「1Passwordの年額が地味に効いてくる」「家族分もとなると結構な出費」——そんな人のために、1Passwordの代わりになる無料・格安パスワード管理アプリ7本を比較しました。
1Password Individualは年払いで月$2.99、年間で約5,400円(為替レートで変動)。Familiesプランなら年間約8,100円。パスワード管理は一度導入すると乗り換えにくいだけに、無料でも十分な代替が育ってきた今こそ見直しどきです。
この記事の結論
- 完全無料で1Passwordと同等に使いたい → Bitwarden(OSS・機能制限ほぼなし)
- プライバシー重視・将来性で選ぶ → Proton Pass(Protonブランド・hide-my-email対応)
- クラウドを使わずローカル管理したい → KeePassXC(OSS・完全オフライン)
- Appleユーザーで追加不要なら → iCloudキーチェーン(標準搭載・無料)
1Passwordはなぜ見直される?代替を検討する3つの理由
1. 年額5,000円超のサブスクが家族分で膨らむ
| プラン | 月額(年払い・目安) | 年額(目安) |
|---|---|---|
| 1Password Individual | 約450円 | 約5,400円 |
| 1Password Families(最大5人) | 約680円 | 約8,100円 |
| 月払いIndividual | 約750円 | 約9,000円 |
※ 2026年4月時点、1Password公式表示の$建て価格を1ドル150円換算で試算。最新価格・為替は公式でご確認ください。
2. 無料プラン側の機能が急速に追いついた
2023〜2025年にかけて、Bitwarden・Proton Passなどの無料枠が大幅に拡張されました。パスワード無制限・デバイス無制限・パスキー対応が無料ラインの標準になり、「1Passwordでないと困る場面」は確実に減っています。
3. パスキー時代で「パスワード管理」の役割が変化
パスキー(生体認証ベースのログイン)に対応したサービスが増え、従来のパスワードそのものを減らす方向にシフトしています。有料プランで高度機能を抱えるより、無料でパスキー対応している管理ツールに乗り換える選択肢が現実的になっています。
比較表:1Password代替7本まとめ
| ソフト名 | 料金 | 対応OS | パスキー | 2段階認証生成 | 共有機能 | おすすめ度 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| Bitwarden | 完全無料(Premium $10/年) | Win/Mac/Linux/iOS/Android/Web | ◎ | △(Premiumのみ) | ○ | ★★★★★ |
| Proton Pass | 完全無料(Plus $4.99/月〜) | Win/Mac/Linux/iOS/Android/Web | ◎ | △(有料のみ) | △(有料のみ) | ★★★★☆ |
| KeePassXC | 完全無料(OSS) | Win/Mac/Linux | ◎ | ○ | × | ★★★★☆ |
| iCloudキーチェーン | 完全無料 | Apple製品/Win(iCloud for Windows) | ◎ | ○ | ○(ファミリー共有) | ★★★★☆ |
| Googleパスワードマネージャー | 完全無料 | Chrome/Android/iOS | ◎ | △ | △ | ★★★☆☆ |
| Enpass | 無料版あり(買切3年$49.99等) | Win/Mac/Linux/iOS/Android | ◎ | ○ | ○(有料) | ★★★☆☆ |
| NordPass | 無料版あり(Premium有料) | Win/Mac/Linux/iOS/Android | ◎ | △(有料) | △(有料) | ★★★☆☆ |
※ ◎=完全対応 / ○=対応 / △=部分対応または有料のみ / ×=非対応
※ NordPass無料版は複数デバイス同時利用に制限あり(公式より)
※ KeePassXCは公式モバイルアプリなし(サードパーティで対応)
※ 2026年4月時点、各公式情報より
読み取り方のヒント
- Bitwardenは無料プランでも1Passwordと同等の中核機能が使える。有料Premiumは$10/年で2FA生成やファイル添付が解放される
- Proton Passはhide-my-email(メールエイリアス)が無料で10個作れる点が差別化要素
- KeePassXCはクラウド同期を自分で設計する前提。Dropbox等にボールトファイルを置いて同期する形
- iCloudキーチェーンとGoogleパスワードマネージャーは追加アプリ不要で、既に使っているアカウントにそのまま乗れる
各アプリを詳しく見る
1. Bitwarden|OSS完全無料の本命
米Bitwarden社が運営するオープンソースのパスワード管理サービス。無料プランでもパスワード無制限・デバイス無制限・パスキー対応と、1Passwordと真正面から戦える機能を備えます。有料Premiumも$10/年と手頃です。
メリット
- 完全無料・パスワード無制限・デバイス無制限
- オープンソースで第三者監査済み
- ブラウザ拡張・モバイル・デスクトップ全対応
- パスキー・データ漏洩チェック対応
- Premiumでも$10/年と安い
デメリット
- 2段階認証コードの生成はPremium($10/年)から
- UIは機能優先で洗練度は1Passwordに一歩譲る
- 公式サーバー以外(セルフホスト)運用には知識が必要
1Passwordから書き出したCSV・1PIFファイルをインポートできます。ブラウザ拡張・モバイルアプリの操作感も近く、1Password卒業組の第一候補です。
👤 こんな人におすすめ
- 完全無料で1Password同等の機能が欲しい人
- オープンソースで透明性を重視する人
- PC・スマホ複数台で同期したい人
2. Proton Pass|プライバシー重視の注目株
スイス拠点のProton社(Proton MailやProton VPNで知られる)が提供するパスワード管理サービス。エンドツーエンド暗号化を前提に設計され、hide-my-email(メールエイリアス)が無料で10個使えるのが独特の強みです。
メリット
- 無料でパスワード・デバイス無制限
- hide-my-emailで捨てアドレス生成10個
- Protonブランドのプライバシー設計
- パスキー対応
- 日本語UI・ブラウザ拡張充実
デメリット
- 2FA認証コード生成・ダークWeb監視は有料
- 無料版はボールトが1つのみ
- 共有機能も有料プラン(Pass Plus以上)
1Passwordからのエクスポート(CSV)を直接インポート可能。Proton Mailを併用している人には親和性が高く、プライバシー重視層の乗り換え先として伸びているサービスです。
👤 こんな人におすすめ
- Proton MailやProton VPNを既に使っている人
- メールエイリアスで登録アドレスを隠したい人
- 欧州発のプライバシー文化を信頼する人
3. KeePassXC|完全オフラインのOSS派
コミュニティ運営の完全無料・GPLv3ライセンスのパスワード管理ソフト。クラウドに一切頼らず、暗号化された1つのファイル(.kdbx)で全パスワードを管理します。ファイルの置き場所(Dropbox、Google Drive、USB等)は自分で選べます。
メリット
- 完全無料・GPLv3で透明性最高
- パスワードは自分のPCから出ない
- ブラウザ連携(KeePassXC-Browser)あり
- 2FA認証コード生成も無料で可能
- 買い切り感覚で恒久利用できる
デメリット
- クラウド同期は自分で設計する必要あり
- 公式モバイルアプリはなく、iOS/Androidはサードパーティ(KeePassiumやKeePass2Android等)
- UIは実用重視で、モダンさはやや劣る
1PasswordからのCSVインポートは可能ですが、「ボールトファイルを自分で同期する」発想に慣れが要るのが最大の壁です。セキュリティ理解がある人には最も安心感のある選択肢です。
👤 こんな人におすすめ
- クラウドに本当の意味で預けたくない人
- 完全無料で一生使えるソフトが欲しい人
- 技術的な設計が苦にならない人
4. iCloudキーチェーン|Apple標準の無料ソリューション
Appleが提供するパスワード管理機能。macOS・iOS・iPadOSに標準搭載されており、Apple IDがあれば追加登録なしで使えます。Windowsでも「iCloud for Windows」経由で利用可能です。
メリット
- Apple製品に最初から組み込まれている
- Safari・対応アプリで自動入力が滑らか
- 完全無料・追加契約不要
- パスキー対応・2FA認証コード生成も可能
- ファミリー共有で特定のパスワードを家族に共有可
デメリット
- AndroidやLinuxでは使いづらい
- Chrome/Firefoxでの自動入力は専用拡張が必要
- 他サービスへの移行時にエクスポート手順がやや煩雑
Apple純正ゆえApple完結ならベストな体験。ただし家族にAndroid/Windowsが混ざる家庭では、どこかで不便が出ます。
👤 こんな人におすすめ
- 家族全員がApple製品を使っている人
- 追加アプリを増やしたくない人
- Safari中心でブラウジングする人
5. Googleパスワードマネージャー|Chrome/Android標準の無料機能
Googleが提供するパスワード管理機能。ChromeブラウザとAndroidに標準搭載で、Googleアカウントがあれば即使えます。2024年以降はスタンドアロンアプリとしても使えるよう進化しています。
メリット
- Googleアカウントのみで即使える
- Chrome・Androidでの自動入力が完璧
- 漏洩パスワードの警告機能内蔵
- パスキー対応
- 完全無料
デメリット
- iOS/Safariでの使い勝手はChromeほど滑らかでない
- 共有機能は限定的
- Googleアカウント依存のリスク(BANされたら全滅)
- 高度なセキュリティ設定が少ない
Chrome主体の人には最も摩擦が少ない乗り換え先です。ただしパスワード管理を一元化したい人は他の選択肢を検討したほうが安心です。
👤 こんな人におすすめ
- Chrome・Androidがメインの人
- 追加アプリなしで済ませたい人
- まずは無料で基本機能だけ使いたい人
6. Enpass|買い切りで一生使える選択肢
インド拠点のSinew Softwareが開発するパスワード管理ソフト。デスクトップ版は無料、モバイル・同期機能は買い切り or サブスクという独特の料金体系です。3年プラン買い切りで$49.99(約7,500円)と、長期利用ならコストが読みやすいのが魅力です。
メリット
- デスクトップ版は無料
- 買い切りプラン(3年$49.99)でサブスクから脱出
- 同期先をiCloud/Dropbox/OneDrive等から選べる
- 全主要OS対応
- パスキー・2FA認証コード生成対応
デメリット
- 無料版はモバイル機能に制限
- 料金プランがやや複雑
- サーバー側は他社ストレージ前提(自前サーバー運用ではない)
1PasswordからのインポートUIが整っており、サブスクを嫌う層にちょうど良い選択肢です。長期で使うほどコストメリットが大きくなります。
👤 こんな人におすすめ
- サブスクを極力減らしたい人
- 買い切りで長く使いたい人
- 同期先は自分で選びたい人
7. NordPass|NordVPNと同じブランドで揃えたい人に
パナマ拠点のNord Security(NordVPNで有名)が提供するパスワード管理サービス。無料版は1デバイス同時ログインに制限される代わり、パスワード無制限・パスキー対応は利用できます。
メリット
- UIが洗練されていて使いやすい
- パスキー・生体認証対応
- NordVPN利用者はバンドル割引でコスト圧縮可
- 日本語UIが充実
デメリット
- 無料版は1デバイス同時ログインのみ(切り替え制)
- データ漏洩スキャンや共有は有料プラン
- OSSではないため検証性は劣る
NordVPN等を既に契約している人なら有力ですが、単体で選ぶならBitwardenやProton Passのほうがコスパが良いです。
👤 こんな人におすすめ
- NordVPNや他のNord系サービスを使っている人
- 洗練されたUIを重視する人
- 1台だけで使えれば十分な人
用途別おすすめまとめ
| 目的 | おすすめ | 理由 |
|---|---|---|
| 1Password同等を完全無料で | Bitwarden | 無料プランの機能が最も充実、OSSで透明性も高い |
| プライバシー重視 | Proton Pass | E2E暗号化、hide-my-email無料10個 |
| クラウドを使いたくない | KeePassXC | ローカル完結、ファイル同期は自分で設計 |
| Apple製品で完結 | iCloudキーチェーン | 標準搭載、追加アプリ不要 |
| Chrome/Android中心 | Googleパスワードマネージャー | 標準搭載、自動入力が滑らか |
| サブスク嫌い | Enpass | 3年買い切りプランあり |
| Nord系で揃えたい | NordPass | バンドル割引、UI洗練 |
関連: 個人サブスクの見直しなら Dropboxの代わりになる無料クラウドストレージ7選/Notionの代わりになる無料ノート・Wiki 7選 もどうぞ。
1Passwordからの移行で気をつけること
1. エクスポート前にマスターパスワードの扱いを決める
1Passwordのデータをエクスポートすると、全パスワードが平文CSVで書き出されることになります。移行完了まではこのファイルを厳重に扱い、完了後は必ず安全に削除してください。SSDの場合は復元されにくいですが、可能ならパスワード付きZIPで一時保管する等の工夫を。
2. 2段階認証コード(TOTP)の移行を忘れない
1PasswordはTOTPコードも保存できますが、Bitwarden無料版やProton Pass無料版ではTOTP生成が有料です。乗り換え先でTOTPをどう扱うかは、移行前に決めておきましょう。Authy・Google Authenticator等の専用アプリに逃がす手もあります。
3. 家族共有の仕組みが変わる
1Password Familiesの共有ボールトに慣れている場合、乗り換え先によっては共有機能が有料プラン限定のことがあります。Bitwarden Families($40/年)なら1Password Familiesより安く同等機能が使えるので、家族単位での乗り換えは有料プラン前提で比較するのがおすすめです。
4. パスキー対応状況を確認する
2026年時点で紹介7本はすべてパスキーに対応しています。ただしどの端末・ブラウザで実際に使えるかは細かな差があります。重要サイト(銀行・メイン決済)は、乗り換え先で確実にパスキーを登録できるか確認しておくと安心です。
よくある質問
Q1. 1PasswordからのデータはどのアプリでもCSVインポートできますか?
Bitwarden・Proton Pass・KeePassXC・Enpass・NordPassはCSVインポートに対応しています。iCloudキーチェーンとGoogleパスワードマネージャーもCSVインポートが可能ですが、UIはやや探しにくい位置にあります(Safari設定・Chrome設定から辿る)。
Q2. 無料プランでも十分なセキュリティは保てますか?
紹介した無料版すべてがエンドツーエンド暗号化(E2E)を採用しており、サービス提供元でもパスワード本体は読めない設計です。マスターパスワードを強固にし、2段階認証(Authyなど別アプリでも可)を有効化すれば、無料プランでも実用十分の安全性を確保できます。
Q3. どれか1つを選ぶなら?
汎用性・コスパ・将来性のバランスでBitwardenが第一候補です。Appleで揃っている家庭ならiCloudキーチェーン、プライバシー最重視ならProton Pass、クラウド不信ならKeePassXCという順で検討すれば失敗は少ないです。
Q4. パスキーに移行したら管理アプリは不要ですか?
対応サイトが急増中ですが、当面は従来のパスワードも併用が必要です。管理アプリは「パスワード+パスキー+TOTP+メモ」の保管庫として引き続き役立ちます。
Q5. 会社で使っているアカウントと分けるべきですか?
分けることを強く推奨します。個人アカウントと業務アカウントを1つのボールトに混ぜると、退職・解約時に整理が面倒になります。Bitwardenなら無料でも複数アカウントを使い分けできます。
Q6. LastPassから乗り換えたい場合も同じですか?
はい、本記事の7本はすべてLastPassからのCSVインポートにも対応しています。LastPassは2022年のインシデントを経て無料プランの制限も強まっており、BitwardenかProton Passへの移行が特におすすめです。
まとめ:まずはBitwardenから試そう
1Passwordの年額に疑問を持ったら、最初に試すべきはBitwardenです。完全無料でパスワード無制限・デバイス無制限・OSSで透明性も高く、1Passwordからのインポートも公式にサポートされています。
「Proton系サービスを既に使っている」人はProton Pass、「クラウドに預けたくない」人はKeePassXC、「Appleで完結させたい」人はiCloudキーチェーンを——この順番で検討するのが最も効率的です。
年間5,000円の1Password Individualを解約できれば、その予算で月1冊の書籍代が生まれる計算です。家族プランなら差はさらに広がります。無料だから性能が劣る時代は、パスワード管理の領域では既に終わっています。
まずは1本、気になったものを起動してみてください。