五線は書けない
  • Avidのアカウント登録が必要

こんな人におすすめ

  • Androidのスマホやタブレットで楽譜を書きたい
  • 合唱曲など少人数の編成を書く

番外編:耳コピ・紙の楽譜の読み取りには専用ソフト

ここまでの4本は、音符を自分で入力して楽譜を作るソフトで、音源からコードを聴き取る機能や、紙の楽譜を読み取る機能はありません。目的が「好きな曲をコピーしたい」「紙の楽譜をデータにしたい」なら、専用の有料ソフトのほうが早く済みます。どちらもWindows用です。

バンドプロデューサー|耳コピ向け、音源からコード譜を自動作成

バンドプロデューサー 5は、音楽ファイルからコード(和音)を自動で検出し、コード譜や楽譜を作れるソフトです。MP3・WAVなどのファイルを画面にドラッグするだけで、コードに加えてテンポや拍子も検出します。検出したコードは、五線譜、ギター・ウクレレのタブ譜、ドラム譜に出力できます。

耳コピを助ける機能も多く、音程を変えずに最大4分の1の速さまで落として再生したり、1音ずつ繰り返して聴いたり、ボーカルに隠れた伴奏を聴き取りやすくしたりできます。ベースやメロディの単旋律を自動で検出する機能もあります。

ソースネクストのダウンロード版は13,638円(税込み・買い切り)で、対応OSはWindows 11/10です。本人所有のパソコンなら2台までインストールできます。ソースネクストでの販売開始は2016年です。

バンドプロデューサー(ソースネクスト)を見る

スコアメーカー|紙やPDFの楽譜を読み取ってデータに

スコアメーカーは、楽器メーカーの河合楽器製作所が開発した、楽譜の読み取り・編集ソフトです。印刷された楽譜をスキャナで読み取ったり、PDFの楽譜を読み込んだりして、再生・編集できる楽譜データにします。移調やパート譜の作成も簡単にでき、MusicXMLやMIDI、PDFで保存できます(手書きの楽譜の読み取りには対応していません)。

現行の最新版は、河合楽器の公式サイトで販売されている「スコアメーカーZERO」です。年額・月額制で、年額の1年目はスタンダードが15,180円、プラチナムが22,880円です(2年目以降はそれぞれ10,780円・16,280円)。楽譜の読み取り機能はないものの、16パートまでの楽譜を編集・印刷できる無料エディターもあります。

スコアメーカーZERO(河合楽器)を見る

ソースネクストでは、1つ前の版の「スコアメーカー Ver.11」を同社サイト限定で復刻販売しており、Platinumのダウンロード版は50,600円(税込み・買い切り)です。毎年の支払いをなくしたい人向けの選択肢ですが、最新版ではない点と、ZEROプラチナムの年額の約2.7年分にあたる価格である点を比べて選んでください。

スコアメーカー 買い切り版(ソースネクスト)を見る

目的別:楽譜作成ソフト・アプリはどれを選ぶか

目的 おすすめ 理由
パソコンで無料で作る MuseScore Studio 無料で制限なし
吹奏楽・オーケストラ MuseScore Studio 編成の上限がない
スマホとパソコンで作る Flat 同じ楽譜を編集できる
合唱・少人数をアプリで Sibelius First 8段まで無料
少人数の編成を本格的に Dorico SE 8人編成まで無料
音源からコード譜を作る バンドプロデューサー コードを自動で検出
紙の楽譜をデータにする スコアメーカー スキャンして読み取る

よくある質問

Q. Finaleはもう使えないのですか?

Finaleは、開発元のMakeMusicが2024年8月26日に販売を終了し、今後の更新もないと発表しています。技術サポートは2025年8月26日に終了しました。すでに持っている人は引き続き使え、新しいパソコンでの認証も続けられるとされていますが、最新のmacOSには対応していません。MakeMusicは乗り換え先としてDoricoを案内しています。これから始めるなら、この記事のソフトから選ぶのが無難です。

Q. 楽譜作成アプリはスマホだけでも使えますか?

使えます。Flat(iPhone・iPad・Android)とSibelius First(iPhone・iPad・Android)には、楽譜を作れるアプリがあります。iPadならDoricoの無料アプリも使えます。MuseScoreのスマホアプリは閲覧・再生用で、楽譜は作れません。

Q. 無料ソフトで作った楽譜をPDFにできますか?

MuseScore StudioとDorico SEは、PDFで書き出せます。Flatの無料版もPDFで書き出せますが、Flatのロゴが入ります。Sibelius Firstについては、公式の比較表で書き出しの記載を確認できませんでした。

Q. ギターのタブ譜も作れますか?

MuseScore StudioとFlatはタブ譜を作れます。Sibelius Firstは基本的なタブ譜に対応し、Dorico SEは限定的な対応です。好きな曲の音源からタブ譜付きのコード譜を作りたい場合は、バンドプロデューサーが向いています。

まとめ:迷ったらMuseScore Studio、スマホ派はFlatから

パソコンで楽譜を作るなら、無料の MuseScore Studio で足ります。スマホやタブレットでも作りたいなら、まず Flat を試してください。耳コピや紙の楽譜の読み取りが目的なら、番外編の専用ソフトが向いています。

※ 本記事の価格・機能は、2026年9月20日時点の各公式サイト(MuseScore・Flat・Steinberg・Avid・ソースネクスト・河合楽器製作所・MakeMusic)とアプリストアの情報に基づきます。最新の情報は各公式サイトでご確認ください。