無料のアプリで作ったアニメを書き出したら、画面の隅にアプリのロゴが入っていた。スマホのアニメーションアプリでは珍しくありません。アイビスペイントは「動画のウォーターマーク非表示」をプレミアム会員の機能に挙げていますし、FlipaClipの公式ヘルプも、動画からロゴを消す機能を有料のFlipaClip Plusの特典にしています。

パソコン用のKrita・OpenToonz・Pencil2Dには、機能を解放するための有料版がありません。OpenToonzは、スタジオジブリの制作に長年使われてきた「Toonz」が元になったソフトで、公式サイトには「商用・非商用問わず、どなたでも無料で使用することができます」とあります。

この記事では7本の公式サイト・公式ヘルプ・料金ページに加え、オープンソースのものは配布ファイルやソースコードまで開いて確かめ(2026年9月19日時点)、アニメーションが無料で作れるソフト・アプリ7本を機能性・使いやすさ・コスパ・拡張性・安定性の5軸で並べました。7本とも無料で始められます。有料プランがあるものは、無料のままどこまで使えるかをあわせて書いています。

先に結論

  • パソコンで迷ったらKrita。イラストを描く機能とアニメの機能が1本にそろい、機能を解放する有料版がない
  • 無料のまま本格的に作るならOpenToonz。スタジオジブリの制作に使われてきたToonzが元
  • アニメだけを軽く始めるならPencil2D。画面が簡素で、書き出しに必要なFFmpegも同梱されている
  • スマホで描くならアイビスペイントX。ただしスマホ向けのアイビスペイントX・FlipaClipは、透かしなしで書き出すには有料プランが必要(Androidタブレットなら、無料のKritaのベータ版という手もある)
  • 1枚の絵を動かすなら、無料だけで済ませたい場合はAnimeEffects、細かく作り込みたい場合はLive2D Cubism(無料のFREE版には上限あり)

先に決めること:コマを描くか、1枚の絵を動かすか

「アニメーションを作る」方法は、大きく2つに分かれます。どちらを選ぶかで、使うソフトが変わります。

作り方 仕組み 向いているもの
コマを描く 少しずつ違う絵を並べる 手描きアニメ
1枚絵を動かす 部品に分けて変形 立ち絵・MV

コマを描く方法は、1秒あたり何枚の絵を見せるか(フレームレート)を決め、少しずつ違う絵を描き足していきます。FlipaClipの公式ヘルプの例では、12FPSで3秒のアニメを作るには36枚の絵が必要です。前後のコマを半透明で重ねて表示する「オニオンスキン」は、今回のコマを描く5本すべてにあります。

1枚の絵を動かす方法は、目・口・髪などをレイヤーに分けたイラストを読み込み、部品ごとに変形させて動きを作ります。枚数を描かなくて済む代わりに、最初に絵を部品ごとに分けておく必要があります。VTuberの立ち絵や、音楽に合わせてキャラクターが揺れるMVに向いています。

アニメーションが無料で作れるソフト・アプリ7本の早見表

ツール作り方使える端末機能の課金総合
Kritaコマを描くPC・Android(β)なし◎
OpenToonzコマを描くPCなし◎
Pencil2Dコマを描くPCなし◎
アイビスペイントXコマを描くスマホ・PCあり○
FlipaClipコマを描くスマホあり○
AnimeEffects1枚絵を動かすPCなし◎
Live2D Cubism1枚絵を動かすPCあり○

※ 2026年9月19日時点で、各社の公式サイト・公式ヘルプ・App Storeの表示を直接確認した内容です。

※ 「PC」はWindows・Macの両方で使えるものです。KritaのAndroid版は、タブレット向けのベータ版です。

※ 「機能の課金」は、無料のままでは使えない機能を有料で解放する仕組みがあるかどうかです。価格は各ソフトの紹介に書いています。

※ 「総合」は、このあと説明する5軸評価の結果です。コマを描く5本と、1枚の絵を動かす2本は、それぞれ別に順位をつけています。

総合評価:無料のまま、描いたアニメを書き出せるか

5軸は、アニメーション作りにあわせて次のように読み替え、7本すべてに同じ基準で当てはめました。

  • 機能性:アニメを作る基本の機能(コマを描く5本はタイムライン・オニオンスキン・フレームレートの設定、1枚絵の2本は部品の変形)がそろったうえで、動画編集ソフトを使わずに音声付きの動画を書き出せれば◎、映像だけなら○。有料の機能も含めて判定し、無料での制限はコスパで扱う
  • 使いやすさ:①画面が日本語で表示されるか(公式が日本語対応を明記している、または翻訳が8割以上)、②配布ファイルにFFmpeg(動画を作るための別のソフト)が入っていて、MP4で書き出すのに自分で入れる必要がないか。2つとも満たせば◎、1つなら○、どちらも満たさなければ△
  • コスパ:無料のまま、透かし・広告・サイズや音声の制限なしに書き出せるか。機能を解放する有料版がなければ◎、無料だと書き出しに制限がかかれば△
  • 拡張性:公式がWindows・Mac向けに配っているパソコン版と、iPhone・iPad・Android向けの版(ベータ版を含む)の両方があるか、またはSDKで他のアプリに組み込めるなら◎。どちらか一方だけなら○。ChromebookやMacでスマホ用のアプリを動かす場合は、パソコン版に数えていません
  • 安定性:2026年に入ってから正式版の更新が出ているか。2026年中に、無料で使えていた機能を有料に移していないか。2つとも満たせば◎、1つなら○

総合は、△が1つもなく、◎が3軸以上なら◎。それ以外は○と判定しました。順位は、まず総合(◎が上)で分け、同じ総合の中では「無料のまま制限なく書き出せるか(コスパ)」→「使いやすさ」→「使える端末の広さ(拡張性)」の順に比べ、それでも並ぶ場合は画面の日本語表示が進んでいるほうを上にしています。

今回の7本は、公式マニュアル・公式情報・ソースコードで確認した範囲では、いずれも動画編集ソフトを使わずに音声付きの動画を書き出せるため、機能性はすべて◎になりました。順位はほかの4軸で決まります。機能の細かな違いは、各ソフトの紹介に書いています。

コマを描く5本の順位

ツール機能性使いやすさコスパ拡張性安定性総合
Krita◎○◎◎◎◎
OpenToonz◎○◎○◎◎
Pencil2D◎○◎○◎◎
アイビスペイントX◎◎△◎◎○
FlipaClip◎◎△○◎○

※ 上から順に1位〜5位です。

1位 Krita(総合◎):◎が4つで△が無いので総合◎です。総合◎はKrita・OpenToonz・Pencil2Dの3本でした。

2位 OpenToonz(総合◎):◎が3つで、1位と同じ総合◎です。コスパ(◎)と使いやすさ(○)も1位と同じで、差がつくのは3つめの基準の拡張性です。KritaにはAndroidタブレット向けのベータ版がありますが、OpenToonzはWindows・Mac版だけです。

3位 Pencil2D(総合◎):◎が3つで総合◎です。2位とはコスパ(◎)・使いやすさ(○)・拡張性(○)がすべて同じで、最後の基準の日本語表示で差がつきます。OpenToonzは日本語にローカライズされていますが、Pencil2Dの日本語訳は約3割です。

4位 アイビスペイントX(総合○):◎が4つありますが、コスパが△なので総合○です。3位との差は総合で、Pencil2Dは無料のまま書き出せるのに対し、アイビスペイントXは無料だと動画に透かしが入ります。

5位 FlipaClip(総合○):4位とコスパ(△)・使いやすさ(◎)が同じで、差がつくのは拡張性です。アイビスペイントXには公式のWindows・Mac版がありますが、FlipaClipは公式の配布先一覧にパソコン版が見当たりません。

コマを描くソフト・アプリ5本の特徴

1. Krita(PC・Androidタブレット)|イラストを描く延長で、アニメまで作れる

Kritaは、2012年に設立された非営利団体のKrita財団が開発を支えている、オープンソースのペイントソフトです。公式サイトは「永遠にフリーでオープンソースのソフトウェア」と書いています。2026年も更新が続いており、確認した時点で実用向けの最新版は9月の5.3.4でした(同時に出た6.0.4は、公式が試験的な版と位置づけています)。

アニメーションの機能は、画面を切り替えて使います。公式マニュアルによると、「ウインドウ ‣ ワークスペース ‣ アニメーション」を選ぶと、次のパネルが表示されます。

  • フレームを並べるタイムライン
  • 前後のコマを重ねて見るオニオンスキン
  • 動きの速さを曲線で調整するアニメーションカーブ
  • 絵コンテを作るストーリーボード

書き出しには注意が必要です。Kritaには動画を作るためのFFmpegの一部が同梱されていますが、公式マニュアルによると、同梱分が対応するのはWebM・Matroska(MKV)・OGGの3形式です。MP4やGIFで書き出すには、マニュアルの手順でFFmpegを別に入手して設定します。

音声は、読み込んだ音を書き出す動画に含める設定があります。ただ公式マニュアルは、映像と音声を高度に合成する機能はないとしているので、音楽に細かく合わせるMVのような作品は、動画編集ソフトで仕上げる形になります。動画編集ソフトは動画編集ソフトおすすめ6選で比べています。

有料版について補足します。Kritaは公式サイトから無料で入手でき、Microsoft Store・Steam・Epic Games Store・Mac App Storeでは有料版も売られています。公式はこれを開発を支援するための販売と説明しており、Android版の支援サブスクについても、機能を有料の壁の向こうに置くことはないとしています。

  • 機能性◎:タイムライン・オニオンスキン・アニメーションカーブ・ストーリーボードがそろい、読み込んだ音声を含めて動画を書き出せる
  • 使いやすさ○:KDEの翻訳統計では画面の日本語訳が約84%まで進んでいる。MP4・GIFで書き出すにはFFmpegを別に入れる必要がある
  • コスパ◎:公式サイトからの入手は無料で、機能を解放する有料版がない
  • 拡張性◎:Windows・Mac・Linuxに加え、Androidタブレット向けのベータ版がある(スマホは対象外)。Android版でアニメを動画に書き出せるようになったのは、2026年9月の5.3.4から
  • 安定性◎:2026年9月に実用向けの5.3.4が出ている。Android版の支援サブスクは2026年に始まったが、公式は機能を有料にしないと明言している

イラスト用のソフトとしてのKritaは無料お絵描きソフト6選、GIMPとの違いはGIMP vs Kritaで比べています。

Krita 公式サイトを見る

メリット

  • イラストとアニメを1本で作れる
  • 機能を解放する有料版がない
  • WebM・MKVは追加のソフトなしで書き出せる
  • Windows・Mac・Linuxで使える

デメリット

  • MP4・GIFで書き出すにはFFmpegを別に入れる
  • 音声の合成は動画編集ソフトで行う
  • Android版はタブレット向けのベータ版

こんな人におすすめ

  • イラストも描きたいし、動かしてもみたい
  • パソコンで無料のまま長く使いたい
  • 描いた絵をGIFや動画にしてSNSに載せたい

2. OpenToonz(PC)|ジブリの現場で育ったToonzを、無料で使える

OpenToonzは、イタリアのDigital Video社が開発し、スタジオジブリのカスタマイズを経た「Toonz」を元に、ドワンゴがオープンソースとして公開したアニメーション制作ソフトです。公式サイトによると、Toonzは「もののけ姫」の一部のカットで使われて以降、ほぼ全てのスタジオジブリ作品の仕上・色指定・撮影の工程に使われてきました。

商用・非商用を問わず無料で使え、日本語にローカライズされています。2026年6月にバージョン1.8.0が出ました。なお、公式サイトの動作環境の記載はWindows 7 SP1/8.1/10(64bit必須)とmacOS 10.14以上で、Windows 11の記載は見当たりませんでした。

機能は5本の中でいちばんプロの工程に寄っています。

  • アニメの制作現場のタイムシートと同じ形でコマを管理する「Xシート」
  • 1枚の絵に骨組みを入れて変形させるプラスチックツール
  • プラグインで追加できるエフェクト
  • スタジオジブリが社内で開発したスキャンツール「GTS」(Windows版のみ)

紙に描いた原画をスキャンして仕上げる工程まで想定しているのが特徴です。音声ファイルは、書き出す動画のサウンドトラックにまとめられます。

書き出しは、GIFやAVIなら標準で対応しています。公式マニュアルによると、MP4・WebMで書き出すには(MacではGIFも)、FFmpegを別に入れる必要があります。

  • 機能性◎:Xシート・プラスチックツール・エフェクト・スキャンツールまでそろい、音声も動画にまとめて書き出せる
  • 使いやすさ○:日本語にローカライズされている。MP4・WebMで書き出すにはFFmpegを別に入れる必要がある
  • コスパ◎:商用・非商用を問わず無料で、機能を解放する有料版がない
  • 拡張性○:公式の配布はWindows・Mac版で、スマホ・タブレット版はない
  • 安定性◎:2026年6月に正式版1.8.0が出ており、有料化などの変更も見当たらない

OpenToonz 公式サイトを見る

メリット

  • プロの現場と同じ考え方でコマを管理できる
  • 紙の原画をスキャンして仕上げる工程にも対応
  • 商用・非商用を問わず無料
  • 音声を動画にまとめて書き出せる

デメリット

  • MP4・WebMの書き出しにFFmpegを別に入れる
  • 機能が多く、覚えることも多い
  • スマホ・タブレット版がない

こんな人におすすめ

  • 将来アニメの制作現場で働きたい
  • 紙に描いた原画をデジタルで仕上げたい
  • 無料のまま長い作品を作りたい

3. Pencil2D(PC)|手描きアニメのためだけの、簡素な画面

Pencil2Dは、公式サイトが「2Dの手描きアニメーションを作るための、簡単で直感的なツール」と紹介しているオープンソースのソフトです。「完全にオープンソースで、商用でも無料で使える」と明記されています。Windows・macOS・Linux・FreeBSDで動き、2026年3月にバージョン0.7.2が出ました。

機能は手描きのアニメに絞られていて、画面の項目が少ないぶん、開いてすぐにコマを描き始められます。ラスター(ペンで描く画像)とベクター(線を点と線で持つ形式)を切り替えて描けるのが特徴です。描画ツールの種類は、KritaやアイビスペイントXのような総合的なペイントソフトより少なめです。

公開されているソースコードで確認したところ、書き出しはMP4・AVI・WebM・APNG・GIFに対応し、読み込んだ音声を合成して動画にできます。Windows・Mac・Linuxの配布ファイルには、FFmpegが同梱されています。

気をつけたいのは日本語表示です。v0.7.2の日本語の翻訳ファイルを数えると、1,268項目のうち訳されているのは403項目(約3割)でした。画面の多くは英語のまま表示されます。

  • 機能性◎:タイムライン・オニオンスキンがそろい、音声を合成した動画をMP4など5形式で書き出せる。描画ツールの種類は総合的なペイントソフトより少ない
  • 使いやすさ○:FFmpegが同梱されていて、別に入れる必要がない。日本語訳は約3割で、画面の多くが英語
  • コスパ◎:公式が「商用でも無料」と明記しており、機能を解放する有料版がない
  • 拡張性○:Windows・macOS・Linux・FreeBSDで動くが、スマホ・タブレット版はない
  • 安定性◎:2026年3月に正式版0.7.2が出ており、有料化などの変更も見当たらない

Pencil2D 公式サイトを見る

メリット

  • 画面が簡素で、すぐにコマを描き始められる
  • 商用でも無料と公式が明記している
  • FFmpegが同梱されている
  • ラスターとベクターを切り替えて描ける

デメリット

  • 画面の日本語訳は約3割
  • 描画ツールの種類は少なめ
  • スマホ・タブレット版がない

こんな人におすすめ

  • パラパラ漫画のような短いアニメから始めたい
  • 重いソフトを入れたくない
  • 英語の画面でも気にならない

4. アイビスペイントX(スマホ・PC)|スマホでも本格的に描けるが、無料だと動画に透かし

アイビスペイントXは、株式会社アイビスが提供するお絵描きアプリです。App Storeの説明では、シリーズ累計5億ダウンロードを突破し、13万種以上のブラシを備えた「本格イラスト・アニメーション制作アプリ」とされています。iPhone・iPad・Androidに加え、Windows・Mac版もあります。確認した時点の最新は、2026年9月11日のバージョン14.1.1でした。

アニメーションの作り方は、公式の使い方講座(「アニメーションを作成する」)に図解付きで載っています。1秒あたりのフレーム数を決めてフレームを追加し、オニオンスキンで前後のコマを確かめながら描き足していく流れです。オニオンスキンは、何コマ先まで表示するか、不透明度や色まで設定できます。作品を「動画モード」に変換すると、音声トラックを追加して音楽や声を付けられます。

制約は、無料で使える範囲です。公式の使い方講座(iPhone/iPad・Android向けのプレミアム会員の説明)では、次の3つがプレミアム会員の機能とされています。

  • 動画のウォーターマーク(透かし)非表示
  • 自由なサイズでのアニメーション作品
  • アニメーション作品への音声の追加

無料のままだと、書き出した動画に透かしが入り、サイズも自由には決められず、音も付けられません。無料版には広告も表示されます。

App Storeでのプレミアム会員の価格は月額480円・年額3,000円です(広告だけを消す「広告除去アップグレード」は1,500円)。Windows・Mac版は料金体系が別です。初回に限り、月額プランは7日間、年額プランは約1か月の無料お試しがあります。

  • 機能性◎:フレームレート・オニオンスキンを細かく設定でき、動画モードで音声付きの動画を書き出せる(音声の追加はプレミアム会員の機能)
  • 使いやすさ◎:画面が日本語で、書き出しのために別のソフトを入れる必要もない
  • コスパ△:無料版は広告が表示され、書き出した動画には透かしが入る。サイズの自由指定や音声の追加もプレミアム会員(月額480円〜)の機能
  • 拡張性◎:iPhone・iPad・Android・Windows・Macで使える
  • 安定性◎:2026年9月にも正式版が更新されており、2026年中に無料の機能を有料へ移したという案内も見当たらない

アイビスペイントX 公式サイトを見る

メリット

  • スマホでも本格的な描画機能が使える
  • オニオンスキンを細かく設定できる
  • 公式の使い方講座が図解付き
  • スマホとパソコンの両方で使える
  • プレミアム会員は無料お試しで試せる

デメリット

  • 透かし消し・サイズ指定・音声は有料
  • 無料版は広告が表示される
  • 小さな画面で何十枚も描くのは手間がかかる

こんな人におすすめ

  • いつもスマホで絵を描いている
  • 無料で試して、気に入ったら課金してもいい
  • イラストとアニメを同じアプリで作りたい

5. FlipaClip(スマホ・タブレット)|パラパラ漫画の感覚で始める、アニメ専用アプリ

FlipaClipは、Visual Blasters, LLCが提供するアニメーション専用のアプリです。公式サイトによると、累計インストール数は8,000万を超えています。

公式ヘルプの配布先一覧は、App Store、Google Play(スマホ・タブレット・Chromebook)、Amazonアプリストア、Huaweiのアプリストアです。M搭載のMacでも動くものの、まだ最適化されていないと案内されています。画面は日本語で表示されます。

操作は、パラパラ漫画をめくる感覚に近いものです。フレームを追加し、オニオンスキンで前のコマを透かして見ながら次のコマを描き、タイムラインで並べ替えます。効果音や音楽の追加、自分の動画や画像を下絵にして描く「ロトスコープ」にも対応しています。書き出しはMP4・GIFから選べ、YouTubeやTikTok向けのサイズも用意されています。

無料で使える範囲には制限があります。公式ヘルプの「FlipaClip Plus Explained」では、次の機能が有料のFlipaClip Plusの特典として並んでいます。

  • 動画からFlipaClipのロゴを消す
  • 広告を非表示にする
  • 自分の音声を追加する(無料でも、広告を見ると追加できる場合がある)
  • PNG連番で書き出す
  • キャンバスサイズを自由に指定する(1920×1920まで)
  • レイヤーを最大10枚まで追加する

公式サイトのトップページには「各フレームに、10のレイヤーまで使える」とあり、公式ヘルプはこれをPlusの特典としています。無料版で使えるレイヤーの枚数は、公式ページでは見当たりませんでした。

FlipaClip Plusには7日間の無料体験(1つのApple IDまたはGoogleアカウントにつき1回)があります。一方で、公式ヘルプは原則として返金しないとしています。App Storeのアプリ内課金には500円〜6,000円の項目が並んでいますが、月額と年額の区別が表示されていないため、この記事では金額を書いていません。

  • 機能性◎:オニオンスキン・タイムライン・ロトスコープがそろい、音声付きのMP4で書き出せる。ただしレイヤーはPlusでも最大10枚
  • 使いやすさ◎:画面が日本語で、書き出しのために別のソフトを入れる必要もない
  • コスパ△:無料版は広告が表示され、書き出した動画にロゴの透かしが入る。PNG連番の書き出しなども有料版の機能
  • 拡張性○:iPhone・iPad・Android・Chromebookで使えるが、公式のWindows・Mac向けのパソコン版は配布先一覧に見当たらない
  • 安定性◎:2026年9月にも更新されている。有料機能はサブスクリプションに移行済みだが、公式ヘルプのその案内に2026年の日付は見当たらない

FlipaClip 公式サイトを見る

メリット

  • パラパラ漫画の感覚ですぐに始められる
  • 効果音・音楽・ロトスコープに対応
  • SNS向けのサイズで書き出せる
  • 7日間の無料体験で有料機能を試せる

デメリット

  • 無料だと書き出した動画にロゴが入る
  • 無料版は広告が表示される
  • 有料版は原則として返金されない

こんな人におすすめ

  • スマホでパラパラ漫画を作ってみたい
  • TikTokやYouTubeに短いアニメを投稿したい
  • 描くのはアニメだけでいい

1枚の絵を動かすなら:AnimeEffectsとLive2D Cubism

ここからは、コマを描かずに1枚のイラストを動かす2本です。どちらも、部品ごとにレイヤーを分けたPSDファイルを読み込み、部品を変形させて動きを作ります。5軸の定義と、総合・順位の決め方は前半とまったく同じです。

ツール機能性使いやすさコスパ拡張性安定性総合
AnimeEffects◎○◎○◎◎
Live2D Cubism◎◎△◎◎○

※ 上から順に1位・2位です。Live2D Cubismは無料のFREE版で評価しています。

1位 AnimeEffects(総合◎):◎が3つで△が無いので総合◎です。

2位 Live2D Cubism(総合○):◎は4つありますが、コスパが△なので総合○です。1位との差は総合で、AnimeEffectsには有料版がないのに対し、Live2D CubismのFREE版は部品の数と書き出しサイズに上限があります。一方で、「顔の向き」「口の開閉」のような動きを設定として保存し、組み合わせて使い回せるのはLive2D Cubismです。上限の範囲に収まる作品なら、Live2D Cubismも十分に候補になります。

1. AnimeEffects(PC)|有料版のない、1枚絵を動かすソフト

AnimeEffectsは、hidefuku氏が開発を始め、現在はコミュニティ(AnimeEffectsDevs)が引き継いでいるオープンソースのソフトです。公式サイトは「2Dの画像を簡単に動かせる」アプリと説明しています。GPL-3.0ライセンスで公開されており、有料版はありません。2026年7月にバージョン1.7.1が出ました。

公開されているソースコードと日本語の翻訳ファイルで確認したところ、次のエディタがあり、PSDを読み込んでレイヤーごとに動かします。

  • ボーン・ポーズ(骨組みを入れて動かす)
  • メッシュ・自由変形(形そのものを変える)
  • 移動・回転・拡縮、不透明度

書き出しはGIF・MP4・AVIなどに対応しています。音声付きの書き出しや、背景を透明にしたGIFも選べます。

動画の書き出しにはFFmpegが必要で、本体には同梱されていません。ただし、アプリのメニューから自動でダウンロードして設定する機能があります。

画面の日本語訳は、翻訳ファイルで現在使われている715項目のうち714項目が訳されています。ただ、エクスポートの設定画面に「輸出タイプ」と出るなど、こなれていない訳も一部に残っています。

動作確認されている環境は、README(英語版)によるとWindows 11以降・macOS 15以降・Ubuntuで、OpenGL 4.0以上に対応したグラフィック機能が必要です。日本語のREADMEは、プロジェクト自身が「時代遅れ」と表示しています。

  • 機能性◎:ボーン・メッシュ・自由変形などで1枚の絵を動かし、音声付きの動画で書き出せる
  • 使いやすさ○:画面はほぼ日本語。FFmpegは配布ファイルに入っておらず、動画の書き出しの前に入れる必要がある(アプリから自動で入れられる)
  • コスパ◎:GPL-3.0で公開されており、有料版がない
  • 拡張性○:Windows・Mac・Linuxのパソコン専用
  • 安定性◎:2026年7月に正式版1.7.1が出ており、有料化などの変更も見当たらない

AnimeEffects 公式サイトを見る

メリット

  • 有料版がなく、機能の上限を気にせず作れる
  • PSDを読み込んでレイヤーごとに動かせる
  • 音声付きや透明背景のGIFで書き出せる

デメリット

  • 動画の書き出しにFFmpegが必要
  • 日本語訳にこなれていない箇所がある
  • 動作確認はWindows 11以降・macOS 15以降

こんな人におすすめ

  • 1枚の絵を、お金をかけずに動かしたい
  • 短いGIFアニメを作りたい
  • パソコンの設定を自分で調べて進められる

2. Live2D Cubism(PC)|業界の定番を、無料のFREE版から始められる

Live2D Cubismは株式会社Live2Dが提供するソフトで、公式サイトは「2Dリアルタイム表現における業界スタンダード」として、スマートフォンアプリ・家庭用ゲーム・VTuber・動画などで使われていると紹介しています。Windows・macOS(Apple Silicon・Intel)に対応し、2026年1月にCubism Editor Ver.5.3.00が出ました。

動かし方の中心は「パラメータ」です。公式の説明では、パラメータは「角度X」「口 開閉」のような特定の動きを表す設定のことで、作ったパラメータをタイムライン上で組み合わせてモーションを作ります。読み込んだPSDのレイヤーは、1枚ずつ自動で「アートメッシュ」という変形できる部品になります。作ったモデルは、公式のSDKでUnityなどのゲームやアプリに組み込めるほか、VTuber向けのアプリでも使えます。

無料のFREE版は「ずっと無料」とされていますが、公式の「PRO版とFREE版の機能比較」には、次の上限が書かれています。

項目FREE版PRO版
アートメッシュ100まで制限なし
パラメータ30まで制限なし
デフォーマ50まで制限なし
パーツ30まで制限なし
GIFの書き出し最大1280×720px制限なし
動画の書き出し最大1280×720px9.4MPまで
AAC音声の動画音声にビープ音制限なし

※ 公式の機能比較ページ(2026年9月19日確認)から主な項目を抜き出しました。「9.4MP」は9.4メガピクセルのことで、macOSのみ最大4096×2304pxとも書かれています。

※ FREE版の制限を超えると保存できなくなると、公式は案内しています。アートメッシュの数は、基本的にPSDのレイヤー数と同じです。

※ FREE版の動画の書き出しには、ロゴの表示が推奨されています。ビープ音が入るのはX(旧Twitter)向けのAAC音声で書き出した場合で、公式マニュアルによるとFREE版でもMP3などの音声なら書き出せます。

商用利用にも条件があります。FREE版を商用・営利目的で使えるのは、公式の表記で「一般ユーザーおよび小規模事業者(年間売上1000万円未満)」です。レイヤーが100枚を超える作り込んだモデルや、1280×720pxより大きな動画を作りたくなったら、PRO版を検討することになります。

  • 機能性◎:アートメッシュ・デフォーマで1枚の絵を変形させ、音声付きの動画で書き出せる。「角度X」「口 開閉」のような動きをパラメータとして保存し、組み合わせてモーションを作る
  • 使いやすさ◎:画面が日本語で、動画も追加のソフトなしで書き出せる
  • コスパ△:FREE版は部品の数に上限があり、超えると保存できない。書き出しは最大1280×720px
  • 拡張性◎:SDKでゲームやアプリに組み込め、VTuber向けのアプリでも使える
  • 安定性◎:2026年1月にVer.5.3.00が出ており、2026年中に無料の機能を有料へ移したという案内も見当たらない

PRO版には42日間の無料トライアルがあります。価格(個人・年間売上1,000万円未満の事業者向け、税込み)は公式ストアで次のとおりです。

  • 年間プラン:1年目15,708円、2年目12,936円、3年目以降11,748円(年額)
  • 単月プラン:月2,288円
  • 3年間プラン:3年で40,392円

年間プランは最短の契約期間が1年で、契約後1年間は解約できません。また公式ストアには、商品の性質上、返品は受け付けないと書かれています。まず無料のFREE版とPRO版のトライアルで、上限と操作を確かめてから選んでください。

Live2D Cubism 公式サイトを見る

メリット

  • 動きをパラメータとして保存し、組み合わせられる
  • FREE版は期限なく無料で使える
  • 作ったモデルをゲームやVTuberアプリで使える
  • PRO版は42日間の無料トライアルで試せる

デメリット

  • FREE版は部品の数に上限があり、超えると保存できない
  • FREE版の書き出しは最大1280×720px
  • PRO版の年間プランは1年間解約できず、返品も不可

こんな人におすすめ

  • 自分のイラストでVTuberの立ち絵を作りたい
  • 描いたキャラクターを細かく動かしたい
  • 業界で使われている作り方を覚えたい

番外編:無料で物足りなくなったら、CLIP STUDIO PAINT

コマを描くアニメを続けていくと、無料のソフトでは届かない部分が出てきます。有料で選ぶなら、株式会社セルシスのCLIP STUDIO PAINTが候補です。公式サイトには、東映アニメーションや日本アニメーションがデジタル作画に導入した事例が紹介されています。

気をつけたいのはグレードです。公式のグレード比較では、アニメーション用途の評価がEXは◎、PROは○で、「プロ向けアニメーション制作機能」はEXだけに付いています。PROでもアニメは作れますが、本格的に作るならEXを選ぶことになります。

価格は、買い切りの無期限版(ダウンロード版)がPRO 6,900円・EX 28,900円(税込み)です。月額プランは、公式のラインナップ表でPRO 480円・EX 980円と案内されています。無料体験があるので、まずは体験版でアニメーションの機能を確かめてから選べます。

CLIP STUDIO PAINT 公式サイトを見る

候補から外したソフトと理由

  • Blender:無料の3DCGソフトで、公式サイトは「Grease Pencil」を使えば伝統的な2Dアニメーションや切り絵アニメーションも作れると紹介しています。ただ、本体は3DCGを作るためのソフトで、2Dのアニメを始める人が最初に覚える量としては多いため、今回は外しました
  • Tahoma2D:OpenToonzと同じ「Toonz Studio」を元にした無料のアニメーションソフトで、2026年9月にも更新されています。元が同じOpenToonzを紹介したため、今回は外しました
  • ブラウザで作るサービス:インストールせずに使えるものもありますが、今回はパソコンのソフトとスマホのアプリに絞りました

目的別:アニメーション作りはどれを選ぶか

目的 おすすめ 理由
PCでイラストも描いて動かす Krita 描画とアニメが1本でそろう
無料のまま本格的に作る OpenToonz プロの工程と同じ考え方で作れる
アニメだけを軽く始める Pencil2D 画面が簡素ですぐ描ける
スマホで描く アイビスペイントX スマホでも本格的に描ける
スマホでパラパラ漫画を作る FlipaClip アニメ専用の画面で始めやすい
1枚の絵を無料だけで動かす AnimeEffects 有料版がない
1枚の絵を細かく動かす Live2D Cubism 動きをパラメータで組み合わせられる
有料でもプロ向けの機能がほしい CLIP STUDIO PAINT EX プロ向けのアニメ機能が付く

よくある質問

Q. 完全に無料で、透かしなしのアニメーションを作れますか?

作れます。Krita・OpenToonz・Pencil2D・AnimeEffectsは、機能を解放する有料版がないソフトです。スマホのアイビスペイントXとFlipaClipは、無料のまま書き出すと動画に透かしが入るので、透かしなしにするにはそれぞれの有料プランが必要です。

Q. スマホだけでアニメーションを作れますか?

作れます。アイビスペイントXとFlipaClipは、iPhone・Androidのアプリでコマを描いて動画に書き出せます。どちらも、透かしなしで書き出すには有料プランが必要です。Androidのタブレットを持っているなら、Kritaのベータ版という選択肢もあります。

Q. 作ったアニメーションに音楽を付けられますか?

ソフトによって違います。OpenToonzとPencil2Dは、読み込んだ音声を合成して動画に書き出せます。アイビスペイントXは動画モードで音声を付けられますが、プレミアム会員の機能です。FlipaClipは、自分の音声の追加がFlipaClip Plusの機能です。Kritaも音声を含めて書き出せますが、音楽に細かく合わせるなら、書き出した映像を動画編集ソフトで仕上げてください。スマホで仕上げるならスマホ動画編集アプリで比べています。

Q. Live2DのFREE版で作った動画をYouTubeに載せてもいいですか?

公式の条件では、FREE版を商用・営利目的で使えるのは「一般ユーザーおよび小規模事業者(年間売上1000万円未満)」です。この範囲なら使えます。書き出しの上限は、前述の表のとおりです。

Q. アニメーションを作るのに、ペンタブレットは必要ですか?

なくても始められます。スマホやタブレットなら指やタッチペンで描けますし、パソコンでもマウスで描けます。ただ、何十枚も絵を描くコマのアニメは線を引く回数が多いので、続けてみて描きにくさを感じたら検討してください。1枚の絵を動かすAnimeEffectsやLive2D Cubismは、描いたイラストを読み込んで動かすソフトなので、動かす作業はマウスでもできます。

まとめ:まず「コマを描くか、1枚の絵を動かすか」を決める

アニメーションの無料ソフトは、作り方で2つに分かれます。

  • パソコンで迷ったら:イラストとアニメが1本でそろう Krita
  • 無料のまま本格的に:ジブリの現場で育ったToonzが元の OpenToonz
  • アニメだけを軽く:画面が簡素な Pencil2D
  • スマホで描きたい:本格的な描画機能を持つ アイビスペイントX(透かしを消すのは有料)
  • 1枚の絵を動かしたい:無料だけなら AnimeEffects、作り込むなら Live2D Cubism

無料のまま書き出したときに透かしが入るかどうかは、ソフトによって違います。作品をSNSに載せるつもりなら、最初の数コマで一度書き出して、仕上がりを確かめてから描き進めてください。

※ 本記事の価格・機能は、2026年9月19日時点の各公式サイト・公式ヘルプ・App Storeの記載に基づきます。最新の情報は各公式サイトでご確認ください。