「Herokuの無料プランがなくなった」「趣味プロジェクトに月$5〜7は地味に痛い」「もっと手軽にデプロイできるPaaSが欲しい」——そんな開発者のために、Herokuの代わりになるPaaS 5サービスを比較しました。
Herokuは2022年11月に無料プラン(Free/Hobby Dyno)を完全廃止。2026年現在はEco $5/月(1,000 Dyno時間共有)/Basic $7/月/Standard-1X $25/月という料金体系で、「git pushで無料デプロイ」というHeroku最大の魅力は過去のものになりました。一方、Render/Railway/Fly.io/Coolify/Koyebといった後発サービスが台頭し、無料〜格安でHeroku同様の開発体験を提供しています。
この記事の結論
- Herokuの直接置き換え・無料で始めたい → Render(Free tierで常時稼働、Herokuに最も近いUX)
- モダンUI・Herokuより便利な開発体験 → Railway($5/月、GitHub連携が秀逸)
- グローバル分散・Docker派 → Fly.io(~$2/月〜、エッジデプロイ)
- 自分のVPSで完全無料運用 → Coolify(OSS・セルフホスト型PaaS)
- 不定期アクセスのBot・API → Koyeb(月5時間無料・スケールトゥゼロ)
Herokuはなぜ乗り換えを検討される?3つの背景
1. 無料プラン廃止でホビー開発者に月額負担
2022年11月、HerokuはFree DynoとHobby Dynoを一気に廃止しました。かつては「とりあえずHerokuに置けば無料」だったポートフォリオサイトやBotが、全て有料プランへの移行を迫られています。最安のEco Dynoでも月$5(年$60)で、複数プロジェクトを持つ開発者には無視できないコストです。
2. Eco Dynoの30分スリープ制約
Eco Dyno($5/月)は1,000 Dyno時間をチーム内全アプリで共有し、30分アクセスがないとスリープします。ユーザーがアクセスすると起動に10〜30秒かかるため、Webアプリには実質使えません。まともに常時稼働させるにはBasic $7/月が最低ラインです。
3. 後発サービスが「Heroku以上の体験」を提供
Render・Railway・Fly.ioなどはHerokuの良さ(git push deploy・アドオン連携・管理ダッシュボード)を継承しつつ、自動スケーリング・Docker対応・グローバルデプロイなど、Herokuにない機能を標準装備しています。「Herokuを使い続ける理由がない」状態になりつつあります。
比較表:Heroku代替5サービスまとめ
| サービス名 | 無料枠 | 有料プラン | 対応言語 | デプロイ方式 | PostgreSQL | おすすめ度 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| Render | 常時稼働Free tier(512MB) | Pro $25/月〜 | Node/Python/Go/Rust/Ruby/Elixir/Docker | Git push / Docker | ○(30日間無料) | ★★★★★ |
| Railway | $5トライアル(30日) | Hobby $5/月〜 | 全言語(Docker対応) | GitHub連携 / CLI / Docker | ○(プラグイン) | ★★★★★ |
| Fly.io | 新規は無料枠なし | 従量課金 ~$2/月〜 | 全言語(Docker/OCI) | flyctl CLI / Docker | ○(Fly Postgres) | ★★★★☆ |
| Coolify | 完全無料(OSS) | Cloud版あり | 全言語(Docker/Nixpacks) | Git push / Docker | ○(ワンクリック) | ★★★★☆ |
| Koyeb | 月5時間無料 | Pro $29/月〜 | 全言語(Docker対応) | Git push / Docker / CLI | ○(Serverless Postgres) | ★★★☆☆ |
※ 料金は2026年5月時点、各公式サイト情報より
読み取り方のヒント
- RenderはHerokuからの乗り換え先として最も人気が高く、Free tierで512MB RAM・常時稼働(スリープなし)を提供
- Railwayは無料ではないが$5/月でHerokuより高機能、GitHub連携のモダンUIが魅力
- Fly.ioは新規ユーザーへの無料枠がなくなったが、エッジデプロイ・グローバル分散に強い
- Coolifyはサーバー代さえ払えばソフトウェア利用料は永久無料のセルフホスト型PaaS
- Koyebはサーバーレス×スケールトゥゼロでアクセスがないときは課金なし
詳細比較表:機能・移行性・開発体験
| サービス名 | Heroku Buildpacks互換 | カスタムドメイン(無料) | 自動SSL | プレビュー環境 | ログ保持 | スケールトゥゼロ | 日本リージョン |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| Render | △(Nixpacks採用) | ◎ | ◎ | ○(Pro以上) | 7日間 | ×(常時稼働) | ×(US/EU/Singapore) |
| Railway | ×(独自ビルド) | ◎ | ◎ | ◎(PR Deploy) | 7日間 | ○ | ×(US/EU/Asia) |
| Fly.io | ×(Docker前提) | ◎ | ◎ | ○(Machine API) | リアルタイム | ○ | ◎(東京あり) |
| Coolify | ×(Docker/Nixpacks) | ◎ | ◎(Let’s Encrypt) | ◎(PR Deploy) | 無制限(自前) | × | ◎(自前サーバー次第) |
| Koyeb | ×(Docker/Buildpacks) | ◎ | ◎ | ○ | リアルタイム | ◎ | ×(US/EU/Asia) |
※ ◎=完全対応 / ○=対応 / △=部分互換 / ×=非対応
各サービスを詳しく見る
1. Render|Heroku最有力の後継、Free tierで常時稼働
Heroku無料プラン廃止後に最も多くの開発者が移行した先とされるクラウドPaaS。UIも操作感もHerokuに極めて近く、git pushでデプロイ→自動ビルド→公開という流れがそのまま使えます。Free tierでは512MB RAM / 0.1 CPUのWebサービスが常時稼働し、Heroku Eco Dynoのようなスリープがありません。
メリット
- Free tierで常時稼働(30分スリープなし)
- Node.js / Python / Go / Rust / Ruby / Elixir / Dockerに対応
- Herokuに最も近い操作感・ダッシュボード
- 静的サイトは完全無料(帯域5GB/月)
- カスタムドメイン・自動SSL が無料プランから利用可
- Nixpacks採用でBuildpack不要、自動検出ビルド
デメリット
- Free tierのPostgreSQLは30日間限定(期限後はデータ削除)
- Free tierは帯域5GB/月まで(超過$0.15/GB)
- 日本リージョンなし(US/EU/Singapore)
- Free tierではバックグラウンドワーカー(Worker Service)が使えない
Herokuユーザーにとって最も学習コストが低い移行先です。render.yaml(HerokuのProcfileに相当)を書くだけで、ほぼ同じワークフローでデプロイできます。公式に「Migrate from Heroku」ガイドが用意されており、環境変数のインポートも対応しています。
👤 こんな人におすすめ
- Herokuと同じ感覚で無料デプロイしたい人
- ポートフォリオやサイドプロジェクトを常時公開したい人
- Docker知識がなくてもgit pushで済ませたい人
2. Railway|モダンUI×GitHub連携で開発体験がHeroku超え
2020年創業の後発PaaSで、Herokuの良さを継承しつつモダンなUIと開発体験を提供。ダッシュボードからデータベース・Redis・cronジョブまでワンクリックで追加でき、「Herokuのアドオン文化」をよりスマートに実現しています。完全無料ではありませんが、Hobby $5/月($5分のクレジット含む) から利用可能。
メリット
- GitHub連携が強力(PRごとにプレビュー環境自動生成)
- PostgreSQL / MySQL / Redis / MongoDBをワンクリック追加
- 秒単位の従量課金(使わなければ月$5を超えない)
- ダッシュボードのUIが洗練されていて直感的
- テンプレートから1クリックデプロイ(Next.js/Rails/Django等)
- クレジットカード不要で$5トライアル開始可能
デメリット
- 完全無料プランはない($5トライアルは30日限定)
- トライアル後はHobby $5/月が最低料金
- 日本リージョンなし(US/EU/Asiaから選択)
- 無料トライアル中はリソース上限あり(2vCPU / 1GB RAM)
GitHubリポジトリを接続するだけで自動検出ビルド→デプロイまで完了します。HerokuのProcfileに相当するファイルは不要で、フレームワークを自動判別。環境変数もダッシュボードからまとめて設定でき、Herokuより手順が少ないのが特徴です。
👤 こんな人におすすめ
- 月$5は許容範囲で、Herokuより良い体験が欲しい人
- データベースやRedisもセットで管理したい人
- チーム開発でPRプレビュー環境を活用したい人
3. Fly.io|グローバルエッジデプロイ、東京リージョンあり
アプリをユーザーの近くで動かすというコンセプトのクラウドPaaS。世界30以上のリージョン(東京含む)にコンテナを分散配置でき、日本のユーザー向けサービスでレイテンシを最小化できます。DockerイメージをCLI(flyctl)でデプロイする方式で、Herokuより自由度が高いのが特徴。
メリット
- 東京リージョンあり(日本向けサービスに最適)
- グローバル30+リージョンに分散配置可能
- Fly Postgres(マネージドDB)を無料枠で利用可能
- スケールトゥゼロ対応(アクセスがなければ課金なし)
- 独自CLI「flyctl」でデプロイが高速
- 最小構成で月~$2〜と格安
デメリット
- 新規ユーザーへの無料枠が廃止済み(クレジットカード必須)
- Docker前提の運用(Buildpackは非対応)
- CLIベースの操作が中心(GUIダッシュボードは簡素)
- ドキュメントが英語のみ
Dockerfileがあればfly launch→fly deployの2コマンドでデプロイ可能。ただしHerokuのようなBuildpack自動検出はなく、Dockerの基礎知識が前提です。Herokuに比べてセットアップの手数はやや多め。
👤 こんな人におすすめ
- 日本リージョンでレイテンシを最小化したい人
- Docker経験があり自由度の高い環境が欲しい人
- グローバル展開を視野に入れているサービス開発者
4. Coolify|自分のサーバーに構築する完全無料PaaS
「Heroku/Vercel/Netlifyのセルフホスト版」を目指すオープンソースプロジェクト。VPS(月$5前後のDigitalOcean/Hetzner等)にCoolifyをインストールすると、Herokuと同等のgit push deploy・データベース管理・SSL自動取得が全て無料で使えます。ソフトウェア利用料は永久$0。
メリット
- ソフトウェア利用料が完全無料(OSS・AGPLv3)
- データの完全所有権(自分のサーバー上で動作)
- 280+のワンクリックサービス(WordPress/Supabase/n8n等)
- GitHub/GitLab/Bitbucket連携でgit pushデプロイ
- Let’s Encryptで自動SSL・カスタムドメイン対応
- PRデプロイ・Webhook・APIなど開発者向け機能が充実
デメリット
- VPS(サーバー)の契約・管理が自分で必要
- サーバー障害時の復旧も自己責任
- 初期セットアップにLinux/SSH/Dockerの基礎知識が必要
- 日本語ドキュメントはほぼなし
CoolifyのGUIからGitHubリポジトリを接続すれば、NixpacksまたはDockerfileで自動ビルド→デプロイ。使い始めればHerokuと同じ感覚ですが、VPSの初期セットアップ(SSH接続・Coolifyインストール)が事前に必要です。
👤 こんな人におすすめ
- 月額固定のVPS代だけで複数プロジェクトを運用したい人
- データの所有権・プライバシーを重視する人
- Linuxサーバーの基本操作ができる人
5. Koyeb|サーバーレス×スケールトゥゼロで無駄なし
サーバーレスPaaSとして設計されたサービスで、アクセスがない時間は自動的にゼロスケール→課金も停止する仕組みが特徴。Heroku Eco Dynoのスリープとは異なり、コールドスタートが高速(数秒)で、趣味プロジェクトの「普段はアクセスゼロ、たまに使う」という運用に適しています。
メリット
- スケールトゥゼロ対応(使わない間は$0)
- 無料枠あり(月5時間のコンピュート)
- Git push / Docker / CLIの3方式でデプロイ可能
- Serverless Postgres(US/EU/Asiaの3リージョン)
- 秒単位の従量課金で無駄がない
- 自動SSL・カスタムドメイン・ヘルスチェック標準装備
デメリット
- 無料枠が月5時間と少ない(常時稼働には不足)
- 有料プランは$29/月〜とやや高め
- 日本語情報・コミュニティが少ない
- 日本リージョンなし(US/EU/Asiaの中でもシンガポール)
GitHubリポジトリを接続すれば自動ビルド・デプロイが可能。Heroku Buildpacksにも部分対応しており、HerokuのProcfileがそのまま使えるケースもあります。ダッシュボードの操作感もHerokuに近い。
👤 こんな人におすすめ
- アクセスが不定期で、使わない間の課金を避けたい人
- サーバーレスに興味がありHerokuから脱却したい人
- 小規模APIやWebhookを低コストで運用したい人
用途別おすすめまとめ
| こんな用途なら | おすすめサービス | 理由 |
|---|---|---|
| ポートフォリオ・個人サイト常時公開 | Render | Free tierで常時稼働、スリープなし |
| チーム開発・PR環境も欲しい | Railway | $5/月でPRプレビュー・DB・Redis込み |
| 日本ユーザー向けサービス | Fly.io | 東京リージョンでレイテンシ最小化 |
| 複数プロジェクトを月額固定で | Coolify | VPS 1台で何アプリでも無制限 |
| たまにしか使わないBot・API | Koyeb | スケールトゥゼロで使わない間$0 |
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Herokuから移行するときの注意点
1. アドオンの代替を事前に確認する
HerokuのHeroku Postgres / Heroku Redis / SendGrid / Papertrailなどのアドオンは、移行先では別途用意が必要です。RenderやRailwayには同等のマネージドサービスがありますが、一部アドオン(Heroku Scheduler等)は代替の検討が必要です。
2. 環境変数の移行を忘れない
heroku configで取得できる環境変数は、移行先のダッシュボードに手動でコピーする必要があります。RenderとRailwayは.envファイルからのインポートに対応しており、一括移行が可能です。
3. Procfileの書き換え
HerokuのProcfileはRenderではrender.yaml、Fly.ioではfly.tomlに書き換えます。RailwayとCoolifyはProcfile不要で自動検出してくれるため、逆に手間が減る場合もあります。
4. データベースのエクスポート・インポート
Heroku Postgresのデータはpg_dumpでエクスポートし、移行先のPostgreSQLにpg_restoreでインポートするのが基本手順です。データ量が多い場合はダウンタイムを最小化するために、一時的に両方を並行稼働させてからDNS切り替えする方法もあります。
よくある質問
Q. Herokuの完全無料代替は存在する?
RenderのFree tierが最もHerokuの無料プランに近い存在です。512MB RAM・常時稼働でスリープもありません。ただしPostgreSQLの無料枠は30日限定のため、DB不要のアプリか、外部DB(Supabase/Neon等)と組み合わせるのが現実的です。CoolifyはVPS代(月$5前後)だけでソフトウェア利用料$0、複数アプリ無制限で運用できます。
Q. Herokuの「git push heroku main」に一番近いのは?
RenderとRailwayがほぼ同じ体験を提供します。GitHubリポジトリを接続すれば、mainブランチへのpushで自動デプロイが走ります。Herokuのように別途リモートを追加する必要すらなく、Herokuより手順が少ないのが実情です。
Q. 日本リージョンがあるサービスは?
5サービス中、Fly.ioが東京リージョンを提供しています。Coolifyは自前サーバーなので日本のVPS(さくらVPS/ConoHa VPS等)を使えば実質日本リージョンです。Render/Railway/Koyebはシンガポールが最寄りで、日本からのレイテンシは40〜80ms程度です。
Q. Herokuからの移行は難しい?
多くの場合、1〜2時間で移行完了できます。特にRenderとRailwayは公式に「Herokuからの移行ガイド」を用意しており、GitHubリポジトリ接続→環境変数コピー→デプロイの3ステップです。データベースがある場合はpg_dump/pg_restoreの追加手順が必要ですが、手順自体はシンプルです。
まとめ:まずはRenderから試そう
Heroku無料プラン廃止後の乗り換え先として、最もハードルが低いのはRenderです。Free tierで常時稼働・git push deploy・自動SSLと、Heroku無料時代の使い勝手をほぼ再現できます。
月$5の予算があるならRailwayのHobbyプランがHeroku以上の開発体験を提供し、日本ユーザー向けならFly.ioの東京リージョン、コスト完全ゼロを目指すならCoolifyのセルフホストが選択肢に入ります。
いずれのサービスもHerokuからの移行ドキュメントが充実しているので、まずは既存プロジェクトを1つ移してみるのがおすすめです。