Premiere Proで撮影素材を読み込み、4Kタイムラインに並べて再生すると、ハイスペックなノートPCでもプレビューが息切れする瞬間があります。Lumetri Colorで彩度を一段触っただけで再生が止まり、After EffectsからDynamic Linkで持ち込んだコンポは負荷の主犯になり、書き出しでは扇風機がフル回転します。そして月初には3,280円が口座から黙って引かれる——機能の重さと月額の重さが両側からのしかかってくるのが、Premiere Proを長く使ったユーザーが共通して感じる疲労感です。
代わりの選択肢として現実的に手が届くのが、Blackmagic DesignのDaVinci Resolve 21です。映画『デューン 砂の惑星』『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』などハリウッドのカラーグレーディング現場で実働しているソフトでありながら、無料版でもUHD 4K・60fps・8-bitまで対応し、商用利用にも追加料金はかかりません。Studio版(買切¥51,980)に1度払えば、その後はサブスクから降りられます。
問題は、Premiere ProとDaVinci Resolveがプロジェクトファイル形式から思想までかなり違うソフトだということです。.prprojは直接開けず、メディアプールの呼び名は同じでも階層構造は別物、Lumetri ColorのルックはColorページに引き継げず、After Effects連携の.aepは捨てるしかありません。「乗り換えれば全部そのまま動く」と期待して始めると、初日にプロジェクトを開けない時点で挫折します。
乗り換えで詰まる順番は決まっています。.prprojがDaVinciで開けない→XML経由でも一部エフェクトが落ちる→タイムラインのフレームレートを後から変えられないと気づく→Adobe Dynamic Linkの代替が見つからない、の4段階です。逆に言えば、この4段階を順番に潰せば実用域に届きます。XML書き出しでプロジェクトを移し、プロジェクト設定で解像度・フレームレート・カラースペースを先に固め、Editページだけに集中して慣れ、最後にAdobeの解約タイミングを決める——ここまでが移行プロセスの全体像です。
DaVinci Resolveが移行先として妥当か迷っている段階の人は、まずPremiere Proの代わりになる動画編集ソフト6選で他候補と比較してから戻ってきてください。本記事はDaVinci Resolveに決めた人向けの実装手順書です。
- なぜいまPremiere ProからDaVinci Resolveに乗り換えるのか
- DaVinci Resolveを乗り換え先に推す根拠
- 移行を始める前のチェックリスト
- 【ステップ1】DaVinci Resolve 21をインストールして日本語化
- 【ステップ2】Premiere ProプロジェクトをXMLで書き出してDaVinciにインポート
- 【ステップ3】カラースペースとプロジェクト設定の初期化
- 【ステップ4】タイムライン構造・ショートカットの違いに慣れる
- 【ステップ5】Adobe解約のタイミングを決める
- 乗り換え後によくあるトラブルと対処
- よくある質問
- まとめ:Premiere Pro卒業は「機能を捨てる」より「払う形を変える」乗り換え
なぜいまPremiere ProからDaVinci Resolveに乗り換えるのか
Premiere Pro単体プランの月額負担が積み上がる
Adobe Premiere Proの単体プランは、2026年6月時点で年間プラン(月々払い)が税込3,280円/月、月々プランが税込4,980円/月です(参照:Adobe Premiere公式)。年間プラン月々払いでも年間約39,360円、月々プランなら年間約59,760円が動画編集のためだけに固定費として発生します。
After Effects・Photoshopも併用するためにコンプリートプラン(Creative Cloud Pro/Standard)へ上げると、月額はさらに上がります。Adobeは2025年8月にコンプリートプランを廃止しCreative Cloud Pro/Standardの2プラン体系に再編されたため、複数アプリ利用者の料金体系も以前と変わっています。最新はAdobe Premiere公式の料金ページで都度確認してください。
「年に数本しか動画を作らない」「YouTubeの更新を半年休んでいた」という人ほど、月額の固定費が実働本数に見合わなくなりがちです。
DaVinci Resolve 21無料版で「ほぼPremiere Pro」が完結する
DaVinci Resolve 21の無料版は、Ultra HD 3840×2160までの解像度、60fpsまでのフレームレート、8-bitフォーマットに対応します(参照:DaVinci Resolve公式)。HDR編集やマルチユーザーコラボレーションも無料版で使えます。
YouTubeで一般的な1080p/4K 30fps・60fpsの動画なら、無料版で書き出しまで完結します。Premiere Proでもよく使うカット編集・テロップ・トランジション・カラー補正・音声編集はすべてカバーされ、特にカラーグレーディング機能は業界標準級です。
Premiere Pro資産の引き継ぎコスト
代替候補としてはPowerDirectorやCapCutも有力ですが、Premiere Proユーザーから乗り換える場合は引き継ぎコストの観点で見方が変わります。Premiere ProとDaVinci Resolveの間にはXML(Final Cut Pro XML)という共通フォーマットが存在し、カット位置・トリミング・テキストレイヤーをある程度自動で持ち込めます。PowerDirectorやCapCutにはこの共通フォーマット経由の移行手段がなく、過去プロジェクトを再現するなら動画書き出し済みファイルから手動で組み立て直すしかありません。
加えて、Premiere ProのLumetri Colorに慣れたユーザーがカラー作業を続けたい場合、DaVinci ResolveのColorページは思想こそ違うものの最終的に到達できるグレーディング品質がPremiere Proを超えます。「動画編集のメインソフトを一本化したい」「過去プロジェクトを完全には捨てたくない」「カラー補正を強化したい」の3つに当てはまるならDaVinci Resolveが最有力候補です。
逆に、SNS用の縦動画や短尺動画が主用途で過去プロジェクトの引き継ぎが不要なら、CapCutやPowerDirectorのほうが学習コストは低く済みます。判断材料が足りない場合はPremiere Pro代替6選の用途別おすすめを先に見ておくと、戻り損が出にくくなります。
DaVinci Resolveを乗り換え先に推す根拠
1. 完全無料・3OS対応・商用利用OK・Studio版は買切で打ち止め
DaVinci Resolveの無料版は個人利用も商用利用も追加料金なしで、Windows・macOS(Apple Silicon対応)・Linuxの3OSに対応します。透かしや書き出し制限はなく、無料版で作った動画をそのままYouTubeやクライアントワークに使えます。
機能拡張が必要になった場合はStudio版(¥51,980買切)に1度払うだけで、AI Neural Engine・10-bit・120fps以上・追加のResolveFX・テキストベース編集・時間的/空間的ノイズ除去などが解放されます。サブスクではなく買切のため、一度払えば追加課金は発生しません。
Premiere Pro月々プラン(4,980円/月)と比べると、Studio版¥51,980は10〜11ヶ月で元が取れる計算になります。Premiere Proを2年使う費用とほぼ同額で、Studio版なら買切で永続的に使えます。
2. Media/Cut/Edit/Fusion/Color/Fairlight/Deliverの7ページ統合
DaVinci Resolveは画面下部にMedia/Cut/Edit/Fusion/Color/Fairlight/Deliverの7つのページが並ぶ構造です。Premiere ProでAfter Effects・Auditionと行き来していた作業が、DaVinci 1本の中で完結します。
- Media:素材取り込みとメタデータ整理
- Cut:ラフカット用の高速編集ワークスペース(YouTuber向け)
- Edit:Premiere ProのEditウィンドウに相当する標準編集ページ
- Fusion:After Effects相当のノードベースVFX
- Color:本格カラーグレーディング
- Fairlight:Audition相当のオーディオミキシング
- Deliver:書き出し(エンコード設定)
最初はEditページとDeliverページだけを覚えれば、Premiere Proでやっていたカット編集と書き出しは再現できます。Color/Fusion/Fairlightは「必要になったら触る」程度で十分です。
3. プロ現場での採用実績と継続開発
DaVinci Resolveは1984年創業のBlackmagic Designが開発しており、35年以上のカラーグレーディング技術が反映されています。映画『デューン』『アバター』『ジョーカー』など、ハリウッド作品で実際に使われている実績があります。
カメラ・スイッチャー・モニターなど映像機材も自社で開発しているため、撮影機材との連携設計が他社製ソフトより手厚いのが特徴です。アップデート頻度も高く、DaVinci Resolve 21は2025年から2026年にかけて大型機能追加が続いています。継続性のリスクが低いソフトに乗り換えたい人にとっては安心材料です。
移行を始める前のチェックリスト
ステップに進む前に、現在のPremiere Pro環境を整理しておくと作業がスムーズです。所要時間の目安は、進行中のプロジェクトが少なく動画素材が外付けSSDにまとまっている場合は半日〜1日、複数のシリーズ作品やAfter Effects連携を多用してきた場合は2〜3日見ておくと安心です。
① Premiere Proの進行中プロジェクトと素材の所在を棚卸し
Premiere Proの「ファイル」→「最近使用したファイル」やOSのファイル検索で *.prproj を検索すると、過去のプロジェクトファイルを一覧できます。全プロジェクトを一気にDaVinciへ持ち込むのは現実的ではないため、対象を以下の優先順で絞り込みます。
| 優先度 | 対象 | 移行方針 |
|---|---|---|
| 高 | 進行中・未完成プロジェクト | DaVinciでXMLインポートして続きを編集 |
| 中 | 直近半年に書き出した完成済みプロジェクト | リテイク発生時にDaVinciでXMLインポート |
| 低 | 1年以上前の完成済みプロジェクト | 動画ファイルだけ保存。再編集は基本諦める |
「全プロジェクトを完全に移行する」のではなく、いま進行中の作業をDaVinciに持ち込むのが現実的な乗り換え方針です。
② Adobe Dynamic Link(After Effects/Audition連携)の有無
Premiere Proの大きな強みであるAdobe Dynamic Link——After Effectsのコンポジションを動画ファイル化せずにそのままタイムラインに置ける機能は、DaVinci Resolveでは再現できません。DaVinci Resolveには独自のFusion(After Effects相当のVFX)がEdit内で使えますが、過去にAfter Effectsで作った.aepファイルをそのまま開くことはできません。
After Effectsで作ったコンポジションがプロジェクトに含まれる場合は、After Effects側で動画ファイル(ProRes 422 HQ等の高品質コーデック)に書き出してからDaVinciのメディアプールに取り込む必要があります。この工程を経由すると非破壊編集ができなくなる代わりに、After Effectsを完全に手放せます。
「After Effectsだけは残して併用する」という選択肢もあります。その場合はAdobe Creative Cloudの単体プラン(After Effects単体)に切り替えて、Premiere Proだけ解約する形になります。
③ 諦めるしかない機能の事前把握
DaVinciに移行する前に、Premiere Proで使っていた機能のうち完全には引き継げない要素を確認しておきます。
| Premiere Proの機能 | DaVinci Resolveでの移行可否 |
|---|---|
| カット編集・トランジション・テロップ | ◎ ほぼ同等に再現可能 |
| Lumetri Color(カラー補正) | ◎ Colorページのほうが高機能 |
| エッセンシャルグラフィックス(モーショングラフィックステンプレ) | △ DaVinci独自のテキスト+テンプレートで再現 |
| Adobe Dynamic Link(After Effects連携) | × 不可。動画書き出しで取り込み |
| ワープスタビライザー | ○ Studio版で高品質、無料版でも標準スタビライザーあり |
| シーンエディット検出 | ○ DaVinciのScene Cut Detectionで対応 |
| Auto Reframe(自動リフレーム) | △ Studio版のSmart Reframeで対応 |
| 音声の自動文字起こし | △ Studio版でテキストベース編集として対応 |
「× や △ が多くて致命的」な場合は、無理にDaVinci単体に絞らず、特定の作業だけPremiere Proを残す併用運用が現実的です。Adobeは月々プランで契約しておけばいつでも止められるので、移行が完了した段階で解約に踏み切れます。
【ステップ1】DaVinci Resolve 21をインストールして日本語化
DaVinci Resolve公式ダウンロードページから最新版を入手します。ページ下部の「今すぐダウンロード」をクリックすると、無料登録フォーム(氏名・国・電話番号・会社名)の入力画面が出ます。電話番号や会社名は実在情報を入れる必要がありますが、その後の連絡は基本的に来ません。
ダウンロード対象は「DaVinci Resolve」(無料版)と「DaVinci Resolve Studio」(有料版)の2種類があるので、まずは無料版を選びます。インストーラーはWindows版で約3GB、macOS版で約2.5GBあるため、回線が遅い環境では時間がかかります。
インストール後の初回起動時、UIは英語です。日本語化するには次の手順で操作します。
- 起動後の「Project Manager」画面で「Untitled Project」をダブルクリックして開く
- 画面左上のメニュー「DaVinci Resolve」→「Preferences…」を選択(Windowsは「File」→「Preferences」、ショートカット
Ctrl + ,でも可) - 「User」タブをクリック
- 左カラムの「UI Settings」を選び、「Language」のプルダウンで「日本語」に変更
- 右下「Save」→確認ダイアログで「OK」
- DaVinci Resolveを一度終了して再起動
再起動後、メニュー・パネル名が日本語になります。ただし、エフェクトやResolveFXの一部はバージョンによって英語のまま残ることがあり、検索時は英語名のほうがヒットしやすい場合もあります。完全に日本語慣れしてから英語に戻すパターンも実用上はよく見られます。
【ステップ2】Premiere ProプロジェクトをXMLで書き出してDaVinciにインポート
DaVinci ResolveはPremiere Proのネイティブプロジェクトファイル(.prproj)を直接開けません。プロジェクトを持ち込むには、Premiere Pro側でFinal Cut Pro XML(拡張子 .xml)として書き出し、DaVinci側でインポートする手順が標準です。
Premiere Pro側の操作
- Premiere Proで移行したいプロジェクトを開く
- プロジェクトパネルで対象シーケンスを右クリック→「書き出し」→「Final Cut Pro XML」を選択(または「ファイル」→「書き出し」→「Final Cut Pro XML」)
- 保存先とファイル名を指定して書き出し
XMLファイル自体は数KB〜数MB程度の軽量ファイルで、動画素材のパス情報・カット位置・エフェクト適用情報を保持しています。動画素材本体は別途参照されるため、外付けSSDに素材を保管している人は、SSDの中身は触らずに移動先を維持しておきます。
DaVinci Resolve側の操作
- DaVinci ResolveでProject Managerから新規プロジェクトを作成
- 画面左下の「Media」ページに切り替え
- メニュー「File」→「Import」→「Timeline」→先ほどのXMLファイルを選択
- 「Easy Setup」ダイアログで素材の解像度・フレームレートを確認
- 動画素材の場所が変わっていた場合はリンク切れ警告が出るので、新しい場所を指定
XMLインポート時、Premiere ProのLumetri Color設定や独自エフェクトの一部は失われます。カット位置・トリミング・基本トランジション・テキストレイヤーは概ね保持されますが、複雑なエフェクトは再設定が必要です。
XMLでうまくいかない場合の代替手段
XMLインポートで構造が崩れすぎる場合は、Premiere Pro側でProRes 422 HQなどの高品質コーデックで一度動画書き出しを行い、DaVinciでは「完成済み動画として開く+必要箇所だけ再編集」という割り切り方も実用的です。1本ずつ作り直す手間と差し引きで、複雑なプロジェクトほどこちらのほうが早く済むケースがあります。
【ステップ3】カラースペースとプロジェクト設定の初期化
DaVinci Resolveはプロジェクト設定(Project Settings)で先に解像度・フレームレート・カラースペースを固める設計です。Premiere Proのように後から「シーケンス設定」をいじっても完全には反映されないので、最初に必ず設定します。
画面右下の歯車アイコン「Project Settings」を開き、以下の4項目を確認します。
| 項目 | 推奨設定 | 理由 |
|---|---|---|
| Timeline resolution | 1920×1080 HD または 3840×2160 UHD | 書き出しと一致させるとリサイズ劣化なし |
| Timeline frame rate | 29.97 / 30 / 59.94 / 60 fps | 撮影素材と一致させる(後から変更不可項目) |
| Color science | DaVinci YRGB(デフォルト) | カラーマネージドが不要な人向け |
| Working color space | Rec.709 Gamma 2.4 | YouTube/一般用途の標準 |
特にTimeline frame rate(タイムラインのフレームレート)は、プロジェクト作成後は変更できません。「30fpsで作り始めたけど60fpsに変えたい」となった場合は、新規プロジェクトを作って素材を移し替える必要があります。最初の設定が肝心です。
カラーマネージメントを使いたい上級者は「Color science」を「DaVinci YRGB Color Managed」に変更し、入力カラースペースと出力カラースペースを個別指定できます。最初はデフォルトのDaVinci YRGBで十分です。
【ステップ4】タイムライン構造・ショートカットの違いに慣れる
DaVinci ResolveのEditページは、Premiere ProのEditウィンドウと見た目はほぼ同じですが、いくつかの概念名と挙動が異なります。
用語の対応表
| Premiere Pro | DaVinci Resolve |
|---|---|
| プロジェクトパネル | メディアプール |
| ビン | ビン/フォルダ(同名) |
| シーケンス | タイムライン |
| ソースモニター | ソースビューア |
| プログラムモニター | タイムラインビューア |
| Lumetri Color | Colorページ |
| エフェクトコントロール | Inspector(インスペクタ) |
| エッセンシャルグラフィックス | Text+/Fusion Titles |
| Auto Reframe | Smart Reframe(Studio版) |
ショートカットキーをPremiere風に切り替え
DaVinciはデフォルトで独自のショートカット体系ですが、Premiere Proキーボードレイアウトにプリセット切替できます。
- メニュー「DaVinci Resolve」→「キーボードカスタマイズ」
- 右上のプリセット選択で「Adobe Premiere Pro」を選択
- 「Save As New Preset」で別名保存
これでJKL再生、I/Oでイン点アウト点、Vでセレクション、Cでブレード、ーリップル削除のショートカットなどPremiere Proで体に染み込んだ操作のうち主要なものを再現できます。完全一致ではありませんが、再学習コストは大幅に下がります。
メディアプールでの素材管理が少し違う
Premiere Proでは「プロジェクトパネル」が素材管理の中心でしたが、DaVinciではメディアプール(Mediaページ内)が同じ役割を持ちます。素材ビン(フォルダ)構造はPremiere Proとほぼ同じ感覚で作れますが、Smart Binsという条件絞り込み機能はPremiereより強力で、「解像度1080p以上のクリップだけ」「撮影日が今週のクリップだけ」のような自動グループ化ができます。
XMLインポート直後はメディアプール内のフォルダ階層が深く展開されているので、「Master Bin」直下に整理し直す作業を最初にやっておくと迷子になりません。
【ステップ5】Adobe解約のタイミングを決める
DaVinci Resolveで進行中プロジェクトの編集を続けられる目処が立ったら、Adobe側の解約準備に入ります。
月々プランの場合
月々プランはいつでも解約金なしで止められます。Adobe IDログイン→「プラン管理」→「プランを解約」から手続きします。次の請求日の前日までに解約すれば、その月で課金が止まります。
年間プラン(月々払い)の場合
年間プラン(月々払い)は、契約期間内の解約には残期間料金の50%が違約金として発生します(参照:Adobe Premiere公式の解約条件を都度確認)。「月々払いだから月単位で止められる」と誤解しがちですが、実際は年間契約の月割り払いという扱いです。
違約金を避けたい場合は、契約更新日まで使い切ってから解約するのが最適です。Adobe IDの「プラン管理」で次回更新日が確認できます。
年間プラン(一括払い)の場合
年間一括払いは、契約期間中に解約しても残期間分の返金はありません。次の更新日の前にプラン管理画面で「自動更新を停止」しておけば、期限到来時に自動更新されずに止まります。
Creative Cloudアプリのアンインストール
Adobe解約後、Premiere ProがインストールされたPCには「Creative Cloud Desktop」アプリが残ります。アプリ自体は無料なので残しておいても問題ありませんが、PCをクリーンに保ちたい人はCreative Cloud Desktopアプリ内の「すべてのアプリ」→Premiere Proの「アンインストール」から削除できます。
ストレージ100GBの「Adobe Creative Cloudストレージ」も解約と同時に使えなくなるため、内部にファイルが残っている場合は事前にPCへダウンロードしておきます。
乗り換え後によくあるトラブルと対処
動画素材が「オフライン」表示になる
XMLインポートやプロジェクト再開時、メディアプールの動画クリップに「オフライン」と表示されることがあります。原因は素材の保存先パスが変わっているケースが大半で、対象クリップを右クリック→「Relink Selected Clips」で新しい場所を指定すれば復旧します。
書き出した動画の色が変わる
DeliverページでH.264書き出しした動画が、再生環境によって彩度・明るさが変わることがあります。「Use Rec.709-A」または「Color Space Tags: Rec.709」をDeliver設定の「Advanced Settings」で指定し直すと、YouTube/一般プレイヤーでの色が安定します。
Studio版にしないと不便な機能
無料版で運用していて「これだけは欲しい」と感じやすいStudio版限定機能は次の3つです。
- AI Magic Mask:被写体や物体を自動でマスキングする機能。Premiere Proにはない独自機能で、ロトスコープ作業を大幅短縮できる
- 音声ノイズ除去(Voice Isolation):環境音や反響を自動除去
- 10-bit/120fps以上の対応:本格カラーグレーディングや高フレームレート編集が必要な場合
Studio版¥51,980はPremiere Pro月々プラン約10.4ヶ月分に相当します。1年使い続ける前提ならStudio版のほうがコスパは高くなります。
よくある質問
Q1. Premiere Proのプロジェクトファイル(.prproj)は本当にそのまま開けないのですか?
開けません。Premiere ProとDaVinci Resolveはプロジェクトファイルの仕様が異なるため、必ずXML(Final Cut Pro XML)またはAAF/EDL経由で移行する必要があります。複雑なエフェクトの一部はXMLでも引き継げないため、After EffectsコンポやLumetri Colorの細かい調整は再設定が必要です。
Q2. 無料版とStudio版、最初はどちらを選べばよいですか?
まずは無料版で問題ありません。YouTubeで一般的な1080p/4K 30fps〜60fpsの動画なら、無料版でも書き出しまで完結します。本格的なカラーグレーディング・AI機能・10-bitや120fps以上の編集が必要になった時点で、Studio版(¥51,980買切)にアップグレードすれば追加課金なしで使い続けられます。
Q3. Macで使う場合、Apple Silicon(M1/M2/M3/M4)に対応していますか?
対応しています。DaVinci Resolveは2021年からApple Siliconネイティブ対応しており、Intel Macに比べて起動・書き出し・プレビューが大幅に高速化されます。インストーラーは1つで、起動時に自動で適切なアーキテクチャが選択されます。
Q4. Premiere Proで使っていたフォントはDaVinci Resolveでも使えますか?
OSにインストール済みのフォントはそのまま使えます。Adobe Fontsで同期していたフォントは、Adobe Creative Cloud契約を解約すると同期が止まり利用できなくなるため、よく使うフォントは事前にOS本体へインストールしておくか、商用利用可能な代替フォント(Google Fontsのノトサンス/ノトセリフ等)に乗り換えます。
Q5. After Effectsで作ったコンポジション(.aep)は完全に諦めるしかないですか?
.aepファイルをDaVinci Resolveで直接開く方法はありません。After Effectsで動画ファイル(ProRes 422 HQ等)に書き出してからDaVinciのメディアプールに取り込む方針が現実的です。今後新規でVFXを作る場合は、DaVinci内蔵のFusionページ(ノードベースVFX)で代替できますが、操作体系がAfter Effectsとは異なるため再学習が必要です。
Q6. CapCutやPowerDirectorに乗り換えるのと比べて、DaVinciのほうが優れている点は?
カラーグレーディング・統合ワークスペース・Studio版で打ち止めの料金体系の3点が主な強みです。SNSの縦動画を量産する用途ならCapCut、買切・国内サポート重視ならPowerDirectorのほうが向いている場面もあります。広く比較したい場合はPremiere Proの代わりになる動画編集ソフト6選とDaVinci Resolveの代わりになる無料動画編集ソフト5選を併読すると判断材料が揃います。
まとめ:Premiere Pro卒業は「機能を捨てる」より「払う形を変える」乗り換え
Premiere ProからDaVinci Resolveへの乗り換えは、機能を諦める移行ではなくサブスクから買切(または完全無料)に支払い形態を変える乗り換えです。XML経由でプロジェクトを持ち込み、カラースペースとフレームレートを先に固め、Editページから順に慣れていけば、Premiere Proでやっていた作業はDaVinci Resolveでほぼ再現できます。
諦めるしかないのはAdobe Dynamic Linkと一部のLumetri Color詳細設定の2点だけで、無料版を3〜6ヶ月使ってからStudio版(¥51,980買切)に上がれば、Premiere Pro 1年分の費用で永続ライセンスが手に入ります。月額3,280〜4,980円の固定費から降りたい人にとって、DaVinci Resolveは費用構造と機能の両面でバランスが取れた乗り換え先です。
別候補も改めて比べたい人は、DaVinci Resolveの代わりになる無料動画編集ソフト5選でKdenliveやShotcutなど、よりライトな選択肢も確認できます。動画編集ソフト全体の地図を見直したい場合は無料動画編集ソフトの比較も参考になります。