工程表をExcelで作り始めて、セルを塗り、日付をずらし、また塗り直す。1回目はなんとかなっても、開始日が3日ずれた瞬間に全部やり直しになる——ガントチャートを「無料で」探し始める理由は、たいていこれです。
やっかいなのは、検索して出てくる「無料のガントチャートツール」の一覧が、実際にはもう無料で使えないものを含んでいることです。無料プランが廃止されたもの、ガントチャート機能だけが有料プランに置かれているもの、サービス自体の終了が公式に告知されているものが、いまも「無料」の見出しの下に並んでいます。
この記事では、2026年9月13日時点で各公式サイトを直接確認したうえで、ガントチャート無料ツールとして使える5本と、すでに持っている人だけが最短で使えるExcelの計6本を、機能性・使いやすさ・コスパ・拡張性・安定性の5軸で比較しました。あわせて、名前はよく挙がるのに今は無料で使えない4本も、根拠つきで分けています。
結論(先に知りたい人向け)
- 数人で共有しながら日本語で作るなら、5人まで無料のBrabio!
- 1人で本格的な工程表を引くなら、インストール型で完全無料のGanttProject
- Microsoft Projectの用語のまま編集を続けたいならProjectLibre
- 表計算のままでいいなら、共有重視はGoogleスプレッドシート、手元で完結させるならExcel
「無料のガントチャート」は3種類に分かれる
ガントチャートを無料で作る手段は、性格の違う3つに分かれます。ここを最初に分けておくと、比較表が読みやすくなります。
1. 専用ツール(Brabio! / GanttProject / ProjectLibre)
タスクの依存関係、進捗率、マイルストーンといった工程管理の概念が最初から組み込まれています。開始日を動かすと後続のタスクも一緒に動くので、計画が変わる前提の仕事ならこれが最短です。
2. 表計算で作る(Googleスプレッドシート / Excel)
条件付き書式や積み上げ横棒グラフで、自分でガントチャート風の図を作ります。自動計算はしてくれませんが、社内で共有しやすく、誰でも編集できるのが強みです。
3. 作図ツールで見せる(Canva)
工程を管理するのではなく、提出資料や掲示物として見せるための図を作ります。進捗管理には向きませんが、印刷やPDF提出が目的ならいちばん早く仕上がります。
「自分がやりたいのは管理か、共有か、見せることか」。この1問で候補は半分に絞れます。
無料ガントチャートツール6本の早見表
| ツール | 形態 | 無料の範囲 | 日本語 | 依存関係 | おすすめ度 |
|---|---|---|---|---|---|
| Brabio! | クラウド | 5人・PJ無制限 | ◎ | ○ | ★★★★★ |
| GanttProject | ソフト | 人数制限なし | ○ | ◎ | ★★★★☆ |
| ProjectLibre | ソフト | 人数制限なし | △ | ◎ | ★★★☆☆ |
| Googleスプレッドシート | クラウド | 無料 | ◎ | 自作 | ★★★☆☆ |
| Excel | ソフト | 有料(Office必須) | ◎ | 自作 | ★★★☆☆ |
| Canva | クラウド | 無料 | ◎ | 自作 | ★★★☆☆ |
※ 2026年9月13日時点で、各公式サイトの料金ページ・機能ページを直接確認した内容です。
見慣れない列が3つあるので、先に補足します。
- 無料の範囲:Brabio!の無料プランは5ユーザーまでで、作れるプロジェクト数に上限はありません(ストレージは50MBまで)。GanttProjectとProjectLibreは自分のPCで動く無料ソフトなので、そもそも人数という概念がありません。Excelだけは、ソフト自体を買うか契約する必要があります
- 日本語:Brabio!・Googleスプレッドシート・Excel・Canvaは公式サイトから画面まで日本語です。GanttProjectは配布物に日本語の表示ファイルが同梱されている一方で公式サイトは英語、ProjectLibreは公式の案内が「31言語対応」とあるだけで日本語版の明記がなく、サイトもドキュメントも英語です
- 依存関係:「このタスクが終わってから次を始める」という線を引けるか。「自作」は、数式・条件付き書式・図形などで自分で表現する必要があるという意味です
- おすすめ度:★5=総合◎の1位、★4=総合◎、★3=総合○に対応します
評価の見方:5軸を「工程を引く」用途に置き換える
ガントチャートツールは、単体で完結するソフトとチームで使うサービスが混ざります。そこで5軸は、工程表を引く仕事に合わせて次のように解釈しています。
- 機能性:依存関係・進捗率・マイルストーン・クリティカルパスなど、工程管理の道具がどこまで揃っているか
- 使いやすさ:日本語で完結するか、最初の1枚が出るまでの手数、学習コスト
- コスパ:無料のままできる範囲の広さと、超えたときの有料プランの入り口価格
- 拡張性:Excel・PDF・Microsoft Projectなど外部形式への書き出しと読み込み、共有のしやすさ
- 安定性:提供元の継続性、更新の頻度、無料プランの縮小や終了の告知がないか
総合評価の付け方も先に宣言します。
- 5軸に△が1つも無く、◎が2つ以上あるもの → 総合◎
- △が1〜2個、または△が無くても◎が1つ以下のもの → 総合○
- △が3個以上のもの → 総合△
並び順は、総合◎の中では「最初の1枚が出るまでが早い順」、総合○の中では「機能性→拡張性→コスパ」の順で決めています。
総合評価:無料のまま工程を回せる範囲で並べた順位
| ツール | 機能性 | 使いやすさ | コスパ | 拡張性 | 安定性 | 総合 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| Brabio! | ○ | ◎ | ◎ | ○ | ◎ | ◎ |
| GanttProject | ◎ | ○ | ◎ | ◎ | ○ | ◎ |
| ProjectLibre | ◎ | △ | ◎ | ○ | ○ | ○ |
| Googleスプレッドシート | △ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ○ |
| Excel | △ | ○ | △ | ◎ | ◎ | ○ |
| Canva | △ | ◎ | ◎ | ○ | ◎ | ○ |
※ 並びはそのまま順位です(上から1位〜6位)。
1位 Brabio!(総合◎):△が1つも無く◎が3つ(使いやすさ・コスパ・安定性)で総合◎。◎の理由は、メールアドレスだけで登録できて画面もヘルプもすべて日本語であること、5ユーザーまで無料でプロジェクト数に上限がないこと、そして2009年設立で代表・取締役ともグループウェアの開発と製品管理の経歴が会社概要に明記されていることです。機能性○・拡張性○にとどめたのは、クリティカルパスの自動表示と外部連携APIについて公式ページで記載を確認できなかったためです。6本でいちばん早く1枚目が出せるので1位に置きました。
2位 GanttProject(総合◎):△が無く◎が3つ(機能性・コスパ・拡張性)で総合◎。◎の理由は、工程管理の道具を有料版に隠していないこと、そしてMicrosoft Projectのファイルまで無料で読み込めることです。使いやすさ○・安定性○は、公式サイトが英語でインストールというひと手間が要る点と、安定版3.3から次のメジャー版まで2年以上空いている点を反映しました。1枚目までにインストールが挟まる分、Brabio!の次です。
3位 ProjectLibre(総合○):ガントチャート・依存関係・カレンダー・ベースライン・制約条件・マイルストーン・クリティカルパス・WBSまでデスクトップ版の公式ページが明記しており、機能性◎はMicrosoft Projectの置き換えを狙った設計そのものです。デスクトップ版は「無料・オープンソース・サブスクなし」と公式に書かれておりコスパ◎。使いやすさ△は、公式サイトもドキュメントも英語で日本語版の明記がないこと、そして用語がプロジェクトマネジメントの専門語彙で揃っていて予備知識なしには扱いにくいことによります。拡張性○・安定性○の理由は詳細のH3で書きます。△1つで総合○、その中では機能性◎なので先頭です。
4位 Googleスプレッドシート(総合○):無料のGoogleアカウントだけで使え、URLを送るだけで同時編集ができるので使いやすさ◎・コスパ◎。Excel形式やPDFへの書き出し、スマホからの閲覧まで一通りそろうので拡張性◎、提供元と更新の面でも安定性◎です。機能性△は、依存関係もクリティカルパスも自動では計算されず、自分で組み立てる必要があるためです。総合○の中では、機能性が△である分ProjectLibreの下になります。
5位 Excel(総合○):社内での配布・印刷・改変のしやすさは6本で最上位なので拡張性◎、長年の実績という意味で安定性◎。ただし機能性はGoogleスプレッドシートと同じく自作前提で△、そしてExcel自体が有料なので、無料で探している人にとってはコスパ△です。△が2つで総合○。Googleスプレッドシートとは機能性△・拡張性◎まで並ぶため、コスパの差で下に置きました。
6位 Canva(総合○):公式に「無料オンラインガントチャート」のページとテンプレートが用意されていて、日本語のまま数分で見栄えのする図が作れます(使いやすさ◎・コスパ◎・安定性◎)。ただしこれは工程を管理する道具ではなく、工程を見せる道具です。日付を動かしても図は計算されないので機能性△、書き出しはPDFと画像が中心なので拡張性○。△1つで総合○ですが、並び順のルール(機能性→拡張性→コスパ)では拡張性が○にとどまるため最後になります。
無料の範囲でどこまで引けるか:機能の対応表
| ツール | 依存関係 | 進捗率 | クリティカルパス | 書き出し |
|---|---|---|---|---|
| Brabio! | ○ | ○ | — | Excel・CSV |
| GanttProject | ◎ | ◎ | ◎ | PDF・HTML・CSV・Excel |
| ProjectLibre | ◎ | — | ◎ | — |
| Googleスプレッドシート | 自作 | 自作 | × | Excel・PDF |
| Excel | 自作 | 自作 | × | Excel・PDF・CSV |
| Canva | 自作 | × | × | PDF・画像 |
※ 「—」は、その機能について公式ページで記載を確認できなかったものです。「×」は仕組みとして持っていないもの、「自作」は数式・条件付き書式・図形などで自分で表現するものを指します。
※ GanttProjectの評価は、配布パッケージに含まれる表示ファイルに「クリティカルパス」「タスクの依存関係」「進捗度」「ベースライン」「マイルストーン」「祝日カレンダー」の各項目が実在することを確認したうえで付けています。
※ ProjectLibreのクリティカルパス・ベースライン・WBSはデスクトップ版の公式ページに明記されています。リソース平準化やアーンドバリューは公式サイト上では有料のCloud側の機能として案内されているため、無料のデスクトップ版としては数えていません。
※ Canvaの「自作」は、矢印や図形で依存関係を描けるという意味です(日付を動かしても計算はされません)。
並べてみると、境目は1本だけです。開始日が動くたびに後ろのタスクを手で直したくないなら、依存関係が◎のGanttProject・ProjectLibreか、○のBrabio!から選ぶことになります。逆に、決まった予定を関係者に見せるだけなら、表計算やCanvaのほうが早く終わります。
出口も先に決めておくと迷いません。紙やPDFで配ることが決まっているならPDF出力を持つGanttProject・Googleスプレッドシート・Excel・Canva、あるいは印刷用画面を持つBrabio!。Excel形式で相手に編集してもらう前提なら、Excelそのもののほか、Excel形式で書き出せるBrabio!・GanttProject・Googleスプレッドシートが候補になります。
6本を1つずつ確かめる
1. Brabio!|5人まで無料、日本語で完結する国産クラウド
Brabio!(ブラビオ)は、2009年設立のブラビオ株式会社が提供しているクラウド型のプロジェクト管理サービスです。無料プランは5ユーザーまで・プロジェクト数は無制限で、公式の料金ページにもそのとおり記載されています。登録に必要なのはメールアドレスだけで、GoogleアカウントやMicrosoftアカウントでのログインにも対応しています。
工程管理の道具は一通り揃っていました。タスク同士をリンクして依存関係を持たせられ、進捗率(達成率)を入力でき、マイルストーンも置けます。ガントチャート表示に加えてカレンダー表示・〆切カレンダー・印刷用画面があるのは、会議に紙を持ち込む現場では実用的です。誰がどのプロジェクトでいつ忙しいのかを一覧する「担当状況ビュー」や、複数プロジェクトをまたいで見る横断ビューも無料の範囲にあります。
外部とのやり取りでは、ガントチャートをExcelシートに書き出す機能が用意されていて、複数プロジェクトを1枚のシートにまとめて出力することもできます。クライアントへの報告書がExcelで求められる仕事なら、この一手間が省けます。
注意したいのは容量です。無料プランのストレージは50MBまでで、トップページで案内されている1GBはエントリープラン以上の数字です。タスクに資料を添付していく使い方だと、思ったより早く上限に届きます。IPアドレス制限(ホワイトリスト)も有償プランのみの機能です。有料に上がる場合、公式の表記は1ユーザーあたり300円(税込)。実際のプラン表では10ユーザーまでの「プラン10」が月3,300円(税込)で、年間一括払いなら10%引きになります。
メリット
- 5ユーザーまで無料で、プロジェクト数は無制限
- 登録はメールアドレスだけ、画面もヘルプも日本語
- ガントチャートをExcelシートに書き出せる
- 印刷用画面・カレンダー表示など見せ方の選択肢が多い
デメリット
- 無料プランのストレージは50MBまで
- クリティカルパスの自動表示は公式ページで確認できない
- 外部サービス連携API(公式の案内は見当たらず)
- IPアドレス制限は有償プランのみ
こんな人におすすめ
- 2〜5人のチームで工程を共有したい
- インストールなしで今日から始めたい
- 報告用にExcelへ書き出す前提がある
2. GanttProject|Windows・Mac対応、機能を出し惜しみしない
GanttProjectは2003年から開発が続いているオープンソースのデスクトップソフトです。Windows・macOS・Linuxで動き、データは自分のPCに置かれます。公式サイトは「クラウド依存なし、サブスクリプションなし」と明記していて、建設・建築・エンジニアリング・製薬・メディア制作、それに教育用途を想定した位置づけになっています。
無料ソフトにありがちな「肝心の機能は有料版で」がないのが特徴です。配布パッケージの中身を確認したところ、依存関係・クリティカルパス・進捗度・マイルストーン・ベースライン・リソース管理・祝日カレンダー・週末の設定といった項目がすべて日本語の表示ファイルに含まれていました。工程表を作るうえで必要になるものは、ひととおり無料の側にあります。
日本語表示についても具体的に確認できます。配布物には日本語の表示ファイルが同梱されており、基準となる項目903件に対して818件、およそ9割が日本語化されています。「ガントチャート」「クリティカルパス」「タスクの依存関係」「印刷プレビュー」といった日常的に触る部分は日本語ですが、1割強は英語のまま残る計算です。日本の祝日を設定して工程を引けるのは、国内の仕事では地味に効きます。
外部形式にも強く、PDF・HTML・PNG/JPEG・CSV/Excel(.xls)での書き出しに加えて、Microsoft Projectのファイルを読み込むプラグインが標準で同梱されています。読み込める拡張子は.mpp・.mpx・.xmlで、書き出しはMSPDI(MS Project XML)が基本です。「.mppで受け取ったが開くソフトがない」という場面を、無料のまま解決できます。
弱点は更新の間隔です。安定版の3.3が公開されたのは2024年1月(最終更新は2025年1月)で、次の3.4は2026年8月に公開されたベータの段階です。急いで新機能が増えるタイプではないと考えておくのが無難です。
メリット
- クリティカルパスやベースラインまで無料で使える
- Microsoft Projectのファイル(.mpp)を読み込める
- PDF・HTML・画像・CSV・Excel(.xls)に書き出せる
- 日本の祝日カレンダーを設定できる
デメリット
- 公式サイトとドキュメントは英語
- 日本語表示は約9割で、一部は英語のまま
- 安定版の更新間隔が長い(3.3は2024年1月公開)
- チームでの同時編集は標準では想定されていない(別途、従量課金のGanttProject Cloudが公式に用意されています)
こんな人におすすめ
- 1人で工程を引いて、PDFや画像で配りたい
- 送られてきた.mppの中身を開いて確認したい
- クラウドにデータを置きたくない
3. ProjectLibre|Microsoft Projectの用語のまま乗り換える
ProjectLibreは、Microsoft Projectの置き換えを正面から狙っているオープンソースのデスクトップソフトです。公式のデスクトップ版ページは「Free & Open Source」「サブスクリプションなし」と明記しており、Windows・macOS・Linuxで動きます。累計900万ダウンロード超、193カ国、31言語という規模も同ページに掲げられています。
機能の並びがそのままMicrosoft Projectです。ガントチャート、依存関係、カレンダー、ベースライン、制約条件、マイルストーン、クリティカルパス、WBS。普段からMicrosoft Projectを使っている人なら、用語を覚え直す必要がありません。リソースについては「単一プロジェクト内での担当・単価・コスト・稼働の割り当て」までがデスクトップ版の公式の記載範囲で、リソース平準化やポートフォリオ管理は有料のCloud側の機能として整理されています。
互換性は、公式が挙げているのが.mpp(Microsoft Projectファイル)とPrimavera P6で、「その他の対応ファイル形式もインポート可」と添えられています。既存の資産を持ち込みやすいのが強みで、最新のデスクトップ版は1.9.8、2025年4月に公開されています。
一方で、初めてガントチャートを作る人には勧めにくいツールでもあります。公式サイトもドキュメントも英語で、日本語版があるかどうかは「31言語」という記載以上のことが確認できません。用語もプロジェクトマネジメントの専門語彙で統一されているため、Excelで工程表を塗っていた人が最初に開くと戸惑います。書き出せる形式の一覧も公式ページには整理されていません。
もう1点、公式サイトの導線がほぼ有料のProjectLibre Cloudに向いていることも押さえておきたいところです。デスクトップ版は「個人のプロジェクトマネージャー向け」と位置づけられ、チームで使うならCloudへ、という案内になっています。無料で使い続けること自体は妨げられていませんが、開発の重心はクラウド側にあります。
メリット
- Microsoft Projectとほぼ同じ用語・同じ考え方で使える
- .mppとPrimavera P6のファイルを読み込める
- クリティカルパス・ベースライン・WBSまで無料
- デスクトップ版はサブスクリプション不要
デメリット
- 公式サイト・ドキュメントが英語で日本語版の明記がない
- 専門用語が前提で、初めての人には学習コストが高い
- 書き出し形式が公式ページに整理されていない
- リソース平準化などは有料のCloud側の機能
こんな人におすすめ
- Microsoft Projectの用語をそのまま使い続けたい
- 受け取った.mppを編集して返す仕事がある
- 英語の画面に抵抗がない
4. Googleスプレッドシート|共有と同時編集がいちばん軽い
Googleスプレッドシートは、無料のGoogleアカウントがあればそれだけで使えます。ガントチャート専用の機能はありませんが、開始日・日数・進捗の列を作って条件付き書式でバーを描くか、積み上げ横棒グラフを使うかの2通りで、工程表として十分に読める図が作れます。条件付き書式もグラフの追加も、Googleの公式ヘルプに手順が用意されています。
このツールの価値は、作った後にあります。URLを送るだけで相手が開けて、同時に編集でき、誰がいつ何を変えたかも残ります。工程表を「1人で作って配る」のではなく「関係者で更新し続ける」使い方をするなら、専用ツールを導入するより摩擦が小さく済みます。スマホからの確認も、アプリを入れるだけで完結します。
限界もはっきりしています。タスクの依存関係は自動では計算されないので、開始日が3日ずれたときは自分で全部ずらすことになります。クリティカルパスのような概念もありません。工程が頻繁に動く現場では、この手作業がそのまま負担になります。逆に、月に1〜2回しか更新しない計画表なら、これで足ります。
Excelとの使い分けが気になる場合は、ExcelとGoogleスプレッドシートの違いで関数や共同編集の差を整理しています。
メリット
- 無料のGoogleアカウントだけで使える
- URLを送るだけで共有・同時編集できる
- Excel形式・PDFに書き出せる
- 変更履歴が自動で残る
デメリット
- 依存関係もクリティカルパスも自動計算されない
- ガントチャート専用の機能ではないので初回の組み立てに手間がかかる
- 行数が増えると印刷レイアウトの調整が面倒
- スマホの画面では横に長い図が読みにくい
こんな人におすすめ
- 関係者と工程表を共同で更新したい
- アカウント追加や導入申請なしで始めたい
- 更新頻度が月に数回まで
5. Excel|手元にあるなら、公式手順が最短
Excelでのガントチャートは、Microsoftの公式サポートに「Excel でデータをガント チャートで表示する」という手順が用意されています。方法は積み上げ横棒グラフの応用で、開始日の系列を塗りつぶしなしにして、期間の系列だけを残すという作り方です。Excel for Microsoft 365、Excel 2024・2021・2019・2016、Mac版が対象として案内されています。同じページから無料のガントチャートテンプレートも案内されているので、グラフ設定が面倒なら最初からテンプレートを開くほうが早く終わります。
強みは、社内での通りのよさです。工程表をExcelで受け取り、Excelで返すことが決まっている職場は今も多く、印刷レイアウトの調整も慣れた操作で済みます。関数で日数を自動計算し、条件付き書式で遅延を赤くするといった作り込みも、テンプレートとして翌年に引き継げます。
弱点は2つです。1つは、Googleスプレッドシートと同じく依存関係やクリティカルパスがないこと。もう1つは、「無料でガントチャートを作りたい」という前提とExcel自体が有料であることが噛み合わない点です。Microsoft 365にせよ買い切り版にせよ、Excelを新しく買うくらいなら、この記事の1位・2位のツールを入れたほうが安く早く済みます。すでに持っている人だけの選択肢と考えるのが妥当です。
Excelを持っていない場合は、Excelの代わりになる無料ソフトにLibreOffice Calcなどの無料の表計算をまとめています。買い切り版とサブスクの損得はOfficeの買い切りとMicrosoft 365の比較が参考になります。
メリット
- Microsoft公式に作成手順と無料テンプレートがある
- 社内での受け渡し・印刷の相性がよい
- 関数と条件付き書式で自由に作り込める
- 作ったファイルはテンプレートとして使い回せる
デメリット
- Excel自体が有料で、無料で始められない
- 依存関係もクリティカルパスもない
- グラフの設定手順がやや長い
- 同時編集はOneDriveなどを経由する必要がある
こんな人におすすめ
- すでにExcelを持っている
- 提出先がExcelファイルを求めてくる
- 印刷して配る前提の工程表を作る
6. Canva|管理ではなく「見せる」ためのガントチャート
Canvaには「無料オンラインガントチャート」として、ガントチャート用のテンプレートとホワイトボード機能が用意されています。日本語で使え、テンプレートを選んで文字と期間を差し替えるだけなので、提出資料や掲示物としての工程表なら数分で仕上がります。
向いているのは、学校のプロジェクト計画、イベントの進行表、企画書に載せるスケジュール図といった用途です。配色やフォントを整えた状態から始められるので、Excelで一から作った図より見栄えがします。PNG・JPG・PDFで書き出せるため、そのまま資料に貼り込めます。
一方で、これは工程管理ツールではありません。矢印や図形で依存関係を「描く」ことはできますが、日付を動かしても計算はされず、進捗率を持つこともできません。作った後に更新し続けるか、1回きりで完成させるかが、Canvaを選ぶかどうかの分かれ目になります。
Canvaそのものの無料枠や代わりの選択肢は、Canvaの代わりになる無料デザインツールで整理しています。
メリット
- テンプレートを選ぶだけで見栄えのする図になる
- 日本語で完結し、学習コストがほぼない
- PNG・JPG・PDFで書き出して資料に貼れる
- 複数人で同じ図を編集できる
デメリット
- 工程管理の記録としては残らない(日付を動かしても計算されない)
- タスク数が増えるとレイアウト調整が手作業になる
- 凝ったテンプレートや素材には有料プラン向けのものがある
こんな人におすすめ
- 企画書や掲示物に載せる工程図を作りたい
- 更新は前提にしていない
- 見た目の整った図を短時間で用意したい
番外:名前は挙がるが、いまは候補にしにくい4本
「ガントチャート 無料」で名前をよく見るのに、公式情報を確認すると条件が変わっていたものを、根拠つきで分けておきます。
Jooto:公式サイトのお知らせに「Jootoは、2027年7月31日をもちまして、一般提供を終了します」と掲示されており、他サービスへのデータ移行を支援する専用ページも公開されています。無料プランは現在1ユーザー・1組織あたり100MB・1ファイル10MBまでで、これから工程表を作り始める先としては選べません。
Backlog:フリープランは最大10ユーザー・1プロジェクトまで使えますが、ガントチャートはスタンダードプラン(月16,000円・税抜)以上の機能として料金表に置かれています。その下のスタータープラン(月2,700円・税抜)にも含まれていません。さらに2027年1月1日のプラン改定で、フリープランのユーザー上限は10名から5名に変わることが公式に告知されています。なお現行プランは2026年12月31日で新規契約が終了し、2027年1月1日からはエコノミー(月21,000円・税抜)以上の3プラン体系に切り替わります。
TeamGantt:料金ページに無料プランの記載がなく、14日間の無料トライアルと、月24ドルからのBasicプランという構成です。かつての無料プランを前提にした紹介が残っていますが、いま新規に無料で使い始めることはできません。
Lychee Redmine:国産のプロジェクト管理ツールですが、2026年9月13日時点で公式サイトがサーバー障害の告知(最終更新2026年9月8日)のみを表示しており、プラン内容も無料枠の有無も確認できませんでした。一次情報が取れないため、この記事では評価の対象から外しています。
5人を超えるチームで工程表を共有したくなったときの現実的な入り口は、Brabio!の有料プラン(10ユーザーまでの「プラン10」で月3,300円・税込)です。課題管理やバージョン管理まで含めて一本化したいならBacklogのスタンダード以上になりますが、価格帯が一桁変わります。「ガントチャートだけが欲しい」のか「開発管理も含めたいのか」で、検討する棚が変わります。
無料テンプレートをダウンロードして作る場合の注意点
「ガントチャートのテンプレートを無料でダウンロードしたい」という探し方をする人も多いはずです。この記事の6本のうち、配布元がはっきりしているテンプレートを持っているのは、Microsoftの公式サポート経由のExcelテンプレート、Canvaのテンプレート、そしてGanttProjectに同梱されているサンプルです。
一方で、検索上位に出てくる出所のわからない配布サイトからxlsxを落とすのは避けてください。マクロ付きのブックが混ざっていることがあり、会社のPCでは開けないこともあります。ダウンロードする前に、配布元が製品の公式サイトかどうかを1回確認するだけで、ほとんどの事故は防げます。
そしてテンプレートは「1回きりの提出物」には最短ですが、日付が動く計画では結局作り直しになります。更新が前提の工程表なら、テンプレートを探すより1位・2位のツールを入れたほうが早く終わります。
用途別おすすめ:無料ガントチャートはどれを選ぶか
| やりたいこと | 選ぶもの | 理由 |
|---|---|---|
| 2〜5人で工程を共有したい | Brabio! | 5人まで無料でプロジェクト数も無制限 |
| 1人で本格的な工程表を引きたい | GanttProject | クリティカルパスまで無料、PDFで配れる |
| .mppを編集して返したい | ProjectLibre | Microsoft Projectと同じ用語で扱える |
| 関係者と共同で更新したい | Googleスプレッドシート | URL共有と同時編集がいちばん軽い |
| Excelで提出することが決まっている | Excel | 公式手順とテンプレートがある |
| 企画書や掲示物に載せたい | Canva | テンプレートで見栄えのする図が最短で作れる |
迷ったときの基準はシンプルです。日付が動く前提の計画なら専用ツール、動かない計画なら表計算か作図ツール。この線引きを最初に決めると、ツール選びで消耗しません。
無料でガントチャートを作るときにつまずく3つのこと
1. 「無料プラン」と「無料トライアル」を読み分ける
料金ページに「Free」と大きく出ていても、中身が14日間のトライアルということがあります。TeamGanttがその例です。確認するポイントは、料金表にゼロ円の列が独立してあるかどうか。トライアルの場合は「◯日間無料」「クレジットカード不要」といった但し書きが必ず添えられています。
2. ガントチャート機能だけが上位プランにあることがある
Backlogのように、サービス自体は無料で使えてもガントチャートだけ有料プランに置かれている設計は珍しくありません。プラン比較表で「ガントチャート」の行がどのプランから始まっているかを、登録前に必ず見てください。無料プランの列そのものが比較表に載っていないケースもあります。あわせて、無料枠の人数は後から縮むことがあります(→番外のBacklogを参照)。工程表は年単位で使うものなので、改定の告知が出ていないかも見ておくと、途中で移行する手間を避けられます。
3. 出口(PDF・印刷・Excel)を先に確認する
工程表は最終的に誰かに渡します。相手がPDFで受け取りたいのか、Excelで編集したいのか、.mppで管理しているのかによって、選ぶべきツールは変わります。先に出口を決めてから入口を選ぶと、作り直しが減ります。
よくある質問
Q. 完全に無料で、ずっと使えるガントチャートツールはどれですか?
インストール型のGanttProjectとProjectLibreは、機能制限も期限もなく無料です(どちらもオープンソース)。クラウドで使いたい場合は、Brabio!の無料プランが5ユーザー・プロジェクト数無制限で、期限の定めもありません。ただしBrabio!の無料プランはストレージが50MBまでなので、添付ファイルを多用する使い方には向きません。
Q. エクセル(Excel)やスプレッドシートで作るのと、専用ツールは何が違いますか?
いちばんの違いは、日付を動かしたときに後続のタスクが自動で動くかどうかです。専用ツールはタスク同士に依存関係を設定できるので、着手が3日遅れたときに影響範囲がそのまま図に反映されます。表計算では手作業でずらすことになります。更新の頻度が高い計画ほど、この差が効いてきます。
Q. Microsoft Projectのファイル(.mpp)を無料で開けますか?
GanttProjectとProjectLibreの両方で読み込めます。中身を開いて確認するだけならGanttProjectが手軽で、標準でMicrosoft Projectの入出力プラグインが同梱されており、.mpp・.mpx・.xmlを読み込めます(書き出しはMSPDIというXML形式)。Microsoft Projectの用語のまま編集して返す仕事なら、ProjectLibreのほうが違和感が少ないはずです。
Q. ProjectLibreは日本語で使えますか?
公式が案内しているのは「31言語対応」という表記のみで、日本語版があるかどうかは公式サイトからは確認できませんでした(サイトもドキュメントも英語です)。日本語で確実に使いたいなら、配布物に日本語の表示ファイルが同梱されているGanttProject(約9割が日本語化)か、画面もヘルプも日本語のBrabio!を選ぶほうが確実です。
Q. スマホアプリだけでガントチャートを作れますか?
クラウド型のBrabio!・Googleスプレッドシート・Canvaはブラウザやアプリから操作できます。ただし工程表は横に長い図なので、新規作成はPC、確認と軽い更新はスマホという分担が現実的です。GanttProjectとProjectLibreはPC用のソフトなので、スマホでは扱えません。
Q. タスク管理アプリとガントチャートツールは何が違いますか?
タスク管理アプリは「やることを漏らさない」ための道具で、ガントチャートは「いつまでに何が終わっている必要があるか」を見るための道具です。個人のToDoが目的なら、無料のタスク管理アプリのほうが手軽に続きます。締め切りが連鎖する仕事や、複数人の作業が前後する仕事になって初めて、ガントチャートが必要になります。
関連: 無料のタスク管理アプリおすすめ6選 / Excelの代わりになる無料ソフト7選 / Excel vs Googleスプレッドシート
まとめ:管理か共有か見せるかで、選ぶ棚が変わる
無料のガントチャートツールは一覧に並ぶと横一線に見えますが、実際には工程を自動計算する専用ツールと、自分で図を作る表計算・作図ツールという別の道具が、同じ名前で混ざっています。
迷ったら、数人で共有するならBrabio!、1人で本気で引くならGanttProject。この2本で大半の工程表は間に合います。表計算やCanvaで足りるかどうかは、「日付が動くか」だけで判断してください。
そして、無料を探すときこそ「いま本当に無料か」を確認してください。この記事を書いた時点でも、サービス終了が告知されているもの、ガントチャートだけ有料に移っているもの、無料プランが廃止されたものが、検索結果には「無料」として並んでいました。
※ 本文中の料金・機能・提供条件は2026年9月13日時点で各公式サイトを確認した内容です。仕様は変更されることがあるため、導入前に公式の最新情報をご確認ください。



